2015年12月31日木曜日

5人年越し

 長男夫婦の突然のインフルエンザ感染により、昨年は叶わなかった家族5人での年越しが、今年は無事にやれた。
 首都圏在住の長女夫婦は、夫の実家がある九州で年越し。それぞれの地域で、それぞれの家族が、無事に新年を迎えられそうである。


 昨日から帰省中の末息子が手配した豪華なタラバガニとズワイガニを食べ、紅白を横目で観ながら、年に一度しか飲まない高級ビールや日本酒を飲んで過ごす。
 今年の反省とか、来年にむけての抱負とか、記すべき事柄もないではないが、ほどよく酔いも回っていい気分なので、今日はやめておく。

 この1年間、飽きもせずにブログを読んでいただいたみなさま、どうもありがとうございました。日々の訪問カウントを励みに、気力体力の続く限り、続けていきたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。

2015年12月30日水曜日

時は虹のように過ぎゆく

 連日続いたライブを昨日でようやく無事に終わらせたが、身体はまだ臨戦態勢のようだった。今日も早めに目が覚めたので、そのまま起きて残った年末雑事を片づけることにする。
 まずは鏡餅やゲタ箱上の正月飾りをやろうとしたら、妻から不意にマッタがかかる。
「飾る前に、もう一度掃除機かけて」

 殺人的ライブスケジュールに合わせて早めに大掃除を済ませたのはよいが、あまりに早すぎたせいで、あちこちに新たなホコリが溜まっている。それをざっと払ってから飾りつけをしてくださいな、というのが妻の要望だった。
 もっともな指摘だったので、もう一度2階から掃除機をかけ直すことに。思いがけず掃除のし忘れた場所を見つけたりし、けっこうな時間を費やした。


 その後ようやく飾りつけにとりかかる。来年の干支やカレンダーも含めていろいろやって、全部終わった頃はすでに12時を大きく回っている。
 この日の昼食は忘年会をかね、平日90円の回転寿司で食べることになっていたが、いざ外に出てみると昨夜来の雪は予想以上に深く、軽く20センチは積もっていた。除雪をしないと車は出せそうになく、急きょ床下から電動除雪機を引っ張りだし、今冬初めて本格的な除雪作業をした。
 寿司を食べ終えたら、空は次第に晴れてきた。その足で母の暮らす施設に行き、今年最後の面会。30分ほどあれこれ話して、帰りは2つのスーパーに寄り、年越し用の食材を調達する。


 帰宅後、29年もの長い期間、クリスマスと新年のカードをやりとりしているカナダの友人あてに、新年のカードをしたためる。
 小学校の国際交流で子供が我が家に1週間ホームスティしたのが縁だが、当時11歳だった子がいまや40歳。結婚して3人の子持ちとなった。夢のような月日の流れを感じる。

 毎年恒例の近況報告だが、数枚の家族写真を同封し、カードには心境として、
「Time goes like a rainbow.」(時は虹のように過ぎ去ってゆく)と、慣用句をもじったフレーズを今年は記す。
「Time goes like an arrow.(光陰矢のごとし)」が本来の使い方だが、鮮やかに輝いて夢のように消え去る人生の儚さと愛しさとが、うまく表れている詩篇ではないかと、一人悦に入る年末のひととき。

2015年12月29日火曜日

歌い納めて新境地

 今年のラスト、通算70回目となる年末忘年ライブを遠方のデイサービスで実施。年間ライブ数も過去最大だが、クリスマスを過ぎて年末ギリギリまで歌い続けたのも初めてのこと。体調面での漠然とした不安はあるにせよ、今後の自分が進むべき方向性を示している気がする。

 今回の施設で歌うのは実に今年4度目。一昨年夏にネット経由で初めて依頼されてから、通算でも8度目となり、熱い信頼関係が続いている。
 曜日ごとに利用者は異なるが、私が歌うと知って曜日のシフトを飛び越えて聴きにくる方もいて、例によって問題になるのは、歌い過ぎによって飽きられること。そんな状況を察してか、担当のTさんは依頼にあたって「今回は聴き手の事情や嗜好を気にせず、菊地さんの好きな曲を好きなように歌ってください」という、信じ難いような配慮をいただいた。
 とはいえ、場はあくまでデイサービスである。リスクを避けてごく普通に介護施設系冬メニューで無難に乗り切ろうかとも一時は思った。しかし、ある意味ではいろいろ試せるチャンスである。ここは守りに入らず、攻めてみるべきだ。
 Tさんの言葉に甘える形で、これまで介護施設ではほとんど歌ったことがない曲を中心に14曲をセレクト。予備としてさらに3曲を準備した。

 前日にTさんから確認の電話があり、「酒と泪と男と女」のリクエストが利用者から出たこと、オリジナルを1曲入れて欲しいことの要望がある。偶然だが、「酒と…」はすでにセットリストに入れてあった。


 凍てつく真冬日が延々続き、道路の渋滞が予想されたのでかなり早めに家を出たが、予想外に流れはスムーズ。開始30分も前に先方に着いてしまった。
 予定ちょうどの15時から開始。求められるままにアンコールを重ねつつ、結果として1時間10分で19曲を歌う。(※はリクエスト)

