2016年12月16日金曜日

会心のアンコール

(前半からの続き)
 4階の障がい者支援施設でのライブを無事に終え、ただちに1階のデイサービス部門へと移動。タイムロスを避け、PAやマイクスタンドは分解せずに、そのままエレベーターに積み込んだ。

 20分ほど休憩したのち、ホールへと移動して「第2部」とも言えるデイサービスでの忘年会ライブを始めた。いつもとは歌う場所が違っていて、窓際にあるスペースの端にある高さ20センチほどの舞台がステージだった。
 聞き手は100人近くもいて驚く。どうやら全利用者が対象のようだった。多忙に追われて確認を怠っていたが、今年は趣向が違ってXmas会としてではなく、忘年会として実施されるらしい。ステージの背景にも確かに「忘年会」との記載がある。
 まるでそんな展開を察知していたように、3日前に提出した曲目リストにXmasソングは入れてなく、どちらかと言えば宴会系の曲が多かった。偶然だが、運が味方した。
 予定を10分遅れて14時10分から開始。およそ30分で10曲を歌う。

「北国の春」「おかあさん(森昌子)」「お座敷小唄」「バラが咲いた」「幸せなら手をたたこう」「月の沙漠」「まつり」「知床旅情」「東京ラプソディ」「浪花節だよ人生は(アンコール)」


 テーブルの上にはビールジョッキが並び、日本酒の一升瓶を持って酌に回っている職員さんの姿もある。宴会モード全開といった様相で、どちらかといえば苦手な部類に入る酒席でのステージだった。直前のプログラムがカラオケ大会で、歌が連続するという難しさもあった。
 救われたのは、ステージ近くにいた利用者の方々が、熱心に聴いてくれたこと。歌に合わせて手拍子をくれたり、配られた全曲の歌詞集を開きつつ、一緒に歌う声がステージにも届いた。

 会場の配置が縦長で、いわゆる「うなぎの寝床」。PAの音が後ろまで届くか不安があり、普段よりもマイク音量を2割ほど上げた。
 ほろ酔い気分の場は、出だしではやや集中力に欠けていたが、「お座敷小唄」から一気に盛り上がる。以降、じょじょに場は乗ってきて、「まつり」でそれがピークに達する。そのまま一気にラストへとなだれ込んだが、熱くなった場は収まらず、自然発生的な「アンコール!」の嵐。
 この施設では過去にもこうした自然発生的なアンコールが数回飛び出したが、いずれも進行上の事情で歌えずじまいだった。


 実は開始前に担当のHさんから、「今回は14時40分まで時間をとってあります」との情報を得ていた。時計は14時37分あたり。つまりは、時間調整としてもピッタリはまるアンコールだった。
 高揚した場の気分と残り時間から、何を歌うべきかを素早く判断。アンコールでは歌った記憶のない「浪花節だよ人生は」を咄嗟に選んだが、これが大変な盛り上がりよう。時間の都合で3番はカットしたが、終わっても会場からは「もっと聴きたい!」との声が複数あがる。

 Wアンコールに応える用意はもちろんあったが、あいにく時計は14時40分ちょうど。進行の方が「大変残念ですが、時間の都合でまた次の機会ということに…」と申し訳なさそうに言う。
 計1時間近い長丁場のライブだったが、喉の調子は尻上がりによくなり、会心の締めくくりになったことは間違いない。