2018年2月28日水曜日

延々と続く

 施設内で転倒し、右目の上を14針縫って1日だけ入院した母の抜糸の日だった。病院の予約時間が14時で、早めに食事を済ませて13時に施設へ向かう。風邪が抜けきらず、まだ薬を飲んでいる半病人の身だが、車での送迎が関わるので、代行できる者はいない。
 看護師さんが現れて、車椅子からの乗り降りで痛がるので、介護タクシーにすべきだったと言う。1週間前の退院時には、私の軽自動車でも特に支障がなかった。

 介護タクシーの急な手配は難しいので、前回同様に私の車で向かうことにする。確かに乗る際には身体のどこかを痛がったが、座席に座ると大人しくなり、痛みは消えたようだ。
 病院に着いてから慎重に車椅子に載せたが、下りる際はなぜか痛みを全く訴えず、単に手を添えてやるだけで済んだ。
(推測だが、今月2度目の転倒時に肋骨の一部にヒビでも入ったのかもしれない)
 ほぼ予約時間通りに診察室に通され、さっそく抜糸。簡単に終わって、それで帰れるはずが、この1週間の母の様子が詳しく記された手紙が施設から医師宛にあり、痛がったり嘔吐したりするので、再度CTスキャンをやって欲しいとのこと。
 2日に渡って詳しく検査をやっているので、医師はその必要なしと判断していたが、施設からの強い希望なので、念のためもう一度やることになる。

 ここからかなりの待ち時間があり、全てが終わって帰路についたのが16時15分。施設に送り届けて、17時ころから栄養士さんや看護師さんとまた細かい打合せをする。


 施設側の新たな対応として、尿をカテーテルで膀胱から直接取る手段に変わっていた。退院直後からやっているそうだが、これにより深夜にトイレに行く必要がなくなり、転倒のリスクは激減することになる。
 本来は入院時などにする対策で、ずっとやるのは医療上好ましくなく、あくまで容態が落ち着くまでの措置。

 不思議なことに、それでも日に3度は尿意を訴えるそうで、そんな時は部屋に置いたポータブルトイレに座らせると落ち着くという。もちろん尿は出ないが、母にとって深夜のトイレは、あくまで精神の問題であることが明確になった。
 これまでオープンだったトイレの外側は、アコーディオンカーテンで常時閉ざされ、マグネットが強いので握力の弱い母は、一人では開けられない仕組みになっていた。いつもの場所にあるトイレが見えないので、ポータブルトイレに座る気になったのか。
 幼児が「オマル」でトイレの訓練をするのと似ているな、と思った。目的はまるで違うが、要は母の転倒リスクが減ってくれればよいのだ。

 先日の私の提案とは対応が少し違っていたが、トイレを「危険地帯」とみなし、対策を絞り込んでくれたのは朗報。さすがにプロだな…、と感心した。
 このまま落ち着いてくれるとよいが、容態が安定して自立歩行が可能になると、またぞろ一人で歩き出して転倒を繰り返すのだろう。終りが来るまで、そんな日々が延々と続くのだろう。家族の不安や負担もまた…。