ところが、いくら締めても止まる気配がなく、ヌルリとした空回りの手応えが。(まずい…)と直感した。そう、ネジ部がナメてしまった、いわゆる「バカ」の状態である。ネジ山が摩耗してネジが効かなくなってしまったのだ。
予備のスタンドが1台あるのでそっくり交換しようとしたが、常用しているスタンドには電子譜面ホルダーが装着してあり、つけかえが必要だった。
正常なジョイント部品に交換するのも、これまたかなりの手間。出発時間が迫っていたこともあり、急きょビニールテープでジョイント部をグルグル巻きにして応急処置。本番では事なきをえた。
赤マル部が摩耗したネジ部で、上に新たにネジ穴を作った |
帰宅後、修復を試みる。ダメになったジョイント部だけを購入する手段もあったが、送料税込で1,242円。廉価品なら2千円ほどでマイクスタンドが買える。割にあわない。
4日後にも別のライブが迫っていて、仮に注文しても間に合わない。何とか自力補修するしかない。
調べてみると本体はプラスチック製で、加工自体は簡単そうだった。ジョイントとパイプを貫く穴をドリルで開け、貫通ボルトナットで固定しようと考えたが、固定は完全になっても、パイプの角度や前後方向の調整が不可能になる。
別の場所に新たな穴を開け、どうにかしてネジ山を切って、現状と同じ方式にするのがベストである。
その後いろいろ試して、以下の手段で修復に成功した。
1)現状のネジM6より一回り細いΦ5のドリルで、90度離れた位置に新たに穴を開ける。
2)入口部分の1ミリほどを、Φ6のドリルで穴を広げる。デリケートなので電気ではなく、手回しで作業。
3)付属のM6固定ネジ先端部をライターで温めて、少しずつ穴の中にねじ込んでやる。一気にやると割れるため、1回転したら戻して抜き取り、また温めてねじ込む。これを根気よく繰り返す。
2)3)の工程は、本来なら「タップ」という専用道具を使ってやるが、アマゾンで440円前後。(本体のみ)ハンドルまで買うと2千円近くの出費となり、これまた丸ごとマイクスタンドを買うほうが合理的だ。
ともかくも、最低限の投資で最適な結果に到達。4日後のライブも無事に乗りきれた。今後同様のトラブルが仮に起きたとしても、新たな場所に同じ手法でネジ山を切り直せばよいことになる。
買ってから10年を経たマイクスタンドだが、幾多の補修を重ねて、まだまだ使い続ける。本日のDIY難度、5段階中の3くらい。専用工具なしでメネジを切る慎重さと根気が必要。