例年は仕事に追われている時期だが、今年に限れば忙しさとは無縁。忙しい人もたぶんいるとは思うが、天秤座の我が身は今年最大の絶不調月である。運は天にゆだね、ジタバタせずに目の前にあるお祭りスケジュールに身をまかせることにした。
昨日仕上げたライブCDやら著書の付録やらをまとめてメール便でまず出し、その足で郵便局に行って用足し。いつもなら歩いてゆくが、スケジュールの押し詰まった今日はロスと疲労を避け、車で手早く済ませた。
その後、夜のお祭りイベントライブに参加するべく、自宅で軽くリハーサル。1曲だけなので、野球に例えるならワンポイントリリーフか。90分の先発完投型ライブに比べれば楽といえば楽だが、一発勝負の怖さがある。
ライブ前に別の用事があるので、ギターをソフトケースに収めて背負い、早めの15時過ぎに自転車で家を出た。
最寄りのJR駅から札幌駅に向かう。お祭りなので車内は混んでいる。それを見越し、スリムな背負い型ソフトケースを選択して正解。
札幌駅から地下にもぐり、最近完成したばかりの大通り駅までの地下通路を初めて通る。札幌駅と大通り公園とを地下で結ぶという市民悲願の通路だったが、開通式が東日本大震災当日の3/11という因縁で、ほとんどニュースでは取り上げられず、開通イベントもすべて中止となってしまった。
1キロほどの距離を10分かけてゆっくり歩いてみたが、たいそう立派である。広くて明るく、両側に商店街がないので、すっきりしている。調べてみたら、通路両側に10カ所ほどある「たまり」(写真下の左)を、イベントやライブに貸し出すそうだ。料金もそれほどではなく、身元がアブなくなければ、誰でも借りられる。
実にそそられる場所だ。この一角を借りて、シャンソン&クラシック等のマニアックな路上ライブを通行人に仕掛けてみたい。誰も相手にしてくれないか?はたまた…。
その後、地下道を延々と歩き、途中で地上に出て大通り公園をさらに西へと歩く。11丁目にあるコンチネンタルギャラリーで、なじみのカエルヤ珈琲店の店主、U子さんのお姉さんとお母様が共同で催している作品展に顔を出す。
以前にカエルヤに顔を出した際、時折お店を手伝っているお姉さんから直接案内状を手渡された。
ギャラリーは閑散としていたが、興味深い作品があちこちに並んでいて、好奇心をかきたてられた。写真はU子さんのお母様(真田由美子さん)の作品群。ギャラリーにいらしたのでご挨拶したが、私よりも少し上の年代である。
しかし、作品は古い風呂敷や使用済みの日めくりを畳1枚ほどの黒い板に貼りあわせたものなど、実に自由な発想で作られている。
真田さんのギャラリーを一巡すると、奥の一部が次の部屋へと何気なくつながっていて、そこをくぐると見慣れたカエルの絵が突然現れた。福士ユキ子さんの作品群で、油絵が中心。
カエルヤ珈琲店でみかけた作品もいくつかあり、さまざまなカエルたちが額縁の中で跳ね回っている。「鳥獣戯画の油絵版」といった印象。面白い。
お二人の作品群に共通しているのは、年齢を超越した遊び心である。それを母子で一緒に都心のギャラリーでやれるところが素晴らしい。その魂は、同じく都心でカエル狂のためのカフェを大真面目に営業しているU子さん(娘であり、妹である)の遊び心と、確かにつながっている。
入口に置いたギターを再び背負い、次なる目的地に向かおうとしたら、ユキコさんのリクエストにより、今夜の予定曲をワンフレーズだけ無伴奏で歌わせていただいた。立派なアソビ仲間である。
(長いので夜の部は明日に続きます)