「大空と大地の中で」「北の旅人(南こうせつ)」「小樽のひとよ」「二輪草」「時代」「酒と泪と男と女※」「つぐない」「津軽海峡・冬景色」「あなたにメロディ(オリジナル)」「サン・トワ・マミー」「函館の女」「冬のリヴィエラ」「愛燦々」
〜アンコールステージ
「糸※」「時の流れに身をまかせ※」「矢切の渡し」「舟唄」「天使のウィンク」「また逢う日まで」
 フォーク系と昭和歌謡系を2曲ずつセットにし、交互に歌う。中ほどでアクセントとしてオリジナルとシャンソンをはさむ苦心の構成だ。
 曲の選択基準には迷ったが、結果として最近チカチカパフォーマンスで採用してる「本日のお勧め」から多くを選んだ。基本的にはこれが「いま自分が歌いたい曲」であり、特定の歌手の曲でも、一番好きな歌を選んで歌った。

 歌い始めるまでは、かなりの不安があった。「好きなように」などといっても、場からの支持がない場合、果たしてそのまま歌い続けられるものなのか…?
 しかし、歌い進むうちに、そんな不安は吹き飛んだ。手拍子の出る曲は5曲目の「二輪草」くらいだったが、他は手拍子や一緒に歌う人はなくとも、聴き手の集中する「気」が肌身で感じられ、熱心に聴いてくれているのが歌っていて分かった。「2曲ずつのセット」という進め方も効果的だったように思える。


 ラストは年末に相応しく「また逢う日まで」で終わろうと決めていたので、事前にその旨を職員さんに告げ、40分くらいでラストひとつ前の「愛燦々」を歌い終える。特に要望がなければラストに進むつもりでいたら、何と複数の若い職員さんから、「糸」が聴きたい!との強い要望。
 前半で歌った「時代」に続く中島みゆきの世界だが、前日のデイサービスでも中島みゆきのリクエストが出たばかり。北海道では場を選ばず、松山千春に続き中島みゆきもこれまた強いと悟った。

 その後、熱くなった場はなかなか収まらない。聴き手の体調が心配で、1曲ごとに確認しつつ進めるような状況だったが、「ずっと聴いていたい!」という歌い手冥利につきる声援までもらい、求められるままに予備曲まで全て歌うことに。
 時計は開始1時間を過ぎ、歌っている私の喉の調子は尻上がりによくなったが、最高齢92歳という聴き手にとっては、さすがに長過ぎる。18曲を歌った時点で、ようやくお開きということで話がまとまる。
 ラストの「また逢う日まで」は、この日数少ない手拍子で歌える曲だった。最後は賑やかに締めたかったこともあって、ここでは事前にMCで手拍子を誘導した。
 短い曲だが、これが大変な盛り上がりよう。それまで胸に溜まっていた感情が一気に吹き出したような感じで、途中で両手を頭上にかかげ、リズムに合わせて左右に大きく振る方が続出。手拍子まではよくあるが、こうした聴き手のパフォーマンスは初めての経験。まるで若者中心のライブハウスのようなノリである。
 誰かが誘導したわけでなく、聴き手からの自然発生だったので、私はもちろん、立ち会った職員さんもびっくりしていた。

 終わってみれば、介護施設系では初めてとなる1時間10分という休憩なしの長時間ライブを記録。延べ19曲を歌ったのも初めてのことで、何かと初めてづくしの日だった。
 当初は不安もあったが、介護施設でこのような新しい構成でも十二分にやれるということが分かり、自分の新境地を拓いた思い。
 終了後も場にはしばしの余韻が残り、「また逢う日まで〜♪」と楽しげに歌い続ける声が、ホール内のあちこちに響いていた。

2015年12月28日月曜日

降って湧いたライブ

 10日前に歌ったデイサービスXmasライブで、終了後に別の系列施設でのライブを打診された。なんでも施設長さんが偶然私のライブを見ていたそうで、「私の施設でもぜひ歌って欲しい」とのオファー。

 最初のライブ依頼にはいくつかのパターンがあり、最も多いのがボランティア登録しているNPOサイト経由のもの。こまめに記録しているブログを読んで、というパターンも含め、ネット経由での依頼が断トツに多い。
 次いで多いのが、私のライブを目撃した人からの依頼。介護施設や路上ライブであったり、オーディション形式のライブであったり、その場は実にさまざま。人前で歌っている限り、どこにでも依頼の目は潜在的に光っている、と考えるべきだろう。
 そのほか、自分でライブの企画書を持ち込んだり、知人の紹介というパターンもわずかだが、存在する。

 今回は2番目に多い「私のライブを目撃した」というパターンだが、生のライブを聴いて気に入ってもらってのことなので、歌い手冥利につきるものだ。


 施設は自宅から車で15分ほどの距離にあるが、ここ数日続く真冬日のせいか、道路は固く凍てついていて、車の流れは悪い。到着後に車を停める場所がなくて手間取ったりし、予定より少し遅れて14時4分から歌い始めた。
 3度のアンコールを含めて、およそ45分で15曲を歌う。

「憧れのハワイ航路」「二輪草」「ソーラン節」「知床旅情」「二人は若い」「高校三年生」「さくらさくら」「お座敷小唄」「三択リクエスト〜小樽のひとよ」「三択リクエスト〜津軽海峡・冬景色」「月がとっても青いから」「リンゴの唄」「時代(アンコール&リクエスト)」「見上げてごらん夜の星を(アンコール&リクエスト)」「丘を越えて(セルフアンコール)」
 10日前の系列施設と同じような内容で、と依頼されていたが、クリスマスはすでに終わっていて、年末が間近。切り口としては忘年会なので、それに沿って微調整を加えた。

