ハズレが許されない依頼型のライブであれば、どうにか気持ちを奮い立たせるが、聴き手が定まらない路上ライブということが、状況を一層難しくしていた。
しかし、「キャンセルは極力しない」をチカチカパフォーマンスのモットーとしているので、いつも通りに準備して家を出た。
普段通りに片道2キロの道を機材を背負って歩いたが、遊歩道の雪はすっかり消えているのに、なぜか足が重い。気持ちのせいばかりでなく、体調もいまひとつの感じがした。
お腹の調子が悪く、車を停めた量販店のトイレに駆け込んだこともあり、事務局到着が遅れて14時ぎりぎり。この日は作品系パフォーマーを含めて3組の共演だったが、会場入りは一番最後だった。
他のパフォーマーも準備に手間取り、開演自体が定刻から30分遅れの14時半ころ。私の出番は2番目だったが、始められたのは15時10分からだった。
およそ30分で8曲を歌う。(※はリクエスト)
およそ30分で8曲を歌う。(※はリクエスト)
「ボラーレ」「僕の胸でおやすみ」「骨まで愛して(初披露)」「ブルー・ライト・ヨコハマ」「釜山港へ帰れ」「ビリーヴ」「シクラメンのかほり※」「時の流れに身をまかせ※」
この日も組立式椅子を使っての座って歌うスタイル。前回、機材組立てを急ぎすぎて指に怪我をしたので、慎重に作業した。
ソーラー充電のLEDイルミネーションも初めてセットしたが、ケーブルの処理に手間取った。初めて使う機材は、どうしても時間が取られる。
私とほぼ同時間に作品系パフォーマーの人間彫像が真横の北寄りブロックで演技を始め、かなりの人だかり。音や光は出さず、仮装してフリーズするだけのパフォーマンスだが、すぐ隣で歌うと互いに障害になりそうな感じがした。
そこで歌う場所を2ブロック南に移動する。この日は何かと手間取る日のようだった。
歌い始めても北側に集まった客の歓声が時折響き、いまひとつ集中を欠いた。それでも聴いてくれる人はそれなりにいたが、このところ試みている歌声サロンふうには程遠い雰囲気だった。
この日のキーワードは初披露の「骨まで愛して」。覚えたてで単純に歌いたかっただけだが、「ほ」に関連する曲を50音順に適当に見繕って歌う。
最近になって始めた手法だが、多ジャンルの曲をアトランダムに歌える意外性があり、我ながら気に入っている。当分はこの手法で演りたい。
「ビリーヴ」を歌っているとき、同年代と思しき中年女性が近寄ってきて、熱心に聴いてくれる。曲間で声をかけてきて、いつもどこで歌ってますか?と尋ねてきた。全体の半分は介護施設系ですと応ずると、本当ですか、母の暮らす施設でもぜひ歌って欲しい、と話が発展する。
連絡先を記した案内状とリクエスト用紙をお渡しし、その場でのリクエストにも応ずる。もしかすると近いうちに施設訪問が実現するかもしれない。
こうして聴き手との距離感が一気に縮まるのは、やはり座って歌うことの効果なのか?
体調も気分もいまひとつなので、ワンステージだけで早々に撤収することに決める。歌う場所を南に2ブロック移し、作品系パフォーマーと同時間帯の共演だったので、初めて試したLEDイルミネーションの評価は難しい。しかし、地下広場でもそれなりに目立つことだけは分かった。
過去の記録を調べると、新年度開始となる4月のパフォーマンスはおしなべて苦戦している。気力体力面も含め、最悪に近い条件の割には、まずまずの手応えと前向きに考えることにしよう。