2015年12月20日日曜日

想定外続出のライブ

 4日連続となるXmasライブに出演。3日連続ライブは過去に数回経験があるが、4日連続は未知の領域だった。早寝早起きや喉の養生など、さすがに心身の調整が難しい。技術的なことは差し置いても、連続ライブなど物ともしないプロは、つくづく偉大だと思う。
 この日の会場は、昨年のクリスマス会でも歌ったサ高住。夏祭りにも呼んでいただいたので、今回が「高くて険しい」3度目の依頼だった。

 時間は直前まで確定しなかったが、14時40分からの30分間ということに落ち着く。しかし、開始時間がやや流動的らしく、用心してかなり早めに家を出た。
 13時55分に先方に着いたが、プログラムを見ると、2番めのグループが出演中だった。なんとこのグループが、チカチカパフォーマーでたまに共演したりもするアクション演劇の「わんわんズ」さんだった。全くの偶然だったが、先方も驚いていた。
 控室でじっと待っているのも暇なので、早めに機材を持ってステージ近くまで行った。ステージは裏からしか見られなかったが、総勢4人が忍者をテーマにした芝居の真っ最中。
 展開が早い感じがしたので、廊下で機材を予め組み立てておくことに。すると案の定、14時10分くらいで芝居が終わる。あまりに早すぎるので、てっきり休憩でも入るものと思っていたら、施設長のTさんから、「ではトムノさん、お願いします」との声がいきなりかかる。

 当初聞いていた時間より25分も早いが、幸いに機材の大半は組み終わっている。早く始まって早く終るのはこちらも歓迎なので、言われるままにステージに向かった。


 昨年のクリスマス会と同様に、L字型形状のコーナー部にステージがある。聴き手は150名ほどもいるので、PAは昨年同様2台を準備していった。
 コード類をすばやく接続し終えてまず音のテストをしたが、なぜかマイクもギターも音が出ない。コンセントや接続には問題がない。スイッチもちゃんと入れてある。しかし、電源ランプが点かない。
 ちょっとあせって、電源コードを何度か抜き差ししてみた。すると、ランプが赤く点滅する。どうやら、過去に一度あった接続部の接触不良らしい。強く押し込んだらようやく安定した。補助PAだけでやる最悪の事態だけは避けたい。音の出るうちに歌ってしまうことだ。

 ロスタイムは最小限にとどめられて、14時15分から開始。事前に提出済みのセットに従い、アンコールを含めて40分で13曲を歌う。(※は歌詞カード配布曲)

「ウィンター・ワンダーランド」「二輪草」「東京ブギウギ※」「ここに幸あり※」「二人は若い※」「365日の紙飛行機」「お座敷小唄」「時の流れに身をまかせ(三択で決定)」「酔歌」「ミネソタの卵売り」「青い山脈」「丘を越えて(アンコール)」「星影のワルツ(Wアンコール)」
 直前のわんわんズさんの芝居が大変に盛り上がっていて、場内はまだその余韻に酔っている印象がした。そのせいか、ほぼ例外なく手拍子が自然発生的に出る「ウィンター・ワンダーランド」で、全く反応がないという想定外の事態が起きた。
 早い開始とPAのトラブルに続き、3つ目の想定外だが、ここでめげてはならない。2曲目の冒頭で、「川中美幸さんは、この歌をステージで自ら手拍子しながら歌ってるんですよ」と逸話を披露し、会場に暗黙の手拍子をうながす。
 やや禁じ手に近いが、自分のペースをつかむには、こんな手段も時に必要だ。


 ここから場の反応が少しずつよくなり、3曲目から歌詞カード配布曲が続いたこともあって、じょじょにペースをつかむ。
 同じ時間に、小道具を片づけ終えた、わんわんズさんが客席に合流。以前からのパフォーマー仲間とあって、要所で手拍子をリード、そして喝采で場を盛り上げてくれた。
(「365日の紙飛行機」と「ミネソタの卵売り」を初めて早いテンポの手拍子で歌ったが、巧みなリードがあればこそ)

 一時は自分を見失いそうになったが、どうにか持ち直してラストに突入。打合せではここで職員さんからのアンコールが出るはずだった。つまりは「お約束アンコール」だったが、なぜか場は静まり返っている。
 ステージ袖にいたTさんに目をやると、小さな声で(アンコール、アンコール…)などと囁いている。まさかセルフアンコール…?と、思わず自分を指差した。
 自宅ライブならそんな趣向もときにあるが、介護施設で自分からアンコールは言い出しにくい。するとTさんからようやく「アンコール!」のかけ声。やっぱりそうでなくては。
 この日は8曲目にテレサ・テンを三択で会場の拍手で選んでもらったが、アンコールも予め準備してあった「丘を越えて」「旅の夜風」から、会場の拍手で選んでもらった。
 歌い終えてヤレヤレと撤収にかかったら、再び「アンコール!」の信じ難い声が湧きあがる。この日4つ目の想定外だったが、時計を見ると14時50分。終了予定はおそらく15時で、微妙に時間がある。なるほどと事情を察知し、「では何かご希望はありますか?」と、会場に問いかけた。

 反応がなければ適当に見繕って歌うつもりでいたら、会場中ほどにいた男性から「星影…」とつぶやく小さな声が聞こえた気がした。すかさず応じて、「確かいま『星影のワルツ』との声が…」と、近くにいた職員さんに確かめてもらう。
 ずっと賑やかだった場が、この曲でスッと落ち着いた。歌詞カードはなかったが、一緒に歌う人が多数。時に静かな曲もラストにいいものだ。またひとつ学んだ。

 想定外続出のライブだったが、どうにか経験値で乗り切る。4日目なので、疲労もピーク。高音部の伸びがいまひとつの印象だったが、施設側には喜んでもらえた。