市販品を買うと2,600円ほどもして、中古で買った本体に迫る価格。以前に同じヤマハの簡易PA「VA-10」をマイクスタンドに装着するアダプターを自作したことがあり、その経験を元にすれば自分で作れないことはないはず、と考えた。
「VA-10」のときは本体の底にドリルで穴を開けたが、今回の「MS101-2」には最初からM5のネジ穴が2ヶ所ついている。これを利用すれば作業はもっと簡単になる。
まずベースとなる板を加工する。前回同様に固くて丈夫な5ミリ厚のハードボードを使った。スピーカーボックス背板などに使われている素材だが、実は我が家の壁は全てハードボード。安くて丈夫で資源再利用のエコロジー素材だが、耐火性に劣るのが欠点。今回はその端材を使った。
マイクスタンド垂直部の上端は3/8インチネジになっていて、購入時に3/8→5/8変換ネジが付属していた。3つあるうちのひとつを今回使うことにする。
ハードボードを50×100に切断。本体固定用のM5ボルト穴は6センチ離れている。センターに相当する位置に5ミリのドリル穴をまず開ける。
中央に変換ネジを固定する穴を開ける。5/8インチは約16ミリで、あいにく手持ちの最大ドリルビットは12ミリ。残る4ミリ分を手作業で拡大したが、この作業が最も難しかった。
ハードボードは木繊維だが、とにかく硬い。最初は出刃包丁の先端を回しながら削り、最後はキリの持ち手にサンドペーパーを巻いて穴に差し込み、回しながら少しずつ削ってようやく16ミリまで広げた。
この穴に3/8→5/8変換ネジを入れ、突き出た反対側に5/8インチのリング状のネジを回し入れて、両側からプライヤーで固く締めつける。
完成したアダプターをM5のネジ2本で本体に装着。本体側に変換ネジの頭部分が2ミリほど突き出るので、調整用として2ミリ厚のベニヤ板2枚を20×20に切って径5ミリの穴を開け、スペーサーとして挟んだ。
固定用のネジはL=13の自転車用を転用。ネジ穴の深さは10ミリくらいだが、ハードボードと変換ネジの頭部分で計7ミリとられるので、この長さでほどよく収まる。
さっそくマイクスタンドに装着して使ってみたが、ぐらつきは皆無で非常に安定している。本体からの飛び出しもごくわずかなので、つけっぱなしでも何ら問題ない。
今回は完成まで計3回作り直した。最初は3/8ナットを板に埋め込むスタイル、2度目は3/8ネジを板に直接ねじ込むスタイルだったが、いずれも装着時に本体が安定せず、使えない。保管してあった3/8→5/8変換ネジを使うことを思いつくまで、丸2日を要した。
いいアイデアに至るまでには、ある程度の時間も必要だという典型。