2017年1月22日日曜日

予期せぬアンコール

 市内南東端にある有料老人ホームで歌った。2007年に口コミ経由で最初の依頼があり、以後年一回ペースでの依頼が細く長く確かに続いていて、今回が実に12回目。累計依頼数が2桁の施設は3つしかないが、そのうちのひとつだった。
 場所は先週歌ったばかりの介護予防センター事業の場に近く、今回も車の流れがスムーズな幹線道路(札幌新道)をルートとして迷わず選択。あいにくの吹雪だったが、わずか50分で先方に着いた。

 毎月実施の誕生会余興で、14時5分くらいから施設側のイベントがまずあり、14時20分くらいから始める。アンコールを含め、約35分で13曲を歌った。
「北国の春」「蘇州夜曲」「宗谷岬」「ここに幸あり」「踊子」「仰げば尊し」「みかんの花咲く丘」「旅の夜風」「星影の小径」「ミネソタの卵売り」「港が見える丘」「リンゴの木の下で」「丘を越えて(アンコール)」

 聴き手は50名ほどで、平均年齢は80代後半。入居者の入れ替わりは少なく、場としては完全な傾聴型だった。ニギヤカ手拍子系の曲は不人気で、叙情系の静かな曲に対する反応がよい。
 過去に入居者の方から、「古い曲も歌って」と直接言われたことがあり、これらの条件を加味して、慎重に構成を練った。


 手拍子をうながす曲はほとんどなく、強いて言えば最初と最初くらい。(もしや…)と期待した「ミネソタの卵売り」にも手拍子は起きなかった。
 反面、他の叙情系の曲に対しては、おおむね好意的な反応だった。歌詞カードもなく、歌詞指導も一切しなかったが、「蘇州夜曲」「ここに幸あり」「仰げば尊し」「みかんの花咲く丘」「港が見える丘」などで、一緒に歌う声が数多く耳に届いた。

 やや期待外れに感じたのが、「星影の小径」「ミネソタの卵売り」あたりか。どちらも古い曲だが、古ければいいわけではなく、選曲の難しさを改めて思い知る。
 介護施設では一度も歌ったことがなく、大きな冒険だった「蘇州夜曲」には抜群の反応があって驚いた。2番でやめるつもりが、急きょ3番まで歌うことに。
 同じ部類に入る「港が見える丘」も反応がよかったが、残念ながら時間の都合で2番で打ち切り。惜しいことをした。
 いつも通り約30分で12曲を歌い終えたが、ラストの「リンゴの木の下で」では珍しく手拍子も飛び出し、終了後にちょっと余韻が残った。いわゆる(もっと聴きたい…)という、独特の気分である。
 すると、そんな気分を敏感に察知したのか、進行の方が突然「アンコール!」の手拍子を始める。打合せには全くなく、そもそもこの施設では時間厳守で、過去にアンコールが出た記憶がない。
 しかし、場は明らかにアンコールを求めている。短い曲をありがたく歌わせていただいた。

 終了後、「外の吹雪を吹き飛ばす熱いライブでした」と進行の方が締めてくださった。何人かの入居者の方が近寄ってきて、声をかけてくれる。年に一回繰り広げられる家族的とも思える風景である。
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 ライブを無事に終えて札幌新道を戻り、イオン元町店で妻と合流。実はこの日、長男のお嫁さんの誕生祝いを長男宅でやることになっており、事前にイオンにあるmorimotoでケーキをFAX予約しておいたのだ。
 イチゴ風味のスポンジとイチゴミルクで仕立て上げたスペシャルケーキを受け取る。ネームプレートとロウソクはサービスしてくれた。
 16時ころ長男宅に到着。1ヶ月前のクリスマスパーティでは孫娘に「人見知り泣き」されて困り果てたが、その後の交流でだいぶ慣れたのか、ニッコリ笑って迎えてくれた。
 しかし、調子に乗って妻が抱き上げようとしたとたん、またまた泣き始める。確かに改善はしているが、もう少しの慣れが必要らしい。

 みんなで美味しくケーキをいただき、孫娘を抱いて遊んでいたら、いつの間にか私の膝で眠ってしまった。こんなとき、強い血のつながりをふと感じる。