2013年10月22日火曜日

リハビリ的チカチカ

 およそ2ヶ月半ぶりにチカチカパフォーマンスに参加。8月から9月にかけて吹き抜けたライブ依頼の嵐に忙殺され、自分の都合でエントリーの調節が可能なチカチカパフォーマンスからは、すっかり足が遠のいた。
 通りすがりを対象に歌う勘のようなものが鈍っていることも充分考えられたので、集客はあまり期待せず、あくまで自分のリハビリを中心に臨もうと考えた。包丁は使わねば、やがて切れ味が落ちる。たまにでも使ってやることだ。

 会場は事務局から最も遠い北大通広場。7月中旬に広場に直面するカフェが完成し、以前とはすっかり様子が変わった場で、事務局からの依頼で2度にわたる実験ライブを試みた場でもある。
 場所が狭く、カフェの営業に支障が出かねない場なので、ここで歌うには通常のチカチカライセンスのほか、事務局に申請して個別に許可をもらう打合せになっていた。


 13時45分に会場到着。この日はジャグラーの方との共演だったが、先に到着してスタンバイした私が最初に演ることになる。
 14時ちょうどに歌い始めたつもりでいたが、1分ほど早かったようだ。1曲目を歌っている最中に広場の照明が突然パッと明るくなった。どうやらパフォーマンスの始まる14時から、節電モードが解除されることになったらしい。
 第1ステージでは、およそ25分で以下の7曲を歌った。
(◎はオリジナル、※は初披露)

「アメイジング・グレイス」「雨ニモマケズ◎※」「パープルタウン」「バス・ストップ」「つぐない」「抱きしめて◎」「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ◎※」
 リハビリ的とはいえ、気持ちが守りに入ってはならない。2曲目の「雨ニモマケズ」はフルバージョンとしての初披露で、「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」は完全なる初披露だった。
 強いはずの「アメイジング・グレイス」で誰も足を止めず、2曲目でも大きな動きはない。(今日は苦戦するかも…)と思い始めた矢先、3曲目の「パープルタウン」でどっと人が集まりだす。「つぐない」でさらに増え、一気に30人に達した。

 広場が改装されてからの最大集客で、通りにまで人が溢れ始めている。このままでは規律違反になりかねない。(通行の障害になる行為は禁じられている)途中2度にわたって前に近寄ってもらうようお願いすることに。こんなことは久しぶりだった。


 ラスト3曲は昭和歌謡のメドレーのような切り口にしたが、受けた。この手法に限れば、新曲の「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」は今後使えるというメドがついた。
 集客数からして、終了後にはさぞかしCDが売れるものと期待したが、甘かった。全員がすっと姿を消すという不思議な現象。「歌は聴きたいが、お金は使わない」そんな印象である。消費税増税確定で、中高年の財布のヒモは相当固くなっているように思える。

 ジャグラーの方に場を引き継ぎ、30分後の15時から第2ステージ開始。25分で以下の8曲を歌った。

「宗右衛門町ブルース※」「圭子の夢は夜ひらく」「ラブユー東京」「柳ヶ瀬ブルース」「夜が明けたら」「男と女のお話」「寂しくなんかない◎」「熱き心に」
 第2ステージの切り口は、以前に数回試みてそれなりの反応があった「暗い曲」。しかし前半同様、2曲目まで大きな動きはない。3曲目の「ラブユー東京」でようやく人が集まり始め、以降じわじわと増えて10人を超す。
 前半ほど多くないが、途中で消える人は皆無で、熱心な聴き手に囲まれた程よいステージが繰り広げられた。ささやかに希望を持って終わろうと、ラストに歌った「熱き心に」では20人ほどに達する。シアワセな時間だった。

 終了後、2枚のCDが売れた。実は聴き手の中に、先週末の街づくりセンターライブで終了後にお話しした女性がいて、その方も買ってくださった。献血に来てたまたま通りかかったそうで、全くの偶然である。こうした出会いが、数えてみたらこの2年で実に7度目。何とも不思議な場である。
 久しぶりにストリートで歌ったが、いわゆる「用意された場」とは全く異なる得難い緊張感に包まれている。歌いながらサワサワと人がどこからともなく集まってくる気配を感ずると、背筋がぞくぞく震える。自分の歌の原点はここだな、とつくづく思う。