 会場となるホールには傾斜天井の明るい吹抜けがあり、やや狭いが系列施設と似た雰囲気である。しかし、聴き手の傾向はガラリ違っていて、全体的に大人しい。施設のテーマソングになっている「憧れのハワイ航路」をまず歌ったが、手拍子は全く起きない。
 弾き語り演奏に不慣れな印象がしたので、2曲目の前にさり気なくMCで手拍子を誘導する。最近よくやるパターンだが、場を盛り上げるのに効果的な手法と分かったので、使わない手はない。


 2曲目以降は場もじょじょにこなれてきて、いい雰囲気に。職員さんも積極的にライブに参加してくれた。歌詞指導は特にしなかったが、曲に合わせて一緒に歌う方も多数。

 9曲目に、これまた最近よくやっている「三択リクエスト」を試みる。今回は前日に思いついた「冬の北海道」という切り口に沿った3曲を提示。「函館の女」には賛同が全くなく、ほとんど拍手に差のなかった「小樽のひとよ」「津軽海峡・冬景色」の2曲を歌った。
「三択リクエスト」はあくまで場を盛り上げる座興のひとつに過ぎず、大きな差がなくて時間に余裕がある場合は、2曲を歌うことは今後も充分にあり得る。
 トントン歌いすすんで、「あと2曲で終わります」と告げると、若い女性職員さんが突然「アンコールを…」とつぶやく。ありがたいが、まだ終わっていないので、「終わってからお願いします」と返答。無事にラストを歌い終えたが、今度は場がシンと静まり返ってしまい、奇妙な沈黙が流れた。
 まとめの言葉もなく、誰も動き出そうとしないので、「先ほどあちらからアンコールの声が…」と自ら申し出た。どうも施設全体がライブに慣れていない印象で、先の私の言葉を「アンコール拒否」と受け取った感じがしないでもない。

 時間には何ら問題がなく、「やっていただけるならぜひに」とのこと。何を歌うべきか迷ったので、「何かご希望は?」と場に問いかけた。するとただちに、70代と思しき男性から「中島みゆきを何か」との信じがたい言葉が。
 一瞬耳を疑った。長く歌っているが、介護施設で中島みゆきのリクエストは初。いろいろ歌えたが、「中島みゆきなら何でも」との声から、最も広く知られている「時代」に決着。
 その後、坂本九の「上を向いて歩こう」いや、「見上げてごらん夜の星を」が聴きたいかな…、と同じ男性から重ねてのリクエスト。どちらも歌えたので、最終的にはその男性に決めていただく。
 2曲もアンコールを歌うと普通はそれでお開きとなるが、まずいことに2曲とも叙情性の極めて強い曲。場内は静まり返ってしまい、感動で目頭を押さえる女性の姿も見える。このまま終わってしまうには、あまりに寂しい。
 そこで短くて明るい曲を選択し、「本当のラスト」として自ら進んで歌わせていただいた。位置づけとしては完全な「セルフアンコール」だが、ライブに慣れていない場では、こんな終わり方もありだろう。

 まるで降って湧いたような突発ライブだったが、ライブ慣れしていない聴き手を上手に導くいろいろな手法を試せて、また少し向上できた気がする。

2015年12月26日土曜日

年内雑事を片づける

 今年も残すところ数日となったが、かなり前に大掃除は終え、年賀状もすでに投函済み。これほど早い年越し準備はかってなかったことだが、全ては殺人的ライブスケジュールに備えたことが発端。予め分かっていれば、忙しいことも決して悪いことではない。
 ライブ予定はまだ年内2本を残していて、喉を中心とした体調管理に手抜きはできない。今日と明日は4日ぶりの休息日なので、久しぶりに朝寝を決め込む。
 午後からは、わずかに残っていた年内雑事を片づける。まずはクリスマスグッズをしまい、続いて冬ズボンのウェスト調整をする。

 2年前に買ったズボンはフリース裏地付きのコーデュロイなので暖かいが、76センチのウェストがややゆるい。いつもならベルトで調整可能の範囲だが、裏地の関係で生地が固く、腰がゴワゴワする。ずっとそのままだったが、思い切って自力で調整することにした。


 セオリー通り、尻の部分を数センチ詰めるつもりでいたが、腰を一周する上端のパーツが固く、ここをつまんでミシンで縫うと、ますますゴワゴワ感が増しそうな予感がした。
 あちこち調べた結果、前ファスナーの左側をいったん外し、2センチ深い位置に追い込んで縫い直すのが最も簡単で見映えもよく、ゴワゴワ感も消えることが分かった。

 上端のボタンはそれに合わせて2センチ内側に移動。ファスナー上のベルト通しは、左側に5センチ移動した。
 かなりの難易度だったが、無事に補修を終える。さっそくはいてみたらゴワゴワ感も消え、ほどよいウェスト寸法になっていた。


 ミシンを出したついでに、続けてユーティリティの仕切りカーテンを作る。昨春に作ったテーブルクロス転用のカーテンは、来客時の脱衣用間仕切りとしてまずまず機能していたが、幅が140センチしなかなく、完全な遮断とは言いがたいのが欠点だった。
 角度によっては、浴室の反対側にある洗面所から、脱衣コーナーと浴室が一部見えてしまう。

 幅が2メートルほどあれば完全に隠れることが分かったので、生地をカナリヤ手芸店で探したのが10月のこと。幅98センチの生地を380円/Mのバーゲンで発見。これを4メートル調達した。
 リング部分は既存のカーテンから外して転用した。ずっと気になっていたが、買って3ヶ月近くも経って、ようやく完成。これで安心して年を越せる。

2015年12月25日金曜日

8年ぶりのライブ依頼

 ボランティア演奏活動を始めた当初、1年で4度歌わせていただいた近隣のグループホームから、8年ぶりにライブの依頼があった。職員も利用者も大幅に入れ替わっていたが、古い記録と記憶をたどって、連絡先を見つけてくれたという。
(これほどまでに間隔が空いた理由は不明だが、おそらくは入居者の入替えが少ないグループホームでの、年4回というライブ数が、あまりに多すぎたせいではないだろうか?)

