2010年12月19日日曜日

吸取紙加湿器

 寒さが厳しくなるにつれ、室内の湿度がじわじわ下がってきた。外が寒くなる→大気中に含まれる水蒸気量が少なくなる→その空気を取込んで暖房する→温度上昇によって室内の相対湿度が下がる、という困った循環である。
 昨冬の記録を調べてみたら、1月中旬に34%まで下がっていた。ギターにとって望ましい湿度が50%前後で、ほぼ人間の適正値と一致する。乾燥は家の特に自然系素材にとっては決して悪くないが、ギターにとってはひび割れのもとで、人間にとってはウィルス蔓延による病気のもと。何とか適正値を保ちたい。

 設備投資をし、高い電気代を払って加湿器を使うのはご免なので、昨冬はセッセと霧吹きを定期噴霧し、どうにか体裁を保っていた。しかし、日に何度も霧吹きを使うのもかなり面倒で疲れる。2階吹抜けから階下に向かって吹くと、1階の床が一時的に濡れてしまい、妻には不評だった。


 最近になって湿度が45%を切り始め、すでに危険水域である。早めに手を打とうと安くてエコロジーな手段をあれこれ調べていたら、その名もズバリ「エコ加湿器」という品があることを知った。
 アマゾンで送料込みで1,080円。(なぜかグリーンが最安値)専用容器付きだともっと高いが、容器は手持ちのガラスコップなどで代用可能らしかったので、交換フィルターのみを買った。
 さっそく組立てて使ってみたが、かなり効果がある。原理は吸湿性の高い特殊な紙を折り紙のようにたたみ、水を入れたコップの中に差しておくだけ。製造している会社は楽器メーカーらしく、元々はギターの保湿のために考え出されたようだ。
 説明書通りに150ccの水で試すと、丸1日でほぼ空になった。つまり、1日で150ccの水蒸気が手間や動力なしで空気中に自然放出されていることになる。(湿度によって放出量は異なる)
 昨冬の記録では、1日で400ccの水を噴霧すると湿度がキープ可能とあったので、もう1セット買おうかと一瞬考えたが、(もしかすると自分で作れるのでは…?)と、持ち前のDIY心が働いた。

 製品をよく観察すると、表面の粗い紙で水を吸水し、大気に蒸発させる簡単な原理だ。毛細管現象というヤツで、何か代用可能なものはないか…?と考え込んでいたら、手描きでパースを描いていた時代、常用していた画材のひとつ、吸取紙のことを思い出した。固くて吸湿性は抜群なので、使えるかもしれない。


 画材箱をひっくり返してみたら、2セット32枚が丸ごと捨てずに残されていた。買った製品を真似し、およそA4サイズ相当面積となる5枚分をまず半分に切り、さらに縦に二つ折りにし、2カ所にハサミで切り込みをいれてコップに立て、イソギンチャクのように開いて形を整えた。
 同時刻に同じ水の量を入れ、二つ並べて丸一日後に水の放出量を調べてみると、この日は湿度が高めで水の減りが少なく、製品のほうはおよそ60%(90cc)。対して自作のほうは約40%(60cc)で、さすがに製品は効率がよい。
 しかし、自作品でもかなりの効果があることを知った。何より、単価がわずか30円強で、コストパフォーマンスは抜群。「吸取紙で加湿する」というコンセプトが、いかにも縄文的である。

 2つのエコ加湿器の効果で、室内の湿度はどうにか45%をキープしており、ぎりぎり合格か。今後の経過を観察し、状況次第では、もう1台「吸取紙加湿器」を増やすかもしれない。