2015年10月2日金曜日

箱そのものを素材に使う

 爆弾低気圧襲来で、強風と雨、そして突然晴れたりと、めまぐるしく天気が変わる一日だった。ガリ箱アート展用の立体オブジェ「糸をかし」の部材加工を外でやりたかったが、あまりに不安定な空模様で断念した。
 たまたまNHK-BSで「悲しみよこんにちは」の映画をやっていて、観はじめたらなかなか面白い。そこで居間の一隅にシートを広げ、ここで木材の加工やら組立て、そして塗装をやることにした。


 展示にあたって、カエルヤ珈琲店からお借りしたガリ箱には一切加工をしてはいけない、という絶対ルールがある。多くのアーチストは内部にある仕切りや金具を布や紙で隠し、その上に作品を並べる、という手法をとっていた。私の最初の作品「カエルの森」も同様に布で内部を覆って仕上げた。
 今回はその内部仕切りや箱の枠を利用し、加工した木材をぴったりはめ込んで作品を作ろうというもの。材料の切断寸法は厳密で、1ミリ以下の精度が要求された。

 やや大きめに切断し、紙ヤスリで少しずつ削ってサイズ調整。目的通りの部材を作り出すことに成功した。箱内部に部材を押し込むだけなので、箱そのものには全くキズがつかない。条件クリアである。
 ただちにインスタント珈琲を濃い目に溶いて塗装する。すでに納品済みの壁面アート「夢見るフルサト」の手製額装と同じ手法だ。


 仕上がった3つの部材のうち、箱の端部にはめこむ部材に、45ミリ間隔でそれぞれ12本の真鍮釘を打つ。端部にはめ込んだのち、蓋を120度ほど開けた状態で、まず基準となるタコ糸を張って支える。
 このあと、12本の糸を斜めに張り巡らし、そこからさらに100数十本の糸を下に垂らす予定だ。糸には色とりどりのボタンを結ぶ。作品タイトル「糸をかし」にここでたどり着く。
 箱を単なる展示用のブースとしてだけでなく、過去のアート作品にはなかった「箱そのものを作品素材として使う」という趣向である。
 今回、箱の内部は布や紙ではなく、5ミリ厚のスチレンボードを使った。上半分には黒をはめ込んだが、下半分には赤を使うことにした。全体のバランスを考慮してから色を決める気でいたので、材料は未購入。
 箱中央に立つ64センチの棒には、上端にヤジロベー式のモビールを置く。理論上は気流で緩やかに動くはずだが、うまく運ぶか否かは、やってみるまで分からない。

 まだまだやるべき作業は残っているが、あいにく明日は近隣地区センターでの小中学生音楽発表会のシングアウトを担当している。時間をやり繰りして続けなくては。