構想を練るために描いたスケッチ(エスキス)はB4用紙に8枚余。請負仕事ではないので作業時間は記録していないが、数十時間といったところか。10m²程度の車庫だが、構造計算までやっているので、これくらいはかかる。
手間はかかったが、久しぶりに心が躍る楽しい時間だった。
最も頭を悩ませたのが工法。当初は本格在来工法でプロの大工さんに頼む気でいて、その方向でスケッチと構造計算も済ませていた。
ところが、発注形態や予算を詰めてゆく段階で次第に気持ちが変わり、19年前の新築当時と同様に、可能な限りセルフビルド(DIY)でやる気になった。台風の後始末関連で不測の事態が起こり、特に予算面で厳しい状況に追い込まれたことも影響した。
問題は70歳を目前に控えた我が身が、セルフビルドのハードワークに耐えられるか否か?という不安だった。今回は古い車庫の解体作業も伴うのでなおさらだ。
しかし、この19年でDIYのノウハウも多く積み重ね、以前よりは要領よく進められるようになった。市内在住の長男も要所での協力を申し出てくれているので、どうにかやれそうな感じはする。
建替えに伴う準備作業はもう始まっていて、既設の車庫床に敷いた大量のレンガとブロックの撤去移動はすでに済ませたが、大きなトラブルはなかった。
体力は間違いなく落ちてはいるが、前回と違うのは日々の請負設計業務がないこと。追われるものは何もない。無理せず、自分のペースでゆっくりやればよいのだ。
全面にコンクリートを打つ予定の基礎部分だけは専門業者に依頼する。ここだけはスケッチを元にCADソフトに落とし込み、見積り用図面を作った。
車庫本体は前回同様にツーバイ材を使った工法でやるが、強力台風にも耐えうるよう、軸組の固定方法や方杖による補強材など、前回よりも数段強固な構造にする。
屋根も専門業者に依頼するつもりだったが、DIYでも施工可能なフランス製の強固な屋根材を偶然見つけた。こちらも施工法さえ遵守すれば、風速53M/秒の強風に耐えられるという。たぶんこれでやる。
大掛かりなDIYは年齢的にもう無理だと勝手に決めつけていたが、災いを機に弱気の虫を吹き飛ばし、新しい自分を見つけられるかもしれない。そんな前向きな気持ちになってきた。