2010年10月30日土曜日

夕陽の霊園

 日中の気温がほぼ平年並みに戻ったので、思い切って車のタイヤを冬用のスタッドレスに交換した。これまで10月中に換えた記憶はないが、何せ今年は異常気象である。打てる手は早めに打たねば。
 春の交換時には殺人的な仕事の嵐に見舞われ、生涯初めて外注に出したが、今回は充分に時間がある。交換費用を節約すべき時期である。


 新車に換えてすでに丸2年が過ぎたが、まだまだマニュアルなしでの交換はできない。以前の車にはなかったホーイルが夏冬ともについているので、その脱着にも時間がかかる。
 2本を交換し終えたところで、空腹のためダウン。いったん休憩し、昼食後に再度試みて、ようやくやり終えた。正味の作業時間は1時間で、外注に出すと2,000円也。しかし、その価値は充分にある面倒な作業だ。暇だからやりますが。
 その後、冬ごもり前の最後の墓参りに行くことにする。山間部にある霊園周辺はまだ雪が残っているとの情報があり、急きょ冬タイヤに換えた大きな理由がこれだった。
 勤めから帰った妻も一緒に行くというので助手席に乗せ、途中で花を買ったり、ガソリンスタンドでタイヤの空気圧を調整したりして、すっかり時間を食ってしまった。

 ようやく霊園に着いたのが、午後4時半近く。日没前ギリギリセーフである。墓地周辺は10センチを超える積雪で、薄い夏靴でやってきた妻を嘆かせた。


 当然のごとく、墓地には誰もいない。手稲連峰にまさに夕陽が沈む瞬間で、淡い雪景色と相まって、荘厳な雰囲気を作っている。しばし見とれていたら、
「おじいちゃん、いい所に眠っているね」と、期せずして妻が言う。どうやら妻も同じことを考えていたらしい。
 帰路は西側に迂回して実家に立ち寄る。誰も住んでいない空家だが、真冬になる前に5カ所ある排水トラップに不凍液を注入し、凍結による器具の破壊を防止しなくてはならない。
 締めてあるはずの元栓がなぜか緩んでいたりし、作業にちょっと手間取ったが、「冬季間使用禁止」の紙を念のため貼り、備え終了。休む間もなく家に戻り、時間ぎりぎりに町内会の定期役員会にすべりこむ。
 墓参りを済ませると、車のメーターは軽く70キロを超える。実に遠い場所だが、生きている間の子の務めだろう。