まずは鏡餅やゲタ箱上の正月飾りをやろうとしたら、妻から不意にマッタがかかる。
「飾る前に、もう一度掃除機かけて」
殺人的ライブスケジュールに合わせて早めに大掃除を済ませたのはよいが、あまりに早すぎたせいで、あちこちに新たなホコリが溜まっている。それをざっと払ってから飾りつけをしてくださいな、というのが妻の要望だった。
もっともな指摘だったので、もう一度2階から掃除機をかけ直すことに。思いがけず掃除のし忘れた場所を見つけたりし、けっこうな時間を費やした。
その後ようやく飾りつけにとりかかる。来年の干支やカレンダーも含めていろいろやって、全部終わった頃はすでに12時を大きく回っている。
この日の昼食は忘年会をかね、平日90円の回転寿司で食べることになっていたが、いざ外に出てみると昨夜来の雪は予想以上に深く、軽く20センチは積もっていた。除雪をしないと車は出せそうになく、急きょ床下から電動除雪機を引っ張りだし、今冬初めて本格的な除雪作業をした。
寿司を食べ終えたら、空は次第に晴れてきた。その足で母の暮らす施設に行き、今年最後の面会。30分ほどあれこれ話して、帰りは2つのスーパーに寄り、年越し用の食材を調達する。
帰宅後、29年もの長い期間、クリスマスと新年のカードをやりとりしているカナダの友人あてに、新年のカードをしたためる。
小学校の国際交流で子供が我が家に1週間ホームスティしたのが縁だが、当時11歳だった子がいまや40歳。結婚して3人の子持ちとなった。夢のような月日の流れを感じる。
毎年恒例の近況報告だが、数枚の家族写真を同封し、カードには心境として、
「Time goes like a rainbow.」(時は虹のように過ぎ去ってゆく)と、慣用句をもじったフレーズを今年は記す。
「Time goes like an arrow.(光陰矢のごとし)」が本来の使い方だが、鮮やかに輝いて夢のように消え去る人生の儚さと愛しさとが、うまく表れている詩篇ではないかと、一人悦に入る年末のひととき。