依頼が多いのはありがたい限りだが、慣れからくる緩みや飽きに陥りやすいこともまた事実。そんな流れにクサビを打つべく、今回は過去に一度もやっていない職員さんとのコラボを、ライブの後半に取り入れることになっていた。
同じ系列の別施設で今年になって2度試み、いずれもうまく運んだ手法だが、実はその施設の責任者の方が以前に勤めていたのが今回の施設、という縁がある。
コラボ演奏は受けるが、準備が大変だった。かなり前から候補曲の絞り込みを行い、延べ6人の職員さんと5曲を一緒に歌うことに最終決着。
初披露が2曲あって、うち1曲はハモリを伴うデュエット曲の「カナダからの手紙」。事前リハが不可能なので難易度が高く、YouTubeで入念に調整した。
電子譜面を複数で見るには画面が小さすぎるので、A4に印刷した譜面と譜面台を別に準備。マイクも1本余分に持っていくことにした。
電子譜面を複数で見るには画面が小さすぎるので、A4に印刷した譜面と譜面台を別に準備。マイクも1本余分に持っていくことにした。
前夜から天候が急変し、市内では15センチの雪が降った。遠方なので遅刻が怖く、余裕をみて出発。思っていたより渋滞はなく、50分で無事に先方に着いた。
ただちに機材をセットし、時間までコラボ演奏の打合せやキーの確認をする。「カナダからの手紙」を一緒に歌う予定だったTさんが喉の異変で急きょ別の女性に変更になり、不安があるというので、簡単なリハを控室で行った。
予定通り15時から開始。前半35分は私のソロで10曲歌い、後半は職員さんとのコラボ演奏で5曲。ラスト2曲を私のソロでしめた。終了は1時間後の16時だった。
《前半〜ソロ》
「高原列車は行く」「ここに幸あり」「お座敷小唄」「酒と泪と男と女(リクエスト)」「矢切の渡し」「銀色の道」「雪国」「小樽のひとよ」「虹と雪のバラード」「熱き心に」
《後半〜職員とのコラボ》
「帰ってこいよ(初披露)」「浪花節だよ人生は」「糸」「カナダからの手紙(初披露)」「大空と大地の中で」
《シングアウト〜ソロ》
「東京ラプソディ」「また逢う日まで」
職員さんはもちろん、利用者の方々も多くが顔見知りなので、家族的な雰囲気の中でライブは進んだが、普段よりもやや大人しい雰囲気がした。前半の私のソロでもう少し手拍子系の曲を入れるべきだったかもしれない。
後半の職員さんとのコラボは、1曲ごとに歌い手が変わり、そのたびに会場が湧いた。職員さんと歌うことは開始時に告知していたので、前半の静ひつさは、もしかするとそれに対する期待感の裏返しだったかもしれない。
「大空と大地の中で」は施設長さん(男性)によるソロで、ラストのロングトーンを延々と引っ張り、しまいには息が切れて床に倒れてしまうという座興が大受け。さすがに責任者だけあって、場のツボを充分に心得ている。
曲の傾向や男女比、ユニット構成など、事前に充分に調整したかいがあって、変化に富んでいた。利用者の方々も年末にふさわしい楽しい会だったと、喜んでくれた。
毎回ではさすがに厳しいが、冗漫を避ける意味でも、こんな手法もたまにはいいものだ。