こんなものを貸すほうも貸すほうで、壊したまま返すのもどうかしている。しかし、そうした経緯を妻はすでに覚えていないという。
どうでもいいような出来事を細部まで覚えているのが物書きとしての悲しい性か。ともあれ、ビニルテープで応急処置してあった外部カバーを数十年ぶりにバラし、接着剤で全面補修することにした。
調べてみると心臓部は多少のサビがあるくらいで、あまり問題はない。サビを落として油をさし、外部カバーはていねいに汚れを落とし、切断面相互をボンドで接着。一部が欠けて紛失してしまったパーツは、ありあわせのワッシャーとビスで似た形状の部品を作った。
組み立ててみると、まずまずの仕上がり。買えば千円ちょっとでデジタル式の最新製品が手に入るが、まだ使えるものをわざわざ買う必要もない。
ちなみに我が家で量りを使うシーンは、大袋に入った乾ソバを1食分90gに分けるとき、ホットケーキを焼くとき、そして小包のおよその送料を調べるときなど。買った当初とはすっかり用途が変わってしまったが、当分は使うだろう。
それにしてもあれこれ試行錯誤しつつ修理する作業は実に楽しい。我ながら得な性分だと思う。