2013年11月17日日曜日

悲願のクロスロードライブ


「さっぽろアートステージ・クロスロードライブ」に出演。先のブログでもふれたように、3年越しの願いがついに叶った形だが、ここで気負うと、よい結果には結びつかないのが世の常。「出られたことで充分」とハヤる自分に言い聞かせ、自然体で臨もうと考えた。

 自宅で簡単にリハを済ませ、休暇をとってもらった妻と共に、11時過ぎに家を出る。12時少し前に会場に着いたが、まさに開演の直前。1番で歌うU18部門のスミレさんは、他のカフェコンサートで知り合った仲。スタンバイ中だったが、軽く挨拶を交わす。
 スミレさんのステージを見届けたあと、係員と時間やマイクに関して打合せ。その後楽屋に入って、しばし時間をつぶす。トイレに行ったり軽い食事をしたり、ハンチングをバンダナに取り替えたり、ギターのチューニングをしたりするうち、あっという間に出番がやってきた。


 私の前の出演者がクラシック系のインスト5人グループ。素晴らしいパフォーマンスで会場を湧かせていた。その直後で、かなりやりにくい雰囲気だったが、ここで自分のペースを乱しては負けだ。賑やかな気分のあとは一転して静謐な大人の気分で迫り、その対比をうまく活かせばいい。
 時間ぴったりの13時20分に開始。持ち時間いっぱいの28分で以下の6曲を歌った。(注釈のない曲は全てオリジナル)

「アメイジング・グレイス(オリジナル訳詞)」「雨ニモマケズ(オリジナル作曲)」「サクラ咲く」「独り(作詞:まりりん)」「抱きしめて」「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」
 会場には100席分の椅子が準備されていたが、7~8割の入り。立ち見の方が10人ほどいて、顔見知りの姿もチラホラ見えて心強い。
 普段歌っているチカチカパフォーマンスと同じ会場だが、マルチビジョンの音はなく、画面には私の名が大書き。立派なPAと司会があって、完全に用意された場である。そこが私には微妙に難しい感じだった。


 事前にイメージしていたMCを少し長めにはさみつつ進めたが、途中で席を立つ人が全くいない代りに、音を聞きつけて集まってくる人もあまりいない。まさに静まり返った雰囲気の中でステージは進んだが、場の反応自体は決して悪くなく、かなり気分が乗った3曲目の「サクラ咲く」では、長い拍手がなかなか途切れず、思わず「ありがとうございます」を重ねたほど。
 ラストの「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」では、歌詞の内容に合わせてボーカルとギターで強弱を作り、聴き手とのキャッチボールを試みたが、何人かの方が目と身体で反応してくれて、ちょっと嬉しかった。
 自分の子供や孫のような他の出演者の中で、突出した高齢者なので、そんな自分の立場をわきまえ、「若い人と張り合う」というキモチは一切捨てて、淡々と歌い綴った。
 ギターのセーハする部分で多少怪しい箇所もあったが、大きなミスなく乗り切った。後半になって空いていた席も少しずつ埋まりだし、まずまずの集客で歌い終える。


 会場の一隅に設けられたCD販売コーナーには、6曲目から妻が販売員として張りついたが、500円のCDが4枚売れて、こちらもまずまずの結果。
 買ってくれた中に、以前に通りで私の歌を聞いたという方がいて、「今日は前回よりもさらに素晴らしかったです」と喜んでくれた。「できれば《誰も知らない夜》も聞きたかったですけど…」と重ねるので、なぜ知っているのか尋ねると、実は前回もCDを買い、何度も聴いて一番気に入ったのだという。

「誰も知らない夜」は1曲目で歌おうかどうか、かなり迷った曲。終了後に妻が「会場のリバーブが弱いので、アメイジング・グレイスは厳しかったかも…」と話しており、他の知人からも、「独自の世界を作っていて引き込まれたが、全体として寂しい曲が多かった」とも聞かされた。
 たぶん1曲目が選曲ミスだったと思う。それにしても、「誰も知らない夜」が中高年にも支持されることを、最近になって知った。この日は過去に評価の高かった曲で全てまとめた気でいたが、人の好みは実にさまざまである。

 いろいろあったが、得難い経験をさせてもらった。