2019年6月15日土曜日

古希の節目ライブ

 北海道神宮祭の関連イベント「北海道神宮フォークうたごえまつり」に、4年ぶりに出演した。今年で17回目の伝統あるイベントで、私は2005年に初めて出演。その後2年続けて出て、4年後の2011年と、さらに4年後の2015年にも出た。
 今回が6度目の出演で、だいたい1/3は出ていることになる。
 主催は地域FMの三角山放送局。当初はイベントとしての知名度が低く、2005年の出演者は7組だった。最初の数回は1組2曲歌えたが、2007年から応募者の急増で枠が12組に増え、曲は1組1曲限定となった。
 2005年まではコンテスト形式で優勝と優秀賞2組を選んでいたが、2006年からそれも廃止され、単なる音楽イベントとして定着した。

 最近の出演枠は15組だが、例年その倍は申込数があるという。応募者多数の場合は抽選で決定、と募集要項にあるが、実際には全体のバランスをとりつつ、事務局による予備審査で最終決定されるのではないか。


 今回久しぶりにエントリーする気になったのは、4年ごとの節目にあたるほか、10月に古希を迎えることが大きな理由だった。
 62歳で出演した地区センター夏祭りイベントで、「今後の目標は?」と進行の方に突然問われ、「そうですね…、では70歳まで歌い続けることにしましょうか」と咄嗟に答えたもの。
 当初は単なる思いつきのつもりが、年を重ねるにつれ、次第にそれが現実の目標へと変貌していった。たとえささやかでも、人生にはやはり目標が必要なのだと思う。

 2年前に咳喘息を発症し、喉を致命的に傷めて活動の継続が怪しくなったが、病院での治療と食事や日々の節制、練習法の改善などで懸命の対策を試み、その後じょじょに回復。誕生日まであと4ヶ月あるが、密かな目標は達成できたと自己評価したい。

スタンバイの様子

 当日は空模様が怪しく、予報よりも早い15時過ぎから雨がぱらつき始めた。会場は北海道神宮境内にある土俵の上。屋外だが屋根があって歌うには支障がなく、雨天決行が原則である。

 妻を伴って車で出発。17時5分前に最寄りの駐車場に着き、そこから境内まで傘をさしてテクテク歩く。控室入りは17時15分で、進行の方と簡単な打合せをし、静かに出番を待つ。
 私の出演順は5番目。たまには1番をやってみたいが、今回も外れた。


 雨は本降りにはならず、帽子があれば凌げる程度。しかし、雨の影響でいつもより観客は少なく、開始の18時時点で50〜60名ほどだった。
 18時13分からライブは始まったが、出番2つ前にはステージ裏のテントにいなくてはならず、18時20分には控室から自主的に移動した。
 トントン進んで、あっという間に出番。今年は初参加が多いそうで、古株として自分が選ばれた理由もなるほどと納得できる。

 リハの類いは一切なく、音響も一発勝負である。譜面台は用意してくれるが、シールドケーブルは各自が持参。直前の演奏者がインタビューを受けているわずかな時間にスタンバイする。
 客はじょじょに増えて100名弱。ステージに立つと、最前列に座る客から声をかけられた。以前によく通っていたフォーク居酒屋の常連客で、ママさんの顔も見える。他の出演者がらみで、応援にやってきたようだ。歌う前のわずかな時間に「しばらくです」と挨拶を交わす。


 タイムスケジュール通り、18時37分から歌い始めた。今回の選曲は、ふきのとうの「風来坊」。特に路上ライブでは抜群の集客効果があるノリのいい曲で、いきなり会場から手拍子が飛び出してびっくりした。

 以降、その会場のノリに合わせる感じで歌い進める。歌詞は4番まであって、1〜2番の間には間奏がなく、2〜3番の間には短い間奏がある。しかし、曲が長引いてせっかくの手拍子が細くなってはいけないと思い、咄嗟の判断でこの間奏は飛ばした。
 冗漫を避ける意味で3〜4番の間奏はさすがに省かず、ラストも譜面通り。最後まで手拍子が途切れることはなく、これといったミスもなく歌い終える。「坂は続く、続く〜♪」というラストのフレーズが、いまの自分の心境にピタリはまっている気がした。


 終了後のインタビューで活動歴や年齢のことなど聞かれたが、隠さずそのまま披露。70歳はあくまで自分の内なる目標であって、ことさら強調して客におもねる気はないが、同年代の方にとっては何かしらの励みになるかもしれない。

 終わって引き上げる途中、最前列で盛んに声援を送ってくれたSさんがやってきて、硬い握手と言葉を交わす。ガンを患って以来、店からはしばし遠ざかっているが、音楽仲間はいいものだな…、と思った。


 他の出演者を10組くらいまで見届けたあと、翌日も午前中から遠方でライブがあるので、早めに会場を出た。事務局から幕の内弁当、缶ビール、ギフト券などいただき、帰宅後に遅めの夕食をとる。
 節目の今回が最後と思っていたが、もし歌い続けられていたら、そのうちまたエントリーするかもしれない。いざ終わってみると、そんな欲が出てきた。