2012年12月5日水曜日

分相応のギター

 数日前にネットオークションで落札したギターが届いた。かねてからマークしていたヤマハのAC1Mというエレアコ、つまりはアンプでの増幅を前提としたギターだ。送料こみで4万円弱。定価が6万円強なので、まずまず格安で入手できた。
 都合4台目のギターとなるが、そのうち3台はエレアコ。いまの活動形態から考えて、アンプ増幅なしで使う可能性はごく少ないので、必然的にエレアコの比重が増える。

 とはいえ、アンプを経由せずに使うケースが全くないわけではなく、そんな時にエレアコしか持っていないと、たとえマイクで音を拾ったとしても、貧弱な音になりかねない。
 最近になってアンプが使えるのかどうか分からない場での演奏が増えつつあり、生音でもそれなりに使えるエレアコの必要性を強く感じ始めていた。


 3年前に買ったオベーションのエレアコ(左下の黒)は生音でもそれなりに鳴るが、ボディがグラスファイバー製なので、生音での響きにちょっと不満があった。40年前に買ったモーリス(中央の飴色)には自分でピックアップを取付けてアンプにもつなげるようにしたが、こちらはアンプ経由での音に不満があった。

 そもそもモーリスのギターは経年変化で音狂いが激しく、弦高調整も限界で、大規模メンテナンスは必須の状態。もしやれば数万円の出費は確実だが、ボディが合板製なので、それほどの価値はない。
 もう1台のエレアコである7年前に買ったS.Yairi(左上の赤)は酷使がたたり、ブリッジ部が破損して自力交換補修したが、その際に6弦の音がアンプ経由だと鳴らない、という致命的なダメージを被った。
 つまり、現段階でまともに使えるのはオベーションのエレアコ1台という危機的状況である。年に50回近いライブ活動を続けている現状のなか、使える予備ギターの装備は急務だった。
 10万円以上のドレッドノート型ギターと2万円前後のピックアップを組み合わせるのが最善であることは分かっていたが、予算と弾きこなす技量面から断念。
 届いたばかりのギター(右下のベージュ)を夕方の定例練習でさっそく1時間ほど歌いながら弾いてみた。音色は他のギターと少し違っているが、感触としては悪くない。ボディもスプルス単板で、響きもまずまず。私にとって分相応のギターであろう。
 戯れに、現状の4台のギターを比較してみた。

価 格(定 価)》→モーリスは40年前の定価×3で試算
 オベーション>モーリス=ヤマハ>S.Yairi

生音の感触
 モーリス>ヤマハ>オベーション>S.Yairi

アンプ経由音の感触
 オベーション>ヤマハ=S.Yairi>モーリス

手触り感&見た目
 オベーション=モーリス>ヤマハ=S.Yairi

音の正確さ&弾きやすさ
 S.Yairi>オベーション=ヤマハ>モーリス

 価格以外はあくまで私の個人的な感想である。不思議なことに、一番安かったS.Yairiが最も音狂いが少なく、弦高も低くて弾きやすかった。
 こうして比較してみると、どの要素でもベストというギターはない。買ったばかりのヤマハは癖がなく、あらゆる面で平均的で面白みに欠けるが、つまりは実務的である。それこそが大きな特徴であるかもしれない。
 最も高かったオベーションはさすがに安定している。今後もこれが実戦でのエースであることは間違いない。

 今後モーリスとS.Yairiを使うケースは、ほとんどないような予感もする。2年前に断捨離して若い方に無料でお譲りした弓道用具一式のように、これからギターを始めようとする方に差し上げることになるかもしれないが、しばらくは壁にかけておき、オブジェとして楽しみたいと思う。