ガラスは割れず、床への大きなキズもない。電池を入れ直すと普通に動いたが、アクセントとして文字盤周囲にドーナッツ状に貼ったコルク板の一部が欠落し、本体の一部に新たな亀裂も入った。
コルク板は壁紙が真っ白だったマンション時代、デザイン的にメリハリを持たせるために貼ったもので、壁が木質系のハードボードに変わったいまは、あまり意味がなくなっている。
そもそもこの時計、サラリーマン時代に半年間だけ四国の高松で汚水処理場の現場監督をやった際、竣工後に施工業者からお礼にいただいたいわく付きのもの。
1976年のことなので、42年近くも大事に使い続けてきた。まだ子供がいない時期からの、家族の歴史の目撃者。簡単に捨てるわけにはいかない。
1976年のことなので、42年近くも大事に使い続けてきた。まだ子供がいない時期からの、家族の歴史の目撃者。簡単に捨てるわけにはいかない。
過去にも不注意で2度落下させ、外枠にヒビを入れたり、衝撃で駆動部が外れたりしたが、その都度執念で自力補修し、何とか廃棄は免れてきた。
3度目の大規模修理を施すことにしたが、今回は駆動部に障害はなく、装飾としてのコルク板を全面的に剥がし、ヒビの入った2箇所をプラスチック溶接で固めることにした。
まずコルク板をスクレイパーで剥がす。ボンドで接着したので、かなり手強い。細かいエンボス模様に汚れが黄色く残っていて、外枠と同じ真っ白にするのは困難だった。
いい加減なところでやめ、次にハンダゴテを使って、ヒビの入った部分を内側から補修する。最初はボンド接着し、次にテープで貼ったが、どちらもうまくいかなかった。
プラスチック溶接は得意で、強度面での問題はなくなったが、仕上がりがあまり美しくないのが欠点。しかし、目立たない場所なので許そう。
修正が終わって元の位置に掛けてみたら、仕上がり自体はそう悪くない。白い時計が木質系の壁に浮き上がって見え、42年目にして思い出時計が蘇ったように思えた。