2015年7月20日月曜日

原点はブラスバンド

 母が暮らす施設から数日前に連絡があり、急に夏祭りイベントをやることになったという。午前9時半開始という非常に早い時間帯で、前日は別の介護施設で歌ってきたばかり。疲労が残っていたが、せっかくの施設側の配慮なので、がんばって行ってきた。
 開始には5分遅れたが、小学生の空手演武が始まったばかり。母はすでにヘルパーさんに誘導されて、テント下の椅子に座っていた。

 お目当ては10時開始の中学生ブラスバンド。母も私も音楽好きで、よく家族で無料の音楽イベントに通ったもの。私がいま弾き語り活動を延々と続けている原点には、音楽好きの母の影響がある。
 中学生のころは2年間ブラスバンドでパーカッションを担当した。ブラスバンドで音楽の楽しさを知った。


 時間通りに演奏が始まる。部員はおよそ40人ほど。珍しく4〜5人の男子生徒の姿も見える。私が在籍していた50年前は大半が男子部員で占められていたが、最近は男女比が逆転して、多くが女子部員。時代は変わった。
 こうもり序曲、デイズニーメドレー、AKB系?の新しい歌、川の流れのように、マイウェイなど、幅広い年齢層に配慮したバラエティに富んだ構成である。技術的にも確かなものがあった。

 進行と共に陽射しが次第に強くなり、日陰の全くない場所にいるメンバーは、顔を真っ赤にして演奏していた。準備のいい生徒は、足元に置いた魔法瓶で水を補給したり、タオルで顔をぬぐったりしている。用意がない生徒がちょっと気の毒だった。
 冒頭で挨拶に立った部長は、長身の女子生徒。ドラムセットを操っていたかと思うと、反対側に回ってベースを弾いていたりする。彼女に限らず、将来的には趣味や本業で音楽を続ける生徒が数多くいるに違いない。この私がそうであったように。
 演奏を聴くうち、遠い50年前の自分の姿が重なって、熱いものが胸にこみあげた。傍らの母も大変な喜びよう。

 父が長期間お世話になった病院では一度歌わせてもらったが、母の施設ではまだ機会がない。入居時にその旨は伝えてあり、弾き語り専用の名刺も渡してあるので、いつか実現するかもしれない。