2012年5月6日日曜日

カントリーロード自分流

 昨日のコンサートで福島県から札幌に避難している女性からかけられた言葉、「菊地さんの『カントリー・ロード』はちょっと違って聞こえる…」は、私にとって自分の足跡を確かめる貴重な言葉だった。
 以前から好きな曲だが、もともとはジョン・デンバーが1971年に歌ったカントリー。日本では1995年のスタジオジブリ制作アニメ映画「耳をすませば」の挿入歌として本名陽子が歌い、一躍有名になった。「アニメソング」という切り口のせいか老若男女に受けがよく、いわゆる「つぶしの効く曲」としてライブでは重宝する。
 東日本大震災以降は「故郷を思う歌」としても再認識されている感じだ。「ひとりぼっち恐れずに生きよう…」「故郷へ帰りたいけど、帰れない…」といった主旨の歌詞は、歌っているだけで胸が熱くなる。
 私の歌唱法はまず前奏なしでいきなり歌い始め、イントロ部分を無伴奏に近い形でアカペラふうに朗々と歌う。「ひとりぼっち…」の部分からテンポアップし、強いギターストロークに変える。ラストは再度テンポを落とし、スローダウンしてボーカルのみで終わる、というのが基本だ。
 ギターストロークは元祖ジョン・デンバーに近いカーターファミリーピッキング。最初と最後の歌い方にも一部ジョン・デンバーふうを取入れている。何百回も歌い、試行錯誤のうえたどり着いた手法だが、苦労のかいあって、これまでいろいろな人から「いいですね」と言われた。

 場によっては自然発生的に手拍子が出る。昨日は1曲目に歌ったが、強い調子の手拍子がすぐに起き、以降の進行がスムーズに運んだ。場にぴたり馴染んでいた感じだ。
 手法としては完全な自己流で、どこにもない歌い方という意味では「TOM流」とも言える。原曲を忠実になぞった歌唱や演奏は私には出来ないし、やろうとも思わない。昨日ご一緒した紫さんも言っていたが、何者にも縛られず、自由に歌いたい。

 今回、初めて被災者の方から評価されたことで、自分のめざす方向が間違ってなかったことを知った。励みになる。今後も節目節目で歌っていきたいと思う。
 YouTubeでは何となく伝わりにくい気がするので、当面はライブのみでの発表。それでいいのです。
 GW帰省していた末の息子が午後に勤務先の街に戻った。昨日はコンサートの道具運びと撮影係として、そしてライブ途中に抜け出して近くの霊園に墓参りと、いろいろつきあってもらった。
 3人の子供のうち、唯一地続きの都市に住んでいるので、何かと頼りになる。あまり子供の世話にならずに過ごそうと心がけていはいるが、まあ、自然体で雑事に巻き込む程度ならばよかろう、と都合よく考えることにする。