最初は食べ物のせいかと思い、妻に確認すると、きっと昨日の煮物に使ったニンジンが消化されずに出たのよ、よくあることよ、と楽観的見解。基本的に妻は楽観主義者で、事業独立直後に私が腎臓結石の疼痛に襲われた折にも、トンカツにあたったんでしょ、と慌てなかった。(実際は大事だったが)
そうかもしれないと、少し様子を見た。自覚症状は全くなく、夏の激務で一時は減少した体重も、最近は回復傾向。痔の再発兆候もない。健康そのものと自分では思っていた。
だが、赤い色は一向に消えない。むしろ次第に量が増える感じだった。4、5日目からさすがに気になり、もし今日も色が消えなければ、思い切って病院に行こうと腹を決めた。
今朝も普通に便通はあったが、赤い色はまた増えたようにも思えた。意を決し、デジカメで便器内にあるターゲットの写真を撮影。パソコンに取り込んでプリントした。病院に持参して医師に見せれば、診断が早いに違いないと考えた。
病院の候補は個人病院から大学病院まで、5つほどが胸にあったが、万一の入院や信頼度、自宅からの距離等を考え、政治関連の話題で揺れるT総合病院に行くことを決断。
先にふれた腎臓結石や原因不明の不整脈で適切な処置をしてもらったことが過去にあり、長女が10歳の折に数ヶ所の病院でサジを投げた難病を、ズバリ見抜いて死の淵から救ってくれたのもこの病院である。多少のトラブルがあったとしても、信頼関係が揺らぐことはなかった。
ネットで調べると、午前中の受付は11時半までで、午後は16時からと遅い。この種のことは早いに限る。朝8時から塗装屋さんが最終仕上げに来ていて、応対のために早く起きていた。ただちに家を出た。
11時に受付をし、消化器科に案内される。待合室は多数の患者で溢れていて、本を読みながらじっと待つ。2時間たって診察室に呼ばれ、病状を告げると共に、撮ったばかりの写真を医師に見せる。
「お~、これは分かりやすくていい写真だ。明らかに大腸のどこかが出血してますね。おそらく初期の大腸ポリープか何かでしょう。まずは内視鏡検査をして確かめます」
ついにきた、と思った。64歳にして、初の内視鏡検査である。(ちなみに妻は、すでに3度も胃カメラを飲んでいる)その後処置室で血液と尿を採取、体温や血圧も測られ、検査の日取りと方法について、延々と説明を受けた。
検査日は来週だが、前日から指定された食事をとり、下剤や錠剤などを大量に飲む必要がある。当日は6時に起きて、1800mlの下剤を1時間以上かけて飲むとか。聞いただけでめまいがするような話だが、来年は高齢者の仲間入りをする年頃なので、一度は受けておくべき検査であろう。
今後の治療をどうするかは、まず検査をしてからとなる。ネットで調べると、処置が早いほどポリープが悪性化する確率は低くなるようだ。それでも時には数日の入院で除去手術となることもあるらしい。
ライブや家の修繕は峠を越えたので、今度は身体のメンテナンスを充分にしなさいよ、との天の啓示であろうか。