 今年はなぜかこの種の「復活ライブ依頼」が相次いでいる。春先には某デイサービスから同じく8年ぶりの依頼があったし、夏と秋口にもそれぞれ4年ぶりの場でライブが実現した。
 一度歌って忘れ去られてしまうより、「忘れた頃に」再依頼があるのが当然ながらありがたく、そしてうれしい。要は誠実に、そして細くとも長く活動を続けることだ。


 グループホームの形態は2ユニットで、定員が18名。Xmasライブだが、地域住民の招待はなく、数名の家族の姿が見えるだけで、こじんまりとした集まりだった。
 14時から1番手として手品が披露され、私はホールで待機しつつ、機材一式を組み立てて備える。予定通り、14時半から私の出番となる。アンコールを含めて、およそ30分で10曲を歌った。

「高校三年生」「二輪草」「ソーラン節」「バラが咲いた」「幸せなら手をたたこう」「サンタが町にやってくる」「まつり」「月がとっても青いから」「青い山脈」「丘を越えて(アンコール)」
 先週から断続的に延々7日間続いたXmasライブも、ついにこの日が最後。すっかりクリスマス衣装と化した赤いセーターも、この日でしばしの着納めとなる。
 職員も利用者も入れ替わっているので、8年前の記録は全く参考にならない。以前は長めの演奏時間を求められたが、今回は30分を厳守しなくてはならない。外れの少ない定番曲を多めにし、曲は短めにして歌い進めた。


 弾き語り系の演奏ボランティアは普段からあまり来ていないそうで、最初はやや場が固かった。2曲目から歌う前に手拍子の練習をやり、職員の協力も求めた。
 ほどなくして場は盛り上がってくる。職員と歌い手が一体となった昨日のライブを参考に、全体的に手拍子の湧きやすい曲でまとめたのも幸いした。

 そのままの勢いで、あっという間に30分弱が経過。ラストは「青い山脈」「リンゴの唄」から選んでもらったが、多くの希望で「青い山脈」に即決。
 アンコールは1番手として手品をやっていた男性からのもの。聞けば関連施設の職員で、応援にやってきたのだそう。つまりは「お約束アンコール」に近いものだったが、場の空気には沿うものだった。
 終了後、職員一同から再訪を依頼される。芸のある職員があまりいないのが悩みの種らしい。完全別組織だが、隣接する系列デイサービスからは、このところよく依頼がきている。いずれ合同でのイベントもありそうだ。

2015年12月24日木曜日

全員が楽団員

 9月に某デイサービス秋祭りライブでお会いしたアコーディオン演奏のNONOさんから、ときどき依頼されるサ高住のXmas会でいっしょに歌っていただけないか?と誘われた。当初、ハンドベル演奏とのコラボを企画していたが、スケジュールの都合でキャンセルになったらしい。
 いわばピンチヒッターの位置づけだが、お会いしたときに名刺を交換し、何かあればお手伝いしましょうと約束していた。幸いにスケジュールも空いていたので、お受けすることに。

 施設は市内の東端に位置し、自宅からはかなり離れている。グーグルマップで裏道を探し当て、この時期にしては珍しく路面に雪が全くないという幸運にも恵まれ、わずか30分強で到着した。
 イベントの開始まで30分近くあったので、コラボ演奏する曲に関し、簡単な音合せをする。互いの演奏の受け渡しタイミングに関しても、細かく詰めた。その後、会場となるホールに機材をセット。いつでも始められる準備を整えた。


 13時35分くらいから施設側のイベントが始まる。Xmasソングの合唱などあって、13時50分から演奏開始。打合せでは14時ちょうどの開始のはずが、10分も巻いてしまった。どこかで調整が必要だったが、まずは1番手のNONOさんの演奏が始まる。
 NONOさんは入居者が座るホールの真ん中で歌いたいという希望があり、わずかなスペースに椅子とマイクスタンドを置く。マイクは施設側の無線マイクを使った。
 童謡を10分、懐メロ系を10分やって、14時10分くらいから私にバトンタッチ。私の立ち位置はクリスマスの看板やツリーが置かれているメインステージで、PA一式は持参のものを使用した。
 前回のライブで接触不良を起こしたPAだったが、その後入念に調整を重ねたこともあり、今回は全く問題なく機能。持ち時間の20分で6曲を歌う。

「三百六十五歩のマーチ」「365日の紙飛行機」「二輪草」「バラが咲いた」「瀬戸の花嫁」「まつり」


 開始早々から施設長さんを始め、職員さん総勢で仮装や手拍子、各種パーカッションで賑やかに場を盛り立てていて、私が歌い出すころには場はすっかりこなれて、お祭りモード全開。私はただその波に乗ればよいという、これ以上ない楽な進行だった。

