2019年4月13日土曜日

間奏の拍手続く

 ネット経由で初めて依頼のあったサ高住で歌った。施設からの直接依頼ではなく、高齢者の住まいをサポートするNPO法人が仲介するという珍しいルートだった。
 入居者利用者の紹介&仲介だけでなく、演芸系ボランティアの紹介&仲介も手がけているという。NPOの業務としてはユニークで新しい。依頼ルートとして、今後増えるかもしれない。

 午前中にスケジュール確認の電話があったのは、そのNPOの担当者Aさん。施設の情報は事前にFAXが届いていて、迷わず開始25分前に到着。Aさんはライブに立ち会わないが、施設側責任者のSさんが対応してくれた。
 予定より早く準備が整い、5分早い14時10分に開始。およそ45分で13曲を歌う。

開演前のスタンバイ

「北国の春」「おかあさん(森昌子)」「瀬戸の花嫁」「真室川音頭」「港が見える丘」「幸せなら手をたたこう」「高校三年生」「みかんの花咲く丘」「真実一路」「夜霧よ今夜も有難う」「君恋し」「月がとっても青いから」「リンゴの唄」
 聴き手はおよそ30名ほど。自立度の高い施設で、車椅子の姿はごく少ない。男性の姿はわずかで、2〜3名といったところか。初めて歌う施設なので冒険は避け、ごくオーソドックスな定番曲を中心に臨んだ。
 1曲目から間奏でさざ波のような拍手が湧き、終了するまでほぼ全曲でこの「間奏の拍手」が続いた。こんなことはめったにない。

 手拍子やかけ声はほとんどないが、曲に対する反応は熱く、目がいきいきと輝いている。あとで知ったが、施設の歴史が浅く、弾き語りボランティアの訪問は初めてのことだったらしい。


 聴き手の後押しもあって、ライブはトントン調子よく進む。演奏時間は45分と長めの要望だったが、休憩もなしに一気に突っ走った。
 特に反応のよかった曲は、「港が見える丘」「幸せなら手をたたこう」「高校三年生」「夜霧よ今夜も有難う」あたり。傾向としては静かに耳を傾けてくれる傾聴型の場といえた。
 予定ちょうどに終えたが、場には微妙な余韻が残った。気分としては完全に「アンコール」だったが、担当者も聴き手もライブ自体に慣れてなく、特に声はあがらない。
 終了後に「よかった」との声が複数あり、担当のSさんからも「素晴らしかった。ぜひまたお願いします」と労われる。実は仲介に入ったNPOのAさんから「可能であれば定期訪問を」との打診が事前にあった。ライブの出来はまずまずだったので、実現するかもしれない。


 機材をまとめて挨拶を済ませ、帰ろうとしたら、玄関先まで利用者の女性が見送りに来てくれた。聞けば横浜から施設へやってきたという。「港が見える丘」(横浜が舞台の歌)を感無量の表情で聴いていた方だが、そんな事情があったとは。
 散りゆく桜がテーマで、時期的にもタイムリーな得意曲だが、選んでよかった。