聞けば熱は37度台。食欲がなく、元気もないのが普段の孫娘とは違っていて、翌日の午前中は病院に連れて行くので、午後から預かってもらえないだろうか?との打診だった。
母の施設への面会と対応もちょうど終わり、月末までライブ予定はない。これまで預かったよりも具合が悪そうだったが、引き受けることにした。
12時少し前に車で迎えに行くと、孫娘は意外に元気で、妻の顔を見つけると笑って愛想を振りまいた。病院の診断も軽い風邪とのことで、熱も36度台に下がったという。少し安心して家に向かうと、5分もたたないうちに車の中で寝てしまった。
家に着くと目を覚まし、さっそくオモチャで遊び始めたが、妻が昼食の準備に手間取るうち、13時くらいから急に愚図り始めた。急いで昼食を並べたが、全く手をつけようとせず、ただ愚図るばかり。やはり様子がいつもと違う。
途中の経過からして、眠いのでは?と疑い、試しに2階の寝室に連れてゆくと、ものの5分ほどで寝てしまった。私もそうだったが、今年の風邪はやたら眠くなる風邪だ。
そのままコンコンと3時間近くも眠り続け、17時近くになって妻が起こして食卓に座らせた。ご飯は食べたくなさそうだったので、まずバナナを切って与えると、見る間に1本を平らげた。
続いてラズベリーヨーグルトを食べ、それならと作りたてのかぼちゃクッキーを与えたら、少し口に入れただけで吐き出す。普段は大好物なのに、どうしたことか。
湯冷ましをコップ半分飲み、ミカンをあげたら、こちらはどんどん食べて皮をむくのが追いつかないほど。柔らかいもの、水分の多いものしか受け付けない、典型的な風邪症状である。
食べ終えたとたん、また愚図り始めるので、まだ寝足りないのかと再度2階寝室に連れていったら、途中で最後に食べたミカンを少し吐いた。
身体が熱っぽいので気になって体温を測ると、なんと38.3度もある。お嫁さんから渡された薬袋には「38.5度以上に上がったら入れてください」とメモ書きのある座薬が入っていた。迷ったが、ひとまず保留にしてお嫁さん宛に病状を書いたメールを送る。
送ったとたん、ちょうど休憩に入ったというお嫁さんから電話。相談の結果、熱が下がらないようなら座薬を使うことになる。しばらくして再度測ると、39.0度まで上がっていた。これは大変だ。
妻と二人がかりで座薬を入れる。そのまま様子をみるが、再び眠ろうとはせず、ただ愚図るのみ。とっておきのアニメを見せても全く効果がなく、妻の作ったお粥も受けつけない。抱きっぱなしであやし続けるうち、30分経ってようやく38.0度まで下がった。
お嫁さんの仕事は18時半までだったが、時間を過ぎてもなかなか連絡がこない。1時間が過ぎても熱は38度のままで、孫娘は泣き続ける。かなり困って再度メールを打とうと携帯を開けたら、抱いていた孫娘が待受画面に貼ってある自分の写真を目ざとく見つけ、泣き止んであれこれ話しかけてくる。
なんだ、こんなことで泣き止むのかと、保存してある写真を順に見せ、これは誕生日にみんなが集まったときだね、これはキティちゃんの縫いぐるみを見つけて指差しているところだね、などと話すうち、だんだん機嫌が戻ってきた。
そこでパソコンのスイッチをつけ、保存してある大量の家族写真をフォルダ順に見せて説明してやると、ますます喜んで次第に元気を取り戻した。
ちょうどそこへ、やっと仕事が終わったとの電話がお嫁さんからある。19時半過ぎに自宅マンションまで送り届けることに決定。直後に体温を測ったら、37.8度まで下がっている。
試しにバナナを与えてみたら、一口食べたあとに次を要求。結局半分を食べた。ずっと拒否していた湯冷ましもコップ半分をぐいぐい飲む。
試しにバナナを与えてみたら、一口食べたあとに次を要求。結局半分を食べた。ずっと拒否していた湯冷ましもコップ半分をぐいぐい飲む。
「さあ、お家に帰るよ〜」と声をかけたら、元気に自分で歩いて玄関ホールまでやってきた。その後は愚図りもせず、無事に自宅まで送り届けてきた。
妻と共に家に戻り、風呂に入って食卓についたら、時計はすでに21時を差している。かってないほど重い症状の孫娘に終日翻弄されたが、終盤は何とか持ち直し、無事に役目を務め終えた。
撮りためてあった家族写真に思いがけず救われた感。家族のつながりの大切さを再認識した。