2015年10月3日土曜日

冷や汗コンサート

 近隣の地区センターで催された地元小中学校の音楽発表会「ふれあいコンサート」で歌った。私の担当はラストのシングアウトで、「ドレミの歌」をリードしつつ、全員で歌う。
 2年前にも全く同じ場で歌っていて、1曲限定。場所も近く、大きな問題はないと、どこか軽く考えていたかもしれない。実はここに大きな落とし穴があった。

 折しも、道立近代美術館前にあるカフェで週明けから展示される「ガリ箱アート」の立体オブジェ作りの真っ最中。お店の都合で、製作期間が3日間しかなく、ぎりぎりである。前夜から集中的に作業していて、当日も朝から作業していた。
 コンサートでの私の出番は11時20分。11時までには会場に入ります、と前日までに館長さんとメールで打合せていた。15分前に家を出れば間に合う、そう思いつつ作業していたが、突然電話が鳴る。館長さんからで、「菊地さん、今日はコンサートの日ですよ!」と悲痛な声。時計を見ると、11時7分。しまった!

 自分でもよく分からないが、(あと30分あるな…)と思いつつ作業していた。つまりは、とんでもない時間の錯誤である。11時を過ぎても現れないので、(もしや…)と思って電話をくれたのだ。
 そこからの動作は、自分でも信じられないほど早かった。妻に頼んでマイクスタンドとバッテリを持ってもらう。PA一式を素早く箱に詰め、バタバタと車に積み込む。落ち着いて備品を指差確認したら、ギターとシールドケーブルを積み忘れていた。
 ただちに出発。2つある信号はどちらも青で、すんなり会場に着いた。あいにく駐車場は満杯で、やむなく空いた路肩に車を停め、あたふたと会場に走りこむ。
 館長さんが待ち受けていて、進行が少し遅れているとのこと。時計を見ると11時15分で、奇跡的に間に合った。


 会場では最後の中学生ブラスバンドが始まったばかり。息を整えながら会場の隅で機材を組み立てる。幸いに忘れ物はなかった。やっと一息ついたら、どっと汗が吹き出した。
 ブラスバンド演奏が終わったのは、11時35分。結果として15分遅れたことになるが、全くの冷や汗ものである。

「一日に2つのことをやるときは要注意」
「手慣れた場でも気を抜くな」
 いつも自分に言い聞かせていたはずだったが、忘れた頃にトラブルはやってくるものだと痛感。
 肝心の歌のほうは、不思議なほど落ち着いてやれた。いわゆる「火事場の馬鹿力」とのようなものか。
 開始前にテンポや入りのタイミング、ラストのフェルマータのタイミングなどを全員に確認し、一部は実際に歌ってみせた。事前の練習は全くやってなかったので、これがちょっとしたリハーサルの代りにもなった。

 会場は4つの小中学校音楽部生徒と、その父兄でいっぱい。300人近くはいたかもしれない。終了後に何人かの父兄や地域住民の方に、感謝の声をかけていただいた。
 自分で招いた修羅場だったが、どうにか大きな穴を開けずに済んだことが救い。しばらくは自分を戒めなくては。