 曲調を問わず、全曲に手拍子やパーカッションが入るので、私も乗り遅れてはならじと、「この曲はこんな感じで手拍子を打ってください」と、曲の前にワンフレーズ歌ってお手本を示す念の入れよう。
 私の歌に歌詞カードはなかったが、途中でいっしょに歌い出す人がかなりいたので、何曲かは歌いながら歌詞指導をしつつ進めた。
 1〜2曲目は「365」シリーズと洒落たもの。5曲目は「瀬戸の花嫁」「星影のワルツ」「浪花節だよ人生は」の三択から、会場の拍手で決定した。意外にも叙情系の「瀬戸の花嫁」で決着。「バラが咲いた」の感触も悪くはなく、叙情的な歌も好まれる。何事も決めつけは禁物だ。
 ラストの「まつり」はサンタの扮装をした職員さんの得意曲ということで、無線マイクを使って一緒に歌った。打合せなしだったが、これがぴったり合って、会場は拍手喝采。


 私の持ち時間が終わって、予定ではラストにXmasソングを歌って終わることになっていた。しかし、時計はまだ14時半過ぎで、充分に余裕がある。
 すると突然NONOさんが、「トムノさんの伴奏で生オケやりましょう!」と、打合せにない提案をする。生伴奏は弾く側も歌う側も難しいもので、ちょっと戸惑った。何でも弾けるわけではないですよ、と釘を差す。
 NONOさんが歌う人を場内から探し始め、入居者の方をあたるが、応じる人は皆無。一緒に歌うのはいいが、前に出てマイクで歌うのはどうも…、といった雰囲気だった。
 ちょっと間が空いてしまい、妥協案として職員さんに歌ってもらうことになる。無難な選択だったが、今度は歌う曲が決まらない。候補にあがる曲は私が弾けなかったり、職員さんが歌えなかったり…。
 そんなやりとりで場がゆるんでは本末転倒なので、歌詞カードの準備があった「青い山脈」でいきましょう、という妥協案で最終決着。


 ここで10分近くが経過し、間延びはしたが、結果としてほどよい時間調整になった。
 ラストは打合せ通りに、私のリードで「きよしこの夜」「ジングルベル」を続けて歌い、その後はNONOさんのリードで「ふるさと」「知床旅情」を全員で歌って、大団円となる。

 終わってみれば、ちょうど1時間が経過。終盤で「ちょっと休憩入れて」という入居者の声も一部に上がったが、職員と入居者、そして演奏ボランティアの三者が一体となった、ちょっと珍しいイベントを体験した。

2015年12月23日水曜日

「チカ☆パ・コンペ」で苦戦

「チカ☆パ・コンペティション」と称する、チカチカパフォーマー限定のイベントが初めて開催された。オーデションに合格したパフォーマーが互いにその技を競い合い、優勝者には賞金3万円のほか、チカチカパフォーマーの「顔」として、パンフレット等に写真がむこう1年掲載される。
 場所や開催要項はオーデションと同じで、審査には一般市民も加わるのが特徴だ。

 パフォーマーが交流するお祭り的なイベントは、かねてからあればいいと考えていた。12月は殺人的なスケジュールに忙殺されていたが、せっかく事務局が設けてくれた機会でもあり、熟慮のすえに参加することにした。


 開催日は12/23(祝)会場は北3条広場と早くから決まっていたが、エントリーの締切は2週間前。パフォーマーにとってはクリスマス直前の「稼ぎどき」の時期だったが、結果的に10組がエントリーした。
 内訳はジャグリングに代表される大道芸ジャンルが大半で、ダンス系、縄跳び系、音楽系が各1組。音楽系は私だけのエントリーで、そもそも現在のチカチカパフォーマーに弾き語り系は私一人しかいない。
 まさに「異端の人」の状況だったが、勝ち負けに対する野心は当初からなく、ただ参加することに意義を見いだす無欲の心境で臨んだ。
 タイムテーブルは二転三転したが、私は2番という早い出番に決まる。苦手な午前中開始で、しかも後半が昼食時間にかかるという悪条件。
 80席ほどの椅子が最初から並んでおり、休日でいつものチカチカパフォーマンスとは客層も大きく異なるので、構成は練りに練った。


 1番のジャグラー・コーヘイさんが無難にオープニングをまとめ、イベントの気分を一気に盛り上げる。その雰囲気を大きく外さないようにしなくてはいけない。
 入れ替え時間は2〜3分で済み、マイクやエレアコの音量調整も短時間でOKとなった。ほぼタイムテーブル通りに11時41分から開始。およそ24分で8曲を歌った。

「ウィンター・ワンダーランド」「季節の中で」「夜霧よ今夜も有難う」「オー・シャンゼリゼ」「赤鼻のトナカイ(リクエスト)」「あわてんぼうのサンタクロース(初披露)」「天使のウィンク」「また逢う日まで」

 各自の持ち時間は入替えを含めて30分だったので、短めで聞かせどころがあり、しかもジャンルがバラけた曲を慎重にセレクト。さらには「祝日の昼間で、クリスマス直前」という条件から子供が多いことが予想されたので、それらも意識した。
 進行の方が簡単にプロフィールを紹介してくれ、そこではリクエストを募っていることにもふれていた。
 マイク前には前日に急きょ作った自立式のリクエスト用紙スタンドも立ててあったが、普段の通りすがり相手と違って、歌に関心を持って立ち止まり、そこからリクエストにつながる、という流れにはならない。MCで案内しても、席を立ってリクエスト一覧を取りにくる方は皆無だった。


 1曲目に賑やかなXmasソングを歌ったが、場の気分を一気に変えるには程遠く、自然発生的な手拍子もおきない。応援してくれるサポーターの類いは一切頼んでなく、苦戦を覚悟したが、幸いに客席を7〜8割ほど埋めた方々は終始静かに聴いてくれていて、歌い進んでも席を立つ方はほとんどなかった。

