2017年5月17日水曜日

曲間で拍手

 車で25分ほどの距離にある特養&デイサービス併用施設で歌った。今年最初のお楽しみ会イベントで、出演は私一人。
 4年前にネット経由で最初の依頼があり、以降年一回ペースで定期的な依頼が続いていて、今回が5度目である。いつも書いているが、依頼は3回目に高くて険しい壁があり、そこをクリアすると、確かな信頼関係へとつながってゆくケースが多い。
 開始予定は14時30分だったが、14時10分に先方に着くと、ステージ付の広いホールにはすでに100名近い入居者利用者の方々が整然と座っている。

 会場が広くて天井も高く、しかも80センチほどのステージがあって、客席との距離がかなり遠い。対応するために3回目からはPAを2台使うスタイルに改めた。
 これまではローランドの乾電池式PAをサブに使っていたが、今回は先日中古で入手したばかりのヤマハMS101-2を、初めて本番で使うつもりだった。


 素早く機材を設営したが、ステージが広くて高く、PAが2台ということもあって10分近くかかった。駐車場からステージまでの移動距離が遠く、機材運搬にキャリーカートを使ったことも手間取った要因のひとつ。

 それでも開始10分前にはスタンバイ。会場からは「ずいぶん待つね〜」との声が漏れてくる。担当の方とも相談し、予定より早く始めることになった。
 最初に施設長さんの挨拶があり、その後進行の方から私のプロフィール紹介がある。施設によっては「ではお願いします」と、いきなり始まってしまうことも多いが、このあたりは施設ごとの運営方針で大きく対応が異る部分だ。
 14時25分くらいからステージ開始。久しぶりのアンコールなどあって、35分で12曲を歌った。

「北国の春」「蘇州夜曲」「釜山港へ帰れ」「ここに幸あり」「二人は若い」「高校三年生」「みかんの花咲く丘」「恋のしずく」「港が見える丘」月がとっても青いから」「東京ラプソディ」「知床旅情(アンコール)」

 介護度が重い特養入居者と比較的元気なデイサービス利用者の両方が混在する場は対象を絞りきれず、対応が難しい。古い懐メロ系と新しい昭和歌謡系を分散させ、万人受けする曲を要所に配置するという苦心の構成である。

 実は今回のライブは当初4月中旬に実施予定だった。ところが直前の施設内インフルエンザ発症により、1ヶ月順延になった経緯がある。
 いつも事前に歌う曲目リストを提出していたが、概ね春メニューでそのまま使えそうだったが、「さくらさくら」だけは「みかんの花咲く丘」に差し替えた。


 人数は多いが、いつも全体的に大人しい場である。つまりは「傾聴型」の場だ。従って聴き手参加型や手拍子系の曲はない。
 ところが意外にも1曲目の「北国の春」の1番を歌い終えると、会場からさざ波のような拍手がおこる。過去にあまりないことで一瞬戸惑ったが、間奏で素早く「ありがとうございます」と言葉をはさむ。

 以降、「釜山港へ帰れ」「みかんの花咲く丘」「恋のしずく」月がとっても青いから」などで同じように曲間での拍手が湧き上がった。「北国の春」での曲間拍手は過去にも経験しているが、他の曲では他施設でもあまり記憶にない。
 以前にもふれたが、曲間での拍手は場が乗っている証し。手拍子や共に歌う声は少なかったが、場の反応は充分よかったといえる。
 先方の要望通りに30分で歌い終え、進行の方が締めの挨拶を始めた。すると会場から「アンコール」の声が複数あがる。実は前日のスケジュール確認電話の折、「もしかするとアンコールがあるかもしれません」とは聞いていた。
 以前に数回あった進行の方によるアンコール要望、つまりは「お約束アンコール」とてっきり思っていたが、そうではない。何か利用者の方と事前に打合せがあった可能性も否定できないが、場の流れには沿うものだった。

 初めて使ったサブPAは手製スタンドアダプターを含めてうまく機能。今後使えるメドが立った。前半での声の伸びがいまひとつの感じだったが、後半になって持ち直した。5度目の依頼、無難にこなせたと思う。