2011年6月30日木曜日

苦手な金もうけ

 しばらく顔を出してなかった母の施設へ行った。

 母は相変わらず元気でいたが、今日は熱心におしぼりを巻く作業の手伝いをしていた。私にはすぐに気づいたが、作業の手を休めようとはしない。ヘルパーさんが、「施設の仕事を手伝ってもらってます」と、何だか申し訳なさそうに言う。
 数ヶ月前に届いた施設からの書類で、「介護の一環として、軽作業をお手伝いしていただきます」と記されていて、その件は了解済みだった。
 母が手を休めないので、私も一緒になって手伝った。おしぼりとはいえ、100枚近くはありそうだ。これを三つ折りにし、さらに端から固く巻く。途中で母から「巻き方が雑だ」と手直し命令が下る。
 母は手先が器用で、根が真面目。実にていねいにきちんと巻いている。61歳の息子が91歳の母から指示されていては仕方がないが、母の器用さや生真面目さは、私にも脈々と引き継がれている。素直に従って巻き直した。

 しばしたって、先ほどのヘルパーさんがやってきて、家族の方にまで手伝っていただくわけにはいきません、どうぞゆっくりお話しくださいと、まだ残っていたおしぼりを片づけてしまった。
 母はもっとやりたそうだったが、私が帰ってから続けてもらうことにし、その後しばしの雑談。相変わらずとりとめのない昔話だが、それでよいのだ。


 夕食の準備が始まったので、適当なところで帰ってきた。面談はやはり3時前がいいのかもしれない。
 その後、しばらくごぶさただった都心のカフェ、カエルヤに寄る。平日の夕方とあって、店は空いていた。

 かねてから噂を聞いていた新入荷の高級手作りギターを見せていただく。写真のように普通のギターよりも小ぶりで、ギタレレに近い感じだ。弾いてもよいというので恐る恐る手にとってみたが、なんとなく懐かしい音がする。
 ヘッド部分には美しいカエルの象眼があり、楽器というよりも工芸品の印象だ。定価60万円の値札がついていたが、もしかすると簡単には売れないような価格設定をあえてしたのかもしれない。
 ちなみに、作者は店主U子さんのお兄さんで、自らもさまざまな楽器を奏でる方だとか。U子さんのご主人もオリジナル曲を作って歌う方。先日拝見したお姉さんとお母様の個展でも驚かされたが、まさに芸術一家である。

「あれこれやってますが、苦手なのは唯一お金もうけです」とはU子さんの弁。それって私ら夫婦と一緒ですよ、とオチがついた。