その際、「来年の敬老の日にまたお願いします」と言われていたが、なぜか年明け直後に3度目の依頼がある。リピート依頼は大変ありがたいが、あいにく今冬の自宅周辺は市内でも一二を争う豪雪。途中の道路事情にも不安があり、一度はお断りした。
翌月にも打診があったが積雪状況は変わらず、「雪解けが進んでからご依頼を」とお願いし、ようやく今日のライブに至った。
前2回は早く着きすぎたので、出発を遅らせて11時10分に家を出る。施設近くのイオンで休憩し、持参のオニギリを頬張る。その後施設へと移動。到着は開始予定20分前という、程よい時間だった。
聴き手は隣接するグループホーム利用者も含めて30名ほど。3度目ともなると顔なじみも増え、開演前からすっかりリラックスムードだった。
予定少し前の13時28分くらいから始める。リクエスト&アンコールが相次ぎ、予定を大幅に超えた1時間で17曲を歌う。
《前半》(※は事前のリクエスト)
「春一番」「二輪草※」「真室川音頭※」「蘇州夜曲」「二人は若い」「宗谷岬」「みかんの花咲く丘(歌詞指導)」「釜山港へ帰れ」「小指の想い出」「夜霧よ今夜も有難う」
《後半》(全てリクエスト)
「ランナウェイ」「川の流れのように」「上を向いて歩こう」「嫁に来ないか」「ハナミズキ」「リンゴの唄」「丘を越えて(アンコール)」
この施設では圧倒的にノリのいい曲が受けるので、叙情系の曲はアクセント程度にとどめ、ニギヤカ手拍子系の曲を中心に選曲した。
過去2回同様に、1曲目から手拍子が飛び出す。職員さんが率先して盛り上げてくれるので、非常にやりやすい。トントンと調子よく歌い進む。
私のセレクションで歌った前半10曲で30分が経過。演奏時間は40分程度と言われていたので、開始前にリクエストのあった2曲をここで歌うことにする。ラストの曲で締めると、ピタリ時間内に収まるはずだった。
ところが歌い終えると、「九ちゃんが聴きたい」と再度のリクエストが出た。リクエスト一覧は初回訪問時に置いてきたので、それを見ながらの要望。つまり、全て対応可能なのだった。
請われるままに応ずるうち、次々とリクエストが続き、一向に収束の気配がない。担当のKさんも打ち切るタイミングに苦慮していた。
元気のいい方が中心だったが、1時間を超えるライブは聴き手も歌い手も負担が大きく、できれば避けたかった。そんなとき、シングアウトに絶好の「リンゴの唄」のリクエストが飛び出す。
「ではこの歌をみなさんと歌って締めくくりましょう」とすかさず告げたが、その前にぜひハナミズキを、と職員さんからのリクエスト。介護施設ではあまり歌わない曲だが、雰囲気に押されて結局歌った。
「リンゴの唄」をにぎやかに歌ってヤレヤレと撤収しようとしたら、最後列の男性利用者から「アンコール!」という信じがたい声。すでに開始1時間近くが経過していたが、何か歌わないとどうにも収まりがつかない感じだったので、「丘を越えて」で短く締めくくる。
休憩なしで、これほど長く歌うことは稀。しかも半分以上がリクエストという盛り上がりである。「ランナウェイ」「嫁に来ないか」など、介護施設系では珍しいリクエストも出て、何かと刺激の多いライブだった。
終了後、「年に2回は聴きたいよね」と話し合う声が耳に届く。施設が地方にあり、来訪するボランティアが少ないという事情も関係がありそうだが、非常に相性のよい施設である。長いおつき合いになりそうな予感。