3連休の中日だが、特に自分の予定はなく、知人のライブがあるというので早めに起きて、珍しくJRで都心に向かった。
午前11時からJRタワーホテル日航でパークジャズライブがあり、知人のOさんが出演する。昨年のクロスロードライブや今年のチカチカパフォーマンスに来ていただいているので、今回はお返しの意味もあって、ぜひこちらが聴き手として参加しようと思った。
ホテルのロビーがライブ会場かと思いきや、裏手にある駐車場の一部に仮設のステージが設けられていた。PAを始めとする設備は申し分ないが、通りすがりが気軽に立ち寄るという雰囲気ではない。出演会場や出演時間は事務局一任ということで、当たり外れがあるように思えた。
久しぶりに聴いたOさんの歌声は、午前中の声が出にくい時間帯にも関わらず、伸びやかで渋く、充分に楽しめた。「ジャズ」という切り口をうまく活かし、洋楽を中心に一部フォークやアニメソングを交え、聴き手を飽きさせない工夫があった。
11時半にライブ終了し、その足で前日から始まった札幌国際芸術祭の会場へと向かう。市内数カ所で実施されているが、いつもチカチカパフォーマンスをやっているチカホも会場のひとつ。
北4条広場はインフォメーション・センターがあり、2〜3の作品も展示されていたが、足を止める人はほとんどなく、閑散としていた。
続く北3条広場では、ローラーのついた黒い毛ばたきが、電子制御でランダムに起き上がる、という作品が稼働中で、親子連れが何組か集まっていた。しかし、チカホで最も広い広場で、常設的な作品はこれだけ。いかにも寂しい。
マルチビジョンは普段と特に変わってなかったが、前回のチカチカパフォーマンスで工事中だった横のスペースは、地上に出来た赤レンガ広場とつながるスペースに変貌していた。
昨日オープンしたばかりの新しい広場がどうなったのかちょっと気になり、そこからエレベーターで地上に出る。
新広場「アカプラ」は写真のような出来栄え。道産赤レンガ21万個を敷き詰めたそうで、歩いてみるとなかなかいい感じである。両側のイチョウ並木と突き当りの旧道庁の建物が美しい。広場の端には、芸術祭の参加作品も展示されている。
イチョウの木を取り囲むように作られたレンガと木のベンチも座りやすく、爽やかな日和とあって、多くの市民が弁当を広げていた。
うまく活用すれば、チカホにすっかり奪われてしまっている人の流れを、こちらに呼び戻すことができるかもしれない。
一昨年の活性化実証試験にはすでに参加したが、この新広場を会場としたパフォーマンスもまた、充分に楽しい場を作り出せそうな予感がする。実現するのがちょっと楽しみ。
再び地下におりて、チカホを南へと進む。取り立てて観るべきものはなく、かなり期待はずれ。こんな調子で9月末まで間が持つのだろうか?自分には関係ないが、ちょっと心配になる。
チカホの南端から東に折れ、地下鉄大通り駅からもうひとつ階段を降りると、次なる会場の「500m美術館」がある。地下鉄駅間の通路を利用した美術館だが、芸術祭の期間中、「時の座標軸」と称した特別展が開催されている。
全部で16人の作品を順に観たが、いくつか興味深い作品に遭遇した。チカホもそうだが、会場が地下という特質を活かした展示に、自然に興味が引かれる。そこを踏まえていない作品の滞留時間は相対的に短い。まあ、個人的な好みかもしれないが。
500m美術館の終点であるバスセンター駅から西に向かって地下鉄に2駅乗り、札幌資料館へと向かう。ここも会場のひとつなのだが、展示の大半は資料館リノベーションコンペのプレゼン展示に費やされていた。
コンペの作品集を観ること自体は嫌いではないが、札幌国際芸術祭の展示として果たして相応しいのか、考えさせられる。一般市民対象としては、やや分かりにくいのではないか。
コンペの手法はA4サイズのパネルを最大8枚まで組合せる手法で、横2枚縦4枚配置すると、ちょうどA1サイズになる仕掛け。人によっては縦に5枚だけ並べたり、切欠きありの7枚だったり、実にさまざま。
私が盛んに応募していた10数年前は、どのコンペもA1サイズの大型パネル限定だった。これなら運搬配送も楽だし、組合せのバリエーションも自在。家庭用プリンタで気軽に印刷できる。いい時代になったものだ。
資料館から西に少し歩いて、これまた久しぶりにカエルヤ珈琲店に立ち寄る。店主のU子さんが驚いて、目をパチクリさせていた。
あちこち歩き疲れて腹ペコ。名物チリドックと珈琲を美味しくいただく。9ヶ月ぶりなので、溜まりに溜まった週間カエルヤ新聞も全部はとても読みきれず、またの機会とした。
「お互い自営業、健康には気をつけましょうゾ」とかナントカ言って店を出る。間隔は空いても、馴染みの店は落ち着ける。
JRで地元の駅に戻り、時計を見ると15時少し前。まだ余力が残っていたので、15時から篠路コミセン(地区センター)で始まるけん玉SHOWを観る。大人の姿はほとんどなかったが、実はけん玉は自称初段レベル。(実際の段位は持っていない)かっては日本けん玉協会にも入っていた。
演じ手は「ずーまだんけ」という、若手のホープ2人組。要はけん玉のプロで、けん玉はいまや世界レベルで「芸」として認知されつつあるらしい。
オリジナル技を含めた優れたパフォーマンスを、たっぷり30分堪能。(ちなみに、無料である)その後ようやく家に戻り、歌からデザイン、そして大道芸というバラエティに富んだアートな長い一日を終えた。