2012年9月21日金曜日

思惑通りのライブ

 平日だが、午後から近隣の小樽市にあるデイサービスの秋祭りで歌ってきた。連日の猛暑もようやく一段落し、秋らしく過ごしやすい陽気。ステージ衣装も久しぶりにシャツを1枚増やして臨んだ。
 札幌の北端に位置する我が家から小樽市は比較的近いが、それでも往復で50キロあった。ライブ会場としてはかなり遠い部類に入るだろう。

 実はこの施設では今年2月末にも歌っている。利用者や職員の方々から「あの人の歌がもう一度聴きたい」との要望があったそうで、わずか7ヶ月後という短すぎるインターバルが気がかりだったが、歌い手にとって殺し文句に近いそのお誘いを拒むことなど不可能である。


 距離的には遠いが、渋滞のない裏道を通るので40分弱で着く。開始予定は13時30分だったが、15分前には着いてすぐにスタンバイ。一昨日作ったばかりのマイクスタンド直付電子譜面はこの日が使い始めだったが、思惑通り設置はごく簡単に終わった。
 床が1段低い食堂では、すでに利用者の方が椅子に座って開演を待っている。職員の方に予定より開始を早めることを提案。5分早い13時25分から歌い始め、35分で以下の14曲を歌った。

「高原列車は行く」「草原の輝き」「知床旅情」「高校三年生」「二人は若い」「おかあさん(森昌子)」「夕焼け小焼け」「紅葉」「赤とんぼ」「月がとっても青いから」「ここに幸あり」「お富さん」「丘を越えて」「まつり(北島三郎)」
 ライブが目白押しなので冒険はなく、実績ある曲を並べた。マイクスタンド直付電子譜面は使用中も終始安定していて、スタンドや丸型クリップがずれたり動いたりすることは一切なかった。今後、普通に使えるメドがたった。
 前回歌った曲との重複は「知床旅情」のみ。歌う間隔が短いので、場としては非常に難しい。「前回よかったから、次もよい」とは必ずしもならないのがライブの難しさで、基本的に人は飽きる動物なのだ。


 全体的に大人しい方の多い場で、どちらかといえば情緒的な歌が好まれる。私の得意なジャンルだが、秋祭りイベントの一環なので、ニギヤカ系の曲もうまく取り混ぜた。
 ライブは笑いあり手拍子あり涙ありで、前回以上に手応えのあるものだった。起承転結に気を配った曲の構成もうまく運んだ。「二人は若い」ではいつものように聴き手を巻き込み、ラストの「まつり」では歌詞の一部に施設名を入れて、喝采を浴びた。「ここに幸あり」では聴き手の目に光るものを見た。

 この日は中間あたりで、普段より長めのMCを意識的に入れた。電子譜面採用以降、曲間の時間ロスがほとんどないので、35分だと15曲は歌ってしまう。さすがにそれでは多すぎるように思えたので、場とのコミュニケーションを図るべく、思いつくままにあれこれ話した。
 話してみて思ったが、数曲毎に長めのMCを入れるのも悪くないと感じた。聴き手との親密度が増し、以降の進行がスムーズに運ぶ。無駄をそいで生まれた時間的余裕だったが、思わぬ効用があった。
 終了後、職員の方から「利用者も職員も癒され、楽しませてもらいました」と労われる。「まさかここで『草原の輝き』が聴けるなんて」「菊地さんの歌う『夕焼け小焼け』は、ちょっと違って聴こえる」「どうやってその声を維持してるんですか?」など、歌い手冥利につきる言葉もたくさんいただく。

 同じ場で2度目までは何とかやれるが、問題はここからだ。以前にもどこかでふれたが、3度目の壁はとてつもなく厚くて高い。しかし、今日はそんな先のことなど考えず、思惑通りに運んだ満足感にしばし浸っていよう。