 かといって、通りから歌を聴きつけて席につく方もあまりいない。そんな膠着状態を打開するべく、5曲目でXmasソング限定のリクエストを会場から募る。
 最前列に子供が数人座っていたので、「何かリクエストある?」と問いかけた。目の合った男の子に「そこの赤いジャンパーの君、どうですか?」と振ると、一瞬首をかしげる。後ろに座っているお母さんらしき方が、何かささやいている様子。すると「赤鼻のトナカイ」との声。やっと出てくれた。
 これに勇気を得て、さらなるXmasリクエストを募った。実は前日に「あわてんぼうのサンタクロース」「ホワイトクリスマス」の2曲を急きょ会得し、合計9曲のXmasソングを準備していた。いっそ全曲をクリスマスでまとめようかと一時は考えたほど。
 しかし、あとが続かない。ここは無理をせず、つい先日チカホで出たXmasソングリクエストの逸話を披露しつつ、「あわてんぼうのサンタクロース」を自主的に歌う。子供向けの歌なので、場の気分には合っていた。

 ラストは最近介護施設でしばしばやっている、得意の「三択リクエスト」を試みる。思惑通りにリクエストが出ない場合を想定しての切り札だったが、ここではPOP系昭和歌謡で仕掛けた。
「ブルーライト・ヨコハマ」「つぐない」「また逢う日まで」の3つで聴きたい曲を場内の拍手で募ったが、およそ3:3:4ほどの割合で、各曲が僅差で競り合う。どれを歌ってもいい感じがしたが、微妙に拍手の多かった「また逢う日まで」で決着とした。


 場を自分のペースに持ってくるのに、かなりの苦戦を強いられたが、後半はそれなりに盛り上げた。終了後の拍手も熱くて長く、「ありがとうございます」を2度続けたほど。
「三択リクエスト」はこの種の場でも充分使える。これが分かっただけでも、この日のイベントに参加した意味は充分にあった。

 しかし、一発で場の気分を変える力量には欠ける非力な自分もまた再認識した。結果論だが、中高年の姿がまばらだったので、「夜霧よ今夜も有難う」は万人受けする「エーデルワイス」に差し替えるべきだった。
 終了後は翌日以降のライブ準備のため、いったん自宅に戻る。夕方5時に再度会場に出向いて審査結果発表に立ち会ったが、優勝は第8期から活動している若手ジャグラーの方だった。

 3人のプロ審査員の持ち点が各20点で、4人の市民審査員の持ち点が各2点。総合計は68点だが、優勝者は10点を獲得したという。それでも頭ひとつ抜けていた、という講評だった。
 他の得点は公表されなかったが、かなりバラけていたのかもしれない。審査員の自分への評価が大いに気になるので、希望者にはメールでこっそり教えてもらえないだろうか。

2015年12月22日火曜日

リクエスト用紙スタンド

 チカチカパフォーマンスで使うリクエスト一覧を立てておく専用スタンドを作ることにした。これまでマイクスタンドに吊るしたり、組立式の椅子を利用して展示したりしてきたが、それぞれ一長一短がある。
 現状の組立式椅子を利用したものは最も使い勝手がよいが、低すぎて目立たない、という欠点がある。目につきやすいよう、広場と通りの境界付近に立てて使っているが、そうすると聴き手との距離が遠くなる、という新たな欠点にぶつかった。

 共演の際の待ち時間は、自由に座れる近くのオープンカフェを利用すれば、必ずしも組立式椅子は必要ではない。そこで、最近ほとんど出番のなくなった譜面台の下2段を利用し、新たなスタンドを作ってみることにした。


 最上段には、以前に100均ダイソーで買った径10ミリのパイプに、リクエスト用紙ホルダをはさんで固定するための木片を装着。ホルダとそれを固定する目玉クリップは既存のパーツを転用。100均ダイソーで買った点滅LEDイルミネーションを吊るすのも同じだ。
 ホルダの下端はぐらつかないよう、長いヒモで譜面台下端を通して結ぶ。程よい高さで見やすいスタンドが完成した。予定では、これをマイクスタンドと通りの中間地点に置いて歌う。

 装備としては全体で200gほど軽くなり、スタンド上端の目玉クリップは、そのままデジカメを固定できる構造になっているので、セルフ撮影がこれまで以上に容易になる。


 こうしてさまざまな工夫を重ねて4年半近くも活動を続けてきたが、果たしてあと何回チカチカパフォーマンスの活動が可能なのか、はなはだ不透明な状況である。
 2年近く恩恵を受けてきた「特別枠活動者」の資格が来春で打切りとなり、活動を継続するには、新たにオーディションを受け直す必要がある。

 この4年余で、チカチカパフォーマンスの在り方そのものが、大きく変わった。仮にオーディションを受け直したとして、合格する保証はどこにもない。パフォーマーの大幅な若返りが進むなか、老兵は静かに去るべきなのか。しばし悩む。

2015年12月21日月曜日

CM-30電源端子接触不良

 昨日のサ高住Xmasライブで、開始直前に電源が入らない、というアクシデントに見舞われたローランドCM-30に関し、本格的に調べてみた。
 まず、手持ちのケーブルを変えて試してみる。使っているのは「c8電源ケーブル」と呼ばれる、端子がメガネ型のケーブルで、パソコン等の接続にもよく使われてる。本体は処分しても、ケーブルだけは捨てずに数本を保存してあるので、順に試してみた。

