近隣のデイサービス夏祭りで歌った。3日間続いたハードスケジュールの最終日で、一昨日歌ったばかりのデイサービスとは同じ系列の施設。
こちらも今年3度目の依頼で、累計でも4度目。やはり「慣れ」や「飽き」が課題で、定番ソングだけの正攻法では通用しないのは明らかだった。
開始は13時半だったが、車で数分の距離なので、移動による負担はない。この日は普段のように私の単独ライブではなく、いろいろな出し物がある夏祭りイベントの一環という位置づけだった。
数日前に施設長さんから連絡があり、祭りにふさわしい曲として北島三郎の「まつり」のリクエストがまずあり、同時に衣装に関する注文もあった。
先方の希望は甚平で歌うことだったが、あいにく持ちあわせていない。そこで施設に準備のあるハッピをお借りすることになり、ハチマキ(バンダナ)だけは私が用意することになった。
開演前の「つかみ」として、衣装の説明をしている。 |
会場には紅白の幕や提灯などが部屋中にめぐらされ、いかにもお祭り、といった雰囲気。用意されたハッピを着てみたが、色が派手で、やや浮いた印象。(100均で調達したとか)しかし、お祭りなので、多少の違和感は許されるだろう。
一昨日の施設の系列とはいえ、場が変わると嗜好もガラリ変わる。定番ソングをできるだけ避けつつも、一昨日の構成をベースに、かなりの修正を加えて臨んだ。
13時半ちょうどから歌い始め、45分間で15曲を歌う。
「高原列車は行く」「おかあさん(森昌子)」「炭坑節」「ここに幸あり」「二人は若い」「浜辺の歌」「酒と泪と男と女」「まつり(リクエスト)」
「長崎の鐘」「昔の名前で出ています」「上海帰りのリル」「ラブユー東京」「花〜すべての人の心に花を」「丘を越えて」「高校三年生(アンコール)」
新たに入れた曲は、「高原列車は行く」「炭坑節」「ここに幸あり」「ラブユー東京」「花」の5曲。お祭りを考慮し、乗りがよくて手拍子の出やすい曲を重視した。
大事な1曲目は、このところ歌ってないが、実績のある無難な曲。3曲目にはちょっとひねった民謡の「炭坑節」を持ってきた。直前の時間調整で「真室川音頭」を全員で歌っていて、私の直後の日本舞踊では「花笠音頭」を踊っていたので、うまく重複を避けた格好。
1〜3曲目までは調子よく手拍子が飛び出し、4曲目で叙情系の曲、5曲目で掛け声参加の曲、6曲目で叙情系唱歌という、メリハリを利かせた苦心の構成である。
ほぼ思惑通りに運んで、前半ラストに相当する「まつり」では、場の気分が最高潮に達する。秋から冬にかけてしか歌わないが、男女を問わず受ける得難い曲なのだ。
全体を通して唯一の選曲ミスは、7曲目の「酒と泪と男と女」。フォーク系の歌だが、他の場では人気のある曲。しかし、フォークをリクエストなしで歌うには、ちょっと無理があった。反応の弱さを素早く察知し、後半を大幅に端折って歌い終える。
一昨日初めて歌ってまずまずの手応えだった「上海帰りのリル」は、今回さらに反応がよく、歌い終えると「いいね〜」の声が湧く。難曲だが、かなり歌い込んで、ようやくこの曲の世界観をつかんだ気がする。2番を飛ばしたが、フルコーラス歌ってもよかったかもしれない。
「ラブユー東京」は介護施設では初めて歌った。チカチカパフォーマンスでは抜群の反応なので、(もしやいけるかも…)という、見切り発車だったが、予想以上に受けた。
ジャンル的にはムード歌謡だが、よく知られていて、何より手拍子がでやすい。未開拓の曲でも、この2点に絞って選曲すれば、まだまだ歌える曲を発掘できそうだ。
他の出演者の関係もあって、アンコールやその場のリクエストはない、という事前の打合せだったが、終了後に当の担当職員さんがいきなり立ち上がって「アンコール!」の手拍子。「打合せと違ってますよ〜」などと応じつつ、ありがたく追加で歌わせてもらう。
実はこの職員さん、目下妊娠中だそうで、ライブの途中「お腹の子が菊地さんの声に合わせて、トントン蹴り出した!」との面白いコメント。どうやら歌に反応するのは高齢者ばかりではないようだ。
終了後、「よかったです〜」との声を幾人かの方からかけていただく。修正を加えたこともあり、結果として出来は一昨日よりも向上したように思える。
同じ曲を同じような場で同じ歌い手が歌っても、場の反応はその都度微妙に異なる。その微妙さ加減がライブの妙味。だからライブは面白い。