場所は市内を一周する環状通沿いにあり、初めてでも迷うことはない。途中スーパーに寄って買物をしたが、道が夏のように乾いていて車の流れが実にスムーズ。開始予定より30分以上も早く着いた。
施設長さんに名刺をいただいて気づいたが、10年以上前にも系列の老健施設で歌っていた。しかし場所が離れていて担当も今回は女性。紹介ルートでの依頼ではない。
しばし待って、予定より少し早い14時38分から開始。想定外のアンコールなどあり、予定オーバーの40分弱で13曲を歌う。
「北国の春」「瀬戸の花嫁」「真室川音頭」「蘇州夜曲」「二人は若い」「高校三年生」「うれしいひな祭り」「釜山港へ帰れ」「いい日旅立ち」「つぐない」「夜霧よ今夜も有難う」「青い背広で」「月がとっても青いから(アンコール)」
聴き手はおよそ20名ほど。こじんまりした施設で、会場となった食堂もそう大きくはない。PAの音が大きすぎないか不安になり、事前に珍しくマイクテストをやり、音量はかなり絞った。
初めての施設は何が受けるか分からない怖さがある。偏った選曲は避け、定番曲を中心にニギヤカ系と叙情系の比率を半々程度にし、介護度の低いデイサービスであることを考慮して、懐メロ系は少なめにした。
1曲目からいきなりの手拍子が湧く。間奏でも拍手がおこり、出だしとしては悪くない。以降も共に歌う声や手拍子が相次いで、やりやすい進行となった。
9曲目で会場の拍手で歌う曲を決める「二択リクエスト」を仕掛ける。告知の段階で歓声が湧いたが、なぜか2曲とも支持する拍手がない。まるで拍子抜けだった。
それまでとは異なる反応でちょっと困っていたら、「2曲とも聴きたい」と職員さんが助け舟。「いい日旅立ち」「つぐない」の両方をそれぞれ短く詰めて歌う。「拍手の多いほうに決める」という趣向が、聴き手側によく伝わってなかった可能性がある。
後半に配置した昭和歌謡系の手応えが抜群で、傾向としてはじっと聴いてくれる「傾聴型」の場だな、と思った。
ラスト2曲を残して、時間はすでに終了予定の15時10分。どう締めくくるべきか施設側に確認すると、「あと1曲で終わってください」との応え。
5日前に別の施設で歌って好評だった「青い背広で」を再び歌ったが、年齢層の低い方には、いまひとつの反応だった。古い曲なので、「どこでも受ける」というわけではないことを悟る。
5日前に別の施設で歌って好評だった「青い背広で」を再び歌ったが、年齢層の低い方には、いまひとつの反応だった。古い曲なので、「どこでも受ける」というわけではないことを悟る。
それでも終了後に思いがけず「アンコール!」の声が聴き手から上がる。全く打合せにない自然発生アンコール(真のアンコール)で、時間厳守を事前に言われていたので、これまた判断を施設側に委ねた。
職員さんは次のスケジュールを気にしていたが、聴き手の勢いにすっかり気圧されていた。こちらも心得て、短い元気のよい曲で応じ、双方に配慮する形でおさめた。
終了後も「よかったね〜」「最高だった!」との声があちこちから耳に届く。近寄って直接声をかけてくれる方も相次いだ。手探りで進めた場だったが、今後のリピート依頼につながることを期待しよう。