2015年8月2日日曜日

過酷な炎天下ライブ

 昨年暮れのクリスマス会に初めて招かれたサ高住(サービス付高齢者向け住宅)から再び声がかかって、夏祭りのイベントに出演した。

 前回は真冬とあって会場は室内だったが、今回は施設内の駐車場を使って屋外でやるという。天候や音響など、屋内とは格段に条件が難しくなるが、地域住民にも開放して広がりが期待できる、という利点がある。
 偶然だが、施設は一昨日歌ったサ高住のすぐ近くにあった。好評だった前回の構成をベースに、一昨日の結果も参考にしてセットを組んだ。
 余興は12時開始で、出演は全部で3組。トップはよさこいソーランの踊りで、2番手が三味線&民謡のグループ、ラストが私である。
 13時20分からの40分が私の割当てだったが、早めの12時25分に会場入りすると、まだ続いているはずの踊り手の姿がどこにも見当たらず、テントと椅子が設営された会場は静かだった。


 担当のTさんからお弁当をいただき、食べ始めたとたん、実は進行の間が空き過ぎたので、三味線&民謡グループが予定より10分早く始めたという。
 民謡は予定通りに20分間で終わるので、私の開始時間を15分ほど早め、演奏時間も当初予定から10分増やして50分間にしてもらえないか?との打診だった。

 いわゆる進行が「巻いている」状態で、5人ほどのグループで出演している三味線&民謡では時間調整が難しく、ソロで動きの取りやすい私に声がかかったらしい。推測だが、何らかの事情で踊りのグループが早く終わりすぎたのではないだろうか。
 時間の調整は日頃から慣れているので、快諾。まず予定通りに40分間歌い、その後アンコールの形で時間を調整することに決まる。弁当は半分だけにし、急きょ13時5分から歌い始めた。
「憧れのハワイ航路」「瀬戸の花嫁」「お富さん」「月の沙漠」「幸せなら手をたたこう」「リンゴの唄」「青葉城恋唄」「まつり」「バラが咲いた」「浪花節だよ人生は」「夜霧よ今夜も有難う」「東京ラプソディ」
〜リクエスト&アンコール「くちなしの花(初披露)」「高校三年生」

 施設側に充分な音響設備の用意がないということで、PAは前回同様、全て持込みでやることになっていた。屋外会場なのでパワー不足の懸念があったが、事前のマイクテストで音割れのないギリギリまでボリュームを上げ、何とか間に合わせた。
 2つの5階建て居住棟に挟まれた場所に駐車場があって音の返りが抜群によく、屋外の割には非常に歌いやすかった。


 問題はステージの位置で、広いスペースが必要な踊りが最初にあった関係で、ステージとテントとの距離が遠く、20メートル近くはあったかもしれない。間にも椅子やテーブルは置いてあったが、日よけが全くないので、大半の聴き手は日陰のあるテント下に座っている。この聴き手との距離感が歌い手として難しい条件だった。
 加えて、強い夏の陽射し。50センチほどの高さにあるステージに日よけの類いは全くなく、開始当初は雲に隠れていた太陽が、ライブが進むにつれて雲から顔を出し、じりじりと容赦なく照りつける。
 液晶の明度をいっぱいに上げても、陽射しの反射で電子譜面が過去に例がないほど読みにくい。後半はほとんど勘だけで歌い進める状態だった。

 屋内はエアコンが効いていて涼しいが、外はアスファルトの強い照り返しで、体感30度を軽く超す炎天下。たとえ日陰でも、高齢者にとっては過酷だったろう。抜群の手応えだった前回と比べて、いかにも反応が弱い。参加者も100人を越した前回に比べて、やや少ない印象がした。
 歌い手にとっても過酷だが、ボランティア活動といえど、ある種の「業務」であることは間違いなく、気力をふり絞って歌い続けた。
 不思議なことに、終盤の「浪花節だよ人生は」あたりから、じょじょに反応がよくなってくるのを感じた。前回との重複曲は中盤の3曲だけで、ラスト3曲は初披露。耳新しさもあったのだろうか。

 当初の予定メニューを40分間で終わって、時計は13時45分。打合せ通りに進行の方から、「アンコールお願いできますか?」との打診。期せずして、テント近くにいた職員さんのグループから、「アンコール!」の拍手が湧く。
 いわゆる「時間調整型アンコール」だったが、希望があればリクエストに応えるべく、進行の方2人に会場を回っていただく。何も出なければ適当に見繕って歌うつもりでいたが、以下の4曲が相次いで飛び出した。
「東京ブギウギ」「くちなしの花」「チャンピオン」「高校三年生」

 レパートリーにあった「くちなしの花」「高校三年生」を手早く探し出し、無難にこなす。あれこれやり取りなどもあって、50分間で14曲を歌ったことになる。
 結果として進行の帳尻をうまく合わせることが出来、担当のTさんを始めとする職員の方々からは、とても喜ばれた。
 かってないほど過酷な条件だったが、それなりにさばけて、またひとつステップアップできたかもしれない。