2018年2月11日日曜日

「冬」を歌う

 数ヶ月前から依頼されていた地域カフェ(日曜カフェ)で歌った。昨年6月に続いて2度目の依頼だったが、前回は夏風邪からくる喉の不調で体調が思わしくなく、薬を飲みながらどうにか乗り切った経緯がある。
 今回は体調も戻って喉も復調。薬にも頼らずに万全の態勢で臨んだ。
 ずっと温暖だった陽気が一転してあいにくの雪。湿った春の雪が10センチほども降り、開始は10時だったが用心して8時35分に家を出る。
 雪に強い札幌新道を主に走ったこともあってか渋滞もなく、夏と変わりない50分弱で会場に着く。

 会場は地域の町内会館だったが、冬に訪れるのは初めて。深い雪で周辺の様子がすっかり変わっていたが、道路沿いにピンクのよく目立つノボリが立っていて、「日曜カフェ・ポピー」の文字が。あとで責任者のS子さんから聞いたが、場所が分かりにくいとの声から、新しくそろえたそうだ。


 会場が広いので、今回もPAは2台を準備した。設営中に客席から「菊地さん」と呼ぶ声がする。16歳のときに郵便局のアルバイトで知り合ったMさんだった。
 バイト終了後も断続的な交流が続いていたが、ここ30年はもっぱら年賀状だけのおつき合い。ところが先月、突然の電話があり、町内会回覧板で私が歌う案内状が回ってきたという。
 調べると、会場とMさんの家が目と鼻の先。ぜひ聴きにきてください、と声をかけてあった。長く歌っていると、いろいろな偶然が起きるもの。
 開始間近になって続々と人が入ってきて、悪天候にも関わらず、聴き手は前回と変わりない30名弱も集まった。認知症予防もかねているイベントなので、全て中高年である。
 定刻やや遅れの10時2分から開始。前半は40分で11曲を歌った。
(※は案内状で事前告知の曲)

「白い冬※」「白い想い出※」「冬のリヴィエラ※」「虹と雪のバラード※」「矢切の渡し」「雪が降る※」「灯台守」「雪化粧」「ダニーボーイ」「神田川」「サボテンの花」


 先にふれたように、地域に回覧された案内状には、S子さんによる概要が記されていた。イベントのタイトルは「冬を歌う」で、冬に関連する5曲がすでに掲載されている。
 この5曲はある種の事前リクエストなので必ず歌わなくてはならず、前半の早い時間にリストアップ。他の6曲も全て冬に関連する曲でまとめた。
 全般的に叙情的なPOP系、フォーク系の曲を好む場なので、そうした傾向に沿った内容でもある。

 苦手な午前中ライブだが、前回と違って体調には問題なく、キーも普段通り。会場の手応えも抜群で、いい調子で歌い進んだ。
 10時42分に前半を終えて休憩に入ったが、メッセンジャー役としてS子さんが集めてくれたリクエスト一覧を見ると、全部で14曲も並んでいる。後半40分で全部歌い切るのはとても無理で、リクエストをなるべく多くさばくべく、急きょ予定を早めて10時47分から後半を始めることにする。
 約45分で12曲を歌った。(全てリクエスト)

「ウナ・セラ・ディ東京」「吾亦紅」「なごり雪」「月の沙漠」「時代おくれ(初披露)」「シクラメンのかほり」「釜山港へ帰れ」「糸」「風」「川の流れのように」「五番街のマリーへ」「この広い野原いっぱい(シングアウト)」


 後半になると静ひつだった場も次第に乗ってきて、曲紹介のたびに歓声やため息が上がる。「いい声だね!」の声もかかるようになった。
 体調に余裕があったこともあり、今回は要所で意識してMCを入れ、自己紹介や曲にまつわる裏話を披露したが、これは聴き手とのコミュニケーションにかなり役立った。持ち時間にもよるが、MCはライブの大事な潤滑剤である。

 時間不足等の理由から結果として歌えなかったリクエスト曲は、「山谷ブルース」「雪國」「東京(桑田佳祐)」の3曲。リスト一覧から何を歌うかは一任されていたが、「山谷ブルース」は以前に一度歌っていて、「雪國」は歌詞が年末むきの内容、「東京」はレパートリー外という理由から外した。
 地域カフェとしては2度目のステージで、他に演者のいない単独ライブ。責任は重かったが、各種調整がうまく運んで、S子さんにも喜ばれた。
 終了後に「歌詞が心にすっと入ってくる」と数名の方から声をかけられた。よく指摘されるが、この理由は自分でもよく分からない。しかし、ほめ言葉であることは確かだ。
 反省としては、しばらく歌ってなかった「時代おくれ」で、メロディの一部をミスしたこと。「シクラメンのかほり」で「薄紅色」を「薄紫」と歌ってしまったことがある。リストにある曲は定期的におさらいすべきだ。

 地域包括支援センターの支援を受けた事業だが、運営は全て地域住民で行っていて、月2回ずつ年間24回開催されている。予定通り盛況で1年を終えようとしているので、今後とも地域に定着する可能性が高い。