同じ理屈で、周波数の異なる西日本から首都圏への最大送電能力も現状では100万KW/日が限度とかで、各自のささやかな節電はほとんど無意味、との考えらしい。しかし、本当にそれでいいのか?
北海道も西日本もとりあえずは電力不足の事態に陥っていない。しかし、長期的に見て、今後日本の電力開発計画は大きく方向転換せざるを得ないだろう。常識的にみて、新規原発計画は無期限停止、既存の原発も安全対策に巨額の投資をせざるを得なく、それがたちまち電気代に跳ね返ってくる。
安価で安全な代替発電の決定打はなく、行き着くところは企業と一般家庭も交えた全国レベルでの節電対策になるのは目に見えている。貴重な電気を分け合って使う時代の到来で、今回の災害を機に、節電運動を全国レベルで啓発、展開するのが新聞本来の役目ではないのか。
調べてみたら、標準的な家庭の年間電気使用量は5,607kWh(月平均467kWh)とのこと。(出典:エネルギー経済統計要覧2009年版)
気になって我が家の昨年の合計電気使用量を試算してみたら、3,095kWhだった。(月平均258kWh)平均値の55%で、炊事はすべてIHヒーターで行い、暖房に一定の電気を使う寒冷地という条件下では、かなり少ない数値ではないか。
さらに調べてみたら、家庭内で消費電力量の多い電気器具のランクは以下の通りだった。(東京電力の例)
・エアコン 25%
・冷蔵庫 16%
・照明器具 16%
・テレビ 10%
・電気カーペット 4%
・温水洗浄便器 4%
・衣類乾燥機 3%
・食器洗浄乾燥機 2%
単体での消費電力が大きく、使用時間が長いほど負担増となる。私が日頃から目の敵にしている「温水洗浄便器」と「食器洗浄乾燥機」は予想通りランクインしていた。
上記8品目のうち、我が家で所有しているのは、「冷蔵庫」「照明器具」「テレビ」の3つだけ。IHヒーターは単体では電気を使うが、使用時間が短いのでランク外である。今冬に消費電力800Wの電動除雪機を買ったが、運転時間は月累計2時間程度なので、同じ理屈からさほどの負担にはなっていない。
(現実に、今冬の電気使用量は昨冬よりも減っている)
使用時間は短くとも、消費電力の大きい機器を同時に使ってしまうと、ピーク電力として発電所に負荷をかけてしまう。
私が台所に立つときはIHヒーターと電子レンジを同時に起動させないよう気を配っているが、妻に聞いてみたら、やはり左右のIHヒーターを同時に起動させないように気をつけているそうだ。これからの消費者には、そんな細かい気配りも必要になるだろう。
計画停電は夏場のピーク時にはさらに悲惨な状況に変わってゆくに違いなく、果たして首都圏の人々はそれに耐えられるのか心配になってくる。
月々の電気使用量の上限値を各家庭や企業で決め、割当制にするようなシステムが必要かもしれない。節約して割当分が余った家庭や企業は、足りない家庭や企業にそれを有料で譲渡する。CO2排出量を国同士で売買する方式と同じで、節約する者が報われる仕組みである。
いずれにしても大量の電力を消費し、無節操に利便性を追求する生活は、そう遠くない将来に終わりを告げるだろう。