2011年6月23日木曜日

被災者に寄り添う歌

 いつも通る散歩道沿いに「五戸の森」と呼ばれる、開拓時代から変わらぬ状態を保つ自然林がある。その道端にエゾニュウの群落が満開で、強い匂いをあたりに放っている。暗い森を背景に白い花が映え、妖しい雰囲気を醸しだす。

 実はこの花に関し、昨年もブログでふれたが、「エゾノヨロイグサかエゾニュウと思われる」と記した。しかし、セリ科の花であることは間違いない。(その後の調べで「オオハナウド」であると判明)
 名前はさておき、素朴なその佇まいが小さい頃から好きだった。YouTube掲載のオリジナル曲「野の花や」の背景画像でもこの花を使っている。曲の持つイメージにぴったりの花である。


 連日の30度を越す猛暑から、一転して寒くなった。昨日も今日も最高気温が17度。5月中旬の気候である。衣類や寝具の調節に忙しいが、ここで手を抜くと夏風邪を背負込む。月末にはまだ大事なライブを控えている。(この年になるとどのライブも大事だが)連日ショウガ湯を飲んで調整中。

 以前にもふれたが、月末に地域センターで実施のコンサートは、当初の私の企画書通りロビーで催されるが、東日本大震災のチャリティーとして位置づけられている。コンサート前に現地で支援活動をしてきたボランティアグループの報告会がまずあり、同時に「復興支援ミサンガ制作ワークショップ」もある。
 ワークショップの収益金は全額被災地に寄付し、これとは別にロビー内に募金箱も置かれる。
 安直な震災便乗型コンサートには抵抗があったが、ここまで徹底してくれると、文字通り「被災地支援」である。
 演奏曲目リストは事前に提出した。求められはしなかったが、(被災地支援にふさわしいものを…)という暗黙の了解があるのは明らか。当然ながらそれに沿った選曲とした。
 歌で被災地を支援するといっても、札幌の片隅にある地域センターで懸命に声を張り上げたとて、果たしてどれほど被災地の励ましになるというのだろう。どれほど被災者の心に届くというのだろう。下手をすれば、ただの自己満足に終わってしまう。
 被災地から遠く離れた場所にいる私たちにできることは、被災地の人々の心に少しでも寄り添い、復興を遂げるまで忘れずに記憶の片隅に残しておくことではないか。そして、身近な人々にそれを啓発し続けるのが歌い手の使命ではないだろうか。
 
 震災前にやったさまざまな施設での訪問ライブでは、「聴き手の心に寄り添う歌」を心がけてきたが、次回は「被災者の心に聴き手と共に寄り添う」そんな思いをこめて歌いたい。