回を重ねるごとに検討会議の出席者は少しずつ減ったが、最終的には15名ほどのメンバーが運営に参加。初回なのでカフェの場は地域商店街夏祭り出店の一隅をお借りすることになった。
天気さえ良ければ集客面での不安は皆無で、問題は「街づくり活動とカフェとをどうやって有機的に結びつけるか?」の手法面にかかっていた。
運営の柱は、「飲食物販売」「ゲームコーナー」「街づくり展示」の3つ。飲食物コーナーでは地域にちんなんだメニューを地域らしいネーミングで販売。地域特産の藍染め小物も販売する。
ゲームコーナーではくじ引きの景品に、地域の特徴ある写真をカードにして添付する、という趣向をこらすなど、「街づくり」のキーワードにはこだわった。
飲食物販売やゲームは客も取っ付きやすく、運営手法もそう難しくない。ここでの集客をどうやって街づくり展示に誘導するか、である。
途中の検討会議ではいろいろなコーナーに関わったが、最終的には本業の建築デザインが活かせる街づくり展示の店番を担当することに。あいにく日程が2つのライブの合間に挟まれていて、直接関われるのはカフェの設営準備と初日後半の店番だけ、という苦しい状況だった。
飲食コーナーでは地域にちなんだ飲み物を販売 |
苦手な早朝に最寄りの地区センターに集合し、機材を会場へと運ぶ。テントは3.6×3.6Mだったが、ここに3つのコーナーを効率的に配置するのは至難の業。
空はきれいに晴れ上がったが、陽射しが強くて汗が流れ落ちる。だいたい終わらせていったん家に戻り、昼食をとったあとに疲れで仮眠。翌日のライブの練習をひと通り済ませて、16時からの割り当て時間に合わせて家を出る。
会場に入ってみると、午前中とは街づくり展示の配置が変わっていた。当初は販売コーナーの背面にあったが、90度外側にふってある。客の動きが販売コーナーの作業動線と重なる、という判断らしかった。
販売コーナーでつかんだ客を奥へ導く、という思惑からは外れるが、展示板前に休憩用の椅子とテーブルを並べたので、そこに座る客に声をかける、という方針変更だった。
開始の12時から16時までの展示コーナーへの来客は20名強。16時からそれまでの担当者と店番を代わったが、思っていたよりも興味を示してくれる方が多かった。
街づくりの展示板に目をやった方に、「街づくりアンケートやりませんか?」とすかさず声をかける。「篠路の街が好きですか?」など、選択方式の4つの設問にシール貼りで応えるもので、手が飲食物でふさがっている方には、「代りにお貼りしますよ」と言い添える。
さらに興味を示してくれた方には、机上にある再開発計画の模型に、将来の街にあったらいいと思うものを、自由に配置してもらう趣向だ。完成模型は写真に撮って記録に残す。
やり取りの中で、街づくりに関するメッセージが飛び出した場合は、すかさず手元のカードに書き取って展示板にピンで貼りつけた。
お祭りにふさわしいとは決していえない硬い展示なので、正直あまり期待はしてなかったが、閉店の19時までに20数名のアンケート協力を得て、メッセージや模型作成もそれなり。あっという間の3時間だった。
やってみて思ったのは、カフェでの客のさばきは、チカチカパフォーマンスでの聴き手とのコミュニケーションと非常によく似ている、という事実だ。
それなりの場を作ってやれば、無理な客引きなどせずとも、興味を示してくれる方は必ずいる。あとは声掛けのタイミングと、それに続く柔らかい会話があればいい。
今回の企画は、はたして今後どういった方向に進んでゆくのか、皆目分からない。すでに多くの社会活動に関わる身ではあるが、なにせ地元の街づくり活動である。弾き語りの特技が活きるかどうかなどの思惑はさておき、無理のない範囲で今後も関わっていきたいと思う。