2018年2月18日日曜日

初めての場は難しい

 車で30分ほどの有料老人ホーム誕生会で歌った。ネット経由での依頼だが、実は系列の別施設で、7年前に2度歌っている。当時の担当者はすでに辞めたらしく、施設も異なるので、全くゼロからの打合せとなった。
 運営母体は同じで、入居者の入れ替わりが少ないという条件は同じ。介護度の重い方が多いということで、担当のMさんと内容を電話やFAXで細部を煮詰めた。

 前回歌った施設では、「演歌は歌わない」「洋楽系を多めに」など細かい条件が出たが、今回は「可能であれば、裕次郎を1曲」以外に具体的な要望はなく、構成は一任された。
 30分という短めの演奏時間ということもあり、冒険を避けてごく一般的な内容で臨むことにする。
 開始30分前の13時に先方到着。小学生時代に住んでいた地域なので、迷うことはない。
 歌うのは2階のホールで、聴き手は50人ほどか。定員は98名とのことだが、全員が参加するわけではないようだ。


 13時15分くらいから機材の設営を始め、20分過ぎにはスタンバイした。念のためPAは2台を準備したが、聴き手の数と矩形に近い会場の形状から、普段通りの1台でやることにした。
 冒頭にMさんの挨拶があり、予定より早めの13時27分から歌い始める。およそ30分強で、11曲を歌った。

「北国の春」「蘇州夜曲」「お富さん」「知床旅情」「二人は若い」「高校三年生」「仰げば尊し」「矢切の渡し」「夜霧よ今夜も有難う(リクエスト)」「月がとっても青いから」「青い山脈」
 ある程度予想していたが、場の反応は全体的に弱かった。初めての場なので隔たった構成は避けたが、懐メロ系として選んだ「蘇州夜曲」「二人は若い」の手応えがまずまずで、昭和歌謡系の反応がいまひとつの印象。
 唱歌系として歌った「仰げば尊し」は、明らかに他施設よりも反応が弱い。ここは「故郷」を歌うべきだったかもしれない。
 洋楽系はあえて歌わなかったが、「ケ・セラ・セラ」や「サンタ・ルチア」「エーデルワイス」あたりを試してみたかった気もする。

 始まりが早かったので、予定の10曲では時間が余りそうだった。進行上、終了時間は予定通りにすべきと判断。急きょ「矢切の渡し」を歌って時間を調整する。


 共に歌ったり手拍子をしたり、目を輝かせて聴いてくれる一部の利用者の方も確かにいたので、歌が全く届いていなかったわけではない。しかし、難しい進行だったことは間違いない。

 終了後に担当のMさんとしばし話したが、フォーク系の声なので、フォークも1曲聴いてみたかった、と言われた。しかし、歌っている立場としては「君恋し」「誰か故郷を想わざる」「長崎の鐘」など、戦前の懐メロや童謡をもっと歌うべきだったかも…、と反省しきり。
 初めての場とは、かくも難しいものである。