同じ主旨での介護予防関連では、住民組織側からの依頼で過去に3度歌っているが、行政側からの依頼は初。
対象は介護認定を受けていない65歳以上の地域住民で、聴き手の傾向はデイサービスに近いが、嗜好がより幅広いのが特徴だろうか。
今回も市の相談員経由で7〜8曲のリクエストが入っていて、半数はレパートリーにない曲。幸いに充分な準備期間があり、ネット情報を駆使して練習を重ねた。
冬でも比較的車の流れのよい幹線道路をルートに選んだのが正解で、夏と同じジャスト1時間で到着する。
会場は市営住宅内にある集会室。推測だが、介護予防事業を円滑に進めるため、行政側が対応しやすい市営住宅系の住民組織をまず選んだのかもしれない。
部屋は詰めれば40名は入れそうだったが、集まった聴き手は15名ほど。町内会組織でも似た傾向にあるが、この種の場を設けても、なかなか集まってはくれないのが運営側の共通した悩み。過去3回の例でもそうだった。
予定通り、10時ぴったりに開始。事前の打合せ通り、1時間で17曲を歌った。(※は初披露)
《セレクトタイム》
「釜山港へ帰れ」「宗谷岬」「愛燦燦」「矢切の渡し」「仰げば尊し」「つぐない」「夜霧よ今夜も有難う」「月がとっても青いから」「虹と雪のバラード」「青春時代」
《リクエストタイム》
「高校三年生」「瀬戸の花嫁」「ああ上野駅※」「晴れたらいいね※」「函館の女」
《うたごえタイム》(歌詞カード使用)
「好きですサッポロ※」「青い山脈」
苦手な午前中ライブで、喉の調子を崩しやすい冬場。朝7時前に起きて備えたが、数日前から風邪の初期症状もあったりし、万全な体調とは言い難かった。過去にも似たような条件で、手痛い失敗をやらかしている。
初めての場で大きな失敗は許されない状況で、前半はやや声を抑え気味にならざるを得ず、守りのライブになったように思える。
それでも1曲目から歓声や曲間での拍手をいただいた。会場がこじんまりしていて、声が届きやすかったことにも救われた。
全体的に場は大人しく、完全な傾聴型。これも過去の場と同じ傾向である。気分を和ませるよう、曲にまつわるエピソードを多くするなど、普段よりもMCを長めにした。
事前のリクエスト等から、比較的新しい昭和歌謡を中心に構成したが、この思惑はおおむね当たった。
唯一「外れた」と感じたのは「宗谷岬」。曲名を紹介しても、「どんな曲だっけ…」との声があり、いまひとつ馴染みが薄かったようだ。
場が最も盛り上がったのは、ラストの「うたごえタイム」だったかもしれない。ほぼ全員の歌声が響き、まさに「うたごえサロン」そのもの。歌詞カードの問題はあるが、もっと曲数を増やしてもよかった。
終了後、何人かの方がマイク前までやってきて、ねぎらってくださった。
「素晴らしい声に感動しました」「《青春時代》を聴いていて、自然に涙が流れました」等々。
「素晴らしい声に感動しました」「《青春時代》を聴いていて、自然に涙が流れました」等々。
セレクトタイムのラストには当初「熱き心に」を予定していたが、過去のライブレポを参考に、直前で差し替えたもの。記録はあとになって活きる。
ある女性からは、「全体的に洗練されたスタイルですね」と、これまで言われたことのない言葉をかけられた。歌だけでなく衣装や看板など、日々工夫を重ねている部分が評価されたようで、ちょっと嬉しかった。
機材撤収中にある男性から「お前と水割り※」をギター伴奏で歌いたいというリクエストがあり、昨年の依頼当初からあった話で準備だけはしていたので、ただちに応じた。普段はもっぱらカラオケで歌っていて、いまひとつギター伴奏で歌う自信がなかったという。
市の生涯学習教室でカラオケをずっと練習しているそうで、さすがに歌の技術には確かなものがあった。
歌い手のペースに自在に合わせられるのがカラオケとギター伴奏の大きな違い。最近は自ら歌うだけでなく、単なる伴奏の要望にも臨機応変に対応できている。
いろいろ不安もあったが、少ない過去の経験値を有効に活かして、無難に乗り切った。