 結果として、満足に使えたのは端部がL字型に曲がっている1本のみ。他は全て端部がストレート型で、差し込んでもぐらつきが多く、電源ランプが点いたり消えたりで安定しない。これでは怖くて、実戦ではとても使えない。


 原因がケーブルではなく、端子側にあるような気がした。細いドライバーでさわってみると、突き出ている2本の金属棒がどちらもぐらつく。これが原因で接触不良を起こしているように思えた。
 買ってから5年余りが経過し、その間の使用頻度は非常に高い。普段は練習で使用し、ライブ時は電源ケーブルを抜いて移動。家に戻ると、再び電源ケーブルをつなぎ直す。これだけ抜き差しを繰り返せば、端子がじょじょに弱ってもおかしくない。
(もしかして、自力でぐらつきを直せるのでは…?)と考え、裏蓋を開けてみた。端子は基盤につながっていて、周囲を接着剤で強固に固めてあった。裏蓋の固定ネジを外しても、端子そのものの交換は素人には難しそうだった。
 端子の裏側から金属棒を探る手段もなく、この時点で自力補修は断念。裏蓋を元に戻し、今度は金属棒にケーブルを直接仮固定し、電源を入れてみた。
 すると、何ら問題なく電源が入る。コードを動かしても、端子付きケーブルのような接触不良はなぜか起きない。


 消去法によるテストで、要は端子付き電源ケーブルを使ったときにのみ、問題が起きることが分かった。端部を露出させたケーブルをハンダで直付けしてやればよさそうだったが、絶縁処理が難しく、リスクが高い。
 接続が最も安定している電源ケーブル1本を選び、接続部にガタが出ないよう、ビニルテープを2重に貼って調整。この状態で試してみたら、揺すっても接触不良は全く起きなくなった。

 根本的解決は修理に出して端子を交換してもらうことだが、CM-30を使うライブは年内にまだ4本も残っていて、時間的に余裕がない。まずはこの状態でライブを無事に乗り切ることだ。
 もうひとつの対策として、電源ケーブルを一切抜き差しせず、安定した状態で差しっぱなしにしておくことにした。抜き差しをすればするほど、端子は弱る。L字型端子なので、差しっぱなしでも梱包の邪魔にはならない。
 念には念を入れて、周囲を建築用のコーキング剤で固めてしまおうかと思う。さらに安定するし、万一の場合でもコーキング剤なら除去は容易。これで支障がなくなれば、本格修理は遠のきそうだが。

2015年12月20日日曜日

想定外続出のライブ

 4日連続となるXmasライブに出演。3日連続ライブは過去に数回経験があるが、4日連続は未知の領域だった。早寝早起きや喉の養生など、さすがに心身の調整が難しい。技術的なことは差し置いても、連続ライブなど物ともしないプロは、つくづく偉大だと思う。
 この日の会場は、昨年のクリスマス会でも歌ったサ高住。夏祭りにも呼んでいただいたので、今回が「高くて険しい」3度目の依頼だった。

 時間は直前まで確定しなかったが、14時40分からの30分間ということに落ち着く。しかし、開始時間がやや流動的らしく、用心してかなり早めに家を出た。
 13時55分に先方に着いたが、プログラムを見ると、2番めのグループが出演中だった。なんとこのグループが、チカチカパフォーマーでたまに共演したりもするアクション演劇の「わんわんズ」さんだった。全くの偶然だったが、先方も驚いていた。
 控室でじっと待っているのも暇なので、早めに機材を持ってステージ近くまで行った。ステージは裏からしか見られなかったが、総勢4人が忍者をテーマにした芝居の真っ最中。
 展開が早い感じがしたので、廊下で機材を予め組み立てておくことに。すると案の定、14時10分くらいで芝居が終わる。あまりに早すぎるので、てっきり休憩でも入るものと思っていたら、施設長のTさんから、「ではトムノさん、お願いします」との声がいきなりかかる。

 当初聞いていた時間より25分も早いが、幸いに機材の大半は組み終わっている。早く始まって早く終るのはこちらも歓迎なので、言われるままにステージに向かった。


 昨年のクリスマス会と同様に、L字型形状のコーナー部にステージがある。聴き手は150名ほどもいるので、PAは昨年同様2台を準備していった。
 コード類をすばやく接続し終えてまず音のテストをしたが、なぜかマイクもギターも音が出ない。コンセントや接続には問題がない。スイッチもちゃんと入れてある。しかし、電源ランプが点かない。
 ちょっとあせって、電源コードを何度か抜き差ししてみた。すると、ランプが赤く点滅する。どうやら、過去に一度あった接続部の接触不良らしい。強く押し込んだらようやく安定した。補助PAだけでやる最悪の事態だけは避けたい。音の出るうちに歌ってしまうことだ。

 ロスタイムは最小限にとどめられて、14時15分から開始。事前に提出済みのセットに従い、アンコールを含めて40分で13曲を歌う。(※は歌詞カード配布曲)

「ウィンター・ワンダーランド」「二輪草」「東京ブギウギ※」「ここに幸あり※」「二人は若い※」「365日の紙飛行機」「お座敷小唄」「時の流れに身をまかせ(三択で決定)」「酔歌」「ミネソタの卵売り」「青い山脈」「丘を越えて(アンコール)」「星影のワルツ(Wアンコール)」
 直前のわんわんズさんの芝居が大変に盛り上がっていて、場内はまだその余韻に酔っている印象がした。そのせいか、ほぼ例外なく手拍子が自然発生的に出る「ウィンター・ワンダーランド」で、全く反応がないという想定外の事態が起きた。
 早い開始とPAのトラブルに続き、3つ目の想定外だが、ここでめげてはならない。2曲目の冒頭で、「川中美幸さんは、この歌をステージで自ら手拍子しながら歌ってるんですよ」と逸話を披露し、会場に暗黙の手拍子をうながす。
 やや禁じ手に近いが、自分のペースをつかむには、こんな手段も時に必要だ。


