食べ物を全く受けつけず、微熱が解消せず、この数日間寝たきりの状態なので、やむを得ない措置だった。
移送や入院に必要な備品の準備は施設側でやってくれるというので、指定された時間に直接病院に行き、必要な諸手続きをやることになる。
9年前に街頭で倒れて以来、今回が6度目の入院だった。元来身体は丈夫だったが、やはり加齢には勝てない。
12時に家を出て、25分で病院に着く。一日でまた15センチ近くも降り、雪山で道幅は極端に狭まっているが、病院は小学校時代に住んでいた地区にあり、自宅からも近くて助かった。
ほどなくして施設の車で母が到着。ベットに近い大型の特殊車椅子で、酸素吸入器具が装着されている。
いろいろな書類に記入なつ印し、やがて病室に案内される。付加料金なしの四人部屋が空いていた。ただちにCTスキャンによる検査が実施され、その後母がベットに移動する。
酸素吸入器具はずっとつけたままで、喉にゼイゼイと痰がからみ、呼吸が苦しそうだ。医師の説明によると、病名は肺炎だった。原因ははっきりせず、風邪か誤嚥の可能性があるという。
11年前の同じ時期に父も誤嚥に起因する肺炎で食べ物を受けつけなくなり、炎症が広がって全身機能が衰え、93歳で亡くなった。そんなシーンがなぜか重なる。
施設にいるよりも安心はできるが、余談をゆるさない状況に変化はない。落ち着かない状況は続く。