2010年5月16日日曜日

珈琲ミルの偶然

 日曜だが、水曜が締切のけっこう手強い仕事を抱えている。ギリギリで追い込まれるのはイヤなので、休日返上で没頭する。午後3時に妻を誘い、昨年11月に近所に開店したばかりの、店内にピアノの置いてあるカフェに休憩をかねて行った。
 今日で2回目だが、前回行った際、中庭に見事な桜の木があるのを見つけ、春にはさぞや…と期待してのこと。

 花はすでに盛りを過ぎていたが、前回と違って、客は私たちと同年代の中年夫婦が多数。落ち着ける店だからだろう。前回同様、「篠路ブレンド」という、地元の名前がついた甘い香りのスペシャルブレンドを注文する。


 この店では、客がくるたびに豆をひき、その場で入れてくれる。家で飲む手入れのコーヒーも悪くはないが、こうして外で飲むプロならではのコーヒーの味もまた格別。
 妻と二人で、(この豆は果たして何か?)と議論したが、香りはグァテマラに似ているが、独特の甘味が違う。もしかして、マンダリンがベースかも?と行き着いたが、真実は定かではない。
 帰り際、支払いをしながらふと棚を見ると、我が家にある秘蔵のイギリス製コーヒーミルと、全く同じ品が飾ってある。驚いて、思わず店主に声をかけた。

 聞けば、30数年前に結婚祝いとしてプレゼントされた品だという。私が買ったのも37年前で、時期はピタリ一致する。当時でも1万円近くした高級品で、いまでは入手不可能なレア物だが、これまでこのミルを使っている人と一度も巡り会ったことはない。余程手入れがいいのか、我が家のと違ってサビひとつなく、新品のように光り輝いている。
(その後調べてみたらSPONGというメーカーで、たまにネットオークションに出る程度らしい。もはや骨董品である)

 店主夫妻とちょっと話したが、オーナーは私と同い年で、早期退職して専門学校で修行し、カフェを開店したのだとか。接客がまだぎこちなく、素人臭いのもそのせいだろう。そこがまた好感がもてる。
 ピアノのことといい、コーヒーミルのことといい、事業の夫婦経営の形態といい、何となく親しくなれそうな予感。自宅から歩いて20分強なので、今度は一人でゆっくり話をしにくるとしよう。