 ここから場の反応が少しずつよくなり、3曲目から歌詞カード配布曲が続いたこともあって、じょじょにペースをつかむ。
 同じ時間に、小道具を片づけ終えた、わんわんズさんが客席に合流。以前からのパフォーマー仲間とあって、要所で手拍子をリード、そして喝采で場を盛り上げてくれた。
(「365日の紙飛行機」と「ミネソタの卵売り」を初めて早いテンポの手拍子で歌ったが、巧みなリードがあればこそ)

 一時は自分を見失いそうになったが、どうにか持ち直してラストに突入。打合せではここで職員さんからのアンコールが出るはずだった。つまりは「お約束アンコール」だったが、なぜか場は静まり返っている。
 ステージ袖にいたTさんに目をやると、小さな声で(アンコール、アンコール…)などと囁いている。まさかセルフアンコール…?と、思わず自分を指差した。
 自宅ライブならそんな趣向もときにあるが、介護施設で自分からアンコールは言い出しにくい。するとTさんからようやく「アンコール!」のかけ声。やっぱりそうでなくては。
 この日は8曲目にテレサ・テンを三択で会場の拍手で選んでもらったが、アンコールも予め準備してあった「丘を越えて」「旅の夜風」から、会場の拍手で選んでもらった。
 歌い終えてヤレヤレと撤収にかかったら、再び「アンコール!」の信じ難い声が湧きあがる。この日4つ目の想定外だったが、時計を見ると14時50分。終了予定はおそらく15時で、微妙に時間がある。なるほどと事情を察知し、「では何かご希望はありますか?」と、会場に問いかけた。

 反応がなければ適当に見繕って歌うつもりでいたら、会場中ほどにいた男性から「星影…」とつぶやく小さな声が聞こえた気がした。すかさず応じて、「確かいま『星影のワルツ』との声が…」と、近くにいた職員さんに確かめてもらう。
 ずっと賑やかだった場が、この曲でスッと落ち着いた。歌詞カードはなかったが、一緒に歌う人が多数。時に静かな曲もラストにいいものだ。またひとつ学んだ。

 想定外続出のライブだったが、どうにか経験値で乗り切る。4日目なので、疲労もピーク。高音部の伸びがいまひとつの印象だったが、施設側には喜んでもらえた。

2015年12月19日土曜日

家族的ライブの積み重ね

 怒涛のXmas連続ライブ3日目、10年以上も続く長いお付き合いのある近隣のグループホームで歌った。記録を調べてみたら、今回で27回目の訪問。よくぞ続いた。
外は激しい地吹雪だったが、積雪そのものはそれほどでもない。昨日に続き、車で数分の施設なので、難なく到着。近い会場は何かと都合がいい。

 予定よりやや遅れて、11時5分くらいからライブ開始。会場がやや狭いので交流電源のPAは使わず、主に路上ライブで使う乾電池式のPAを持参した。場所の都合で低い三脚に載せて使ったが、音はまずまずだった。
 いつものように男女のギター弾き語りユニット、エイプリルさんとの共演で、いつものように私が1番手を務める。
 グループホームとサ高住の複合施設なので、職員も入居者も大きな入れ替わりがなく、大半の方が顔見知り。まるで家族ライブのようなアットホームな雰囲気だった。それでも聴き手は近隣住民も含めて、50名を超えた。
 アンコールを含め、およそ20分で7曲を歌う。

「ウィンター・ワンダーランド」「二輪草」「ミネソタの卵売り」「バラが咲いた」「ソーラン節」「東京ラプソディ」「ジングルベル(リクエスト)」


 当初は持ち時間20分をまず歌い、その後10分で数曲のリクエストを聴き手から募るはずだったが、進行の都合でリクエストは限定1曲となった。

 最近は手拍子で聴き手が参加するパターンが多いので、9月のライブに引き続き、全曲手拍子の出やすい曲を選択。ほぼ思惑通りに進んだが、「二輪草」で目頭をぬぐう方がいてちょっと戸惑った。どんな歌でも人によっては思い入れがあるのだろう。
「ミネソタの卵売り」「東京ラプソディ」は調子のよい曲だが、手拍子のペースが高齢者には少し早すぎたかもしれない。「二輪草」「バラが咲いた」では歌う前に手拍子の「練習」をしたのでうまく合ったが、同じようにすべきだった。
 ラストのアンコールでは入居者から「北海盆唄」が、家族の子供(小学生)から「ジングルベル」のリクエストが出たが、進行の方の計らいで、「ジングルベル」に決まる。
 苦手の午前中ライブだが、1番手として場の盛り上げ役の役目は充分に果たせたと自己評価。その後エイプリルさんの演奏、入居者一同によるクリスマス紙芝居、ハンドベル演奏など多彩な余興が続き、12時半くらいで終了となる。


 ライブや余興は飲食なしで行われたので、会場を設営しなおし、手作りの美味しい食事会が始まる。プレゼント交歓、花束贈呈、ビンゴなど、楽しいイベントがいろいろあって、14時ころにお開きとなった。

 経営者の方も私と同年代。「また来年もよろしくお願いしますね」「こちらこそどうも」と、暮れの挨拶を交わす。こうして1年1年時を積み重ねてゆく。