自転車に機材一式を積み、まずは最寄りのJR駅へ。その後、JRから地下鉄と乗り継いだが、乗り換えの階段や通路が予想よりもはるかに長く、30度に迫る暑さで機材一式の重さが堪えた。
幹事集合時間の16時30分より15分早く到着。すぐに会場に入れてもらい、部屋の大きさや明るさ、ステージの位置などを確認した。
幹事全員が集まった段階で、機材一式をセット。マイクをステージに載せて簡単なリハーサルをやることにした。重量の関係でPAは乾電池式のもの。非力だが、やむを得ない選択である。
正面ステージに載って歌ってみるとテーブルが横に長く、歌いにくく聴きにくい印象がした。ステージが不安定で踏ん張りもきかず、この位置は諦めて、ステージ左側にある壁を背にして再度歌ってみた。
床が同じ高さだが、歌いやすい。メインステージの進行と無関係に準備できるのも好都合で、こちらで歌うことに決める。
10分遅れて17時40分から宴会が始まる。ギリギリになって参加者も増え、最終的な参加者は24名。乾杯、そして歓談となったが、18時から開始予定の各自近況報告が、なかなか始まらない。30分近くも遅れてくる人が数名いたためで、実際に始まったのは19時近くだった。
私の余興は18時40分からの予定だったが、大幅に繰り下がることになる。全員の近況報告が終る頃を見計らい、機材を全てセットしてスタンバイし、終了後の19時30分頃からただちに歌い始める。
近況報告が笑いあり涙ありでかなりの盛り上がりを見せ、開始から2時間近くが経過して、各自酔いもかなり回っている。先日の訪問ライブに似た、難しい条件のなかで余興は始まった。
この日は「青春歌暦」と題し、小学校~中学校~高校~成人、という青春の懐かしい軌跡を歌でたどる、という趣向である。およそ20分で以下の5曲を歌った。
「カレンダー・ガール」~オールディズ(小学校時代)
「オブラディ・オブラダ」~ザ・ビートルズ(中学校時代)
「亜麻色の髪の乙女」~グループ・サウンズ(高校時代)
「風来坊」~フォーク(成人)
「また逢う日まで」~アンコール
企画としては悪くなかったはずだが、ライブとして成り立ったのは、冷静に判断して2曲目までだったろう。同窓会的な場は初めてだったが、思っていたイメージとはかなり異なっていて、お祭り系イベントよりもさらに浮ついた印象である。最も近いイメージは、サラリーマン時代の社内旅行宴会余興だった。
結局のところは酒宴なので、そうした気分になるのは当然といえば当然。ラストのアンコールは別の幹事からの気遣いである。
本当は「エーデルワイス」「僕の胸でおやすみ」も用意していたが、場の状況からバラード系の曲は無理と判断し、カット。全体の時間が押していたので、これは正解だった。
ライブはいまひとつ食い足りないものだったが、幹事不在だった組の世話役を急きょ引き受け、その最大の役割としての余興担当だったので、その一点では歌ってよかったと思う。
会自体は大変な盛況だった。「来年から毎年やろう!」の声も飛び出したほど。参加人数が多ければよい、というものではないことを知った。歓談の中で各自が抱えている諸問題も出たりし、細く長く続く基礎は固まったように思える。
もし余興の「次回」があるなら、「聴かせよう」という野心は一切捨てて、中高年に受けるメジャーな曲を短めにまとめる方向となろう。数十年ぶりの酒宴余興出演だったが、いい勉強をした。