2018年10月17日水曜日

紅葉狩誕生会の旅

 10/17からの2日間、3年ぶりに家族で一泊旅行に出かけた。長男一家からお誘いがあり、10月が誕生日の私たち夫婦を祝って、温泉旅行に招待してくれるという。

 2年前に母が施設で転倒手術入院して以来、容態が安定せず、断続的に転倒入院通院を繰り返した。いつ施設から呼び出しがくるか分からず、日帰り以外の遠出はずっと控えてきたが、このところようやく様子が落ち着いてきた。
 ずっと身を潜めたまま日々を過ごすのも生きている実感に乏しく、母が小康状態のいま、思い切って出かけることにする。念のため前日に母の施設に出向いて見守り面会をし、様子を再確認した。
 今回は孫娘が誕生してから初めての旅。長男一家は車を持っていないので、これまでは私の軽自動車で出かけていたが、家族が5人だと定員オーバーになる。そこで普通車のレンタカーで出かけることにした。
 自宅近くのガソリンスタンドで2日間5千円強という破格でホンダフィットを借りたという長男が、11時過ぎに迎えにきた。ただちに乗り込んで11時20分に出発。レンタカーにはサービスでチャイルドシートまでついている。


 目的地は紅葉が盛りの層雲峡温泉。行きは高速を使わず、道が空いている275号経由で北へと向かう。時折小雨はパラつくが、まずまずの天気で順調に走った。
 途中、道の駅鶴沼でトイレ休憩のあと、13時20分に道の駅ライスランド深川に到着。名物の釜飯を食べる。キノコ、栗、鶏など、それぞれ好みの釜飯をチョイスし、互いに少しずつ分け合って美味しく食べた。
 14時40分に道の駅を出発。レンタカーは借りる際に長男夫婦しかドライバー登録しておらず、今回の運転は長男に任せて、私は助手席でナビ役に専念である。

 20分後に道沿いにある紅葉の名勝地、神居古潭に寄った。16歳のときに企てた自転車放浪旅行でも立ち寄った思い出の地で、公園としてきれいに整備されていたが、切り立った岩肌や石狩川の流れは52年前と変わっていない。


 階段や吊橋、SLや遊歩道のトンネルなど、普段は見られない景色に孫娘は大喜び。予定よりも長居して、15時半まであちこち散策した。

 その後は旭川を経由し、休憩なしで愛別から無料高速経由で層雲峡に向かう。宿となる朝陽リゾートホテルには17時10分に到着した。
 この日の走行距離は190Kmほどで、小さな子には負担の大きい長距離ドライブだったが、遊び疲れた孫娘は到着までずっと寝てくれて助かった。


 当初の予定よりチェックインが40分遅れた関係で、男性2人は夕食前に温泉に入り、孫娘を含めた女性3人は夕食後に温泉ということになる。

 19時からバイキング形式の夕食をとる。3年前に泊まった洞爺湖サンパレスもそうだったが、大半の客は台湾系と思われる外国人で、中国系の従業員も多数いた。そういう時代なのだ。


 思い思いに食べて、20時過ぎにお開きかと思いきや、ここで突然誕生ケーキがテーブルに運ばれてきた。長男が企画したサプライズで、6本のローソクと「じいじばあば、お誕生日おめでとう!」のお祝いプレートが。
 同時に孫娘が「ハッピバースデーツーユー」を歌ってくれる。歌詞にちゃんと「じいじ」「ばあちゃん」が入っていて、2歳になったばかりとは思えない完成度。聞いていて、思わず熱いものがこみあげた。
 まさか孫娘に「お誕生日のうた」を歌ってもらえる日がくるとは夢にも思わず、長生き?はするものである。
 一夜明けた翌日は、6時くらいから各自が三々五々と温泉につかる。私はパスするつもりが、結局8時近くにちょっとだけ入った。
 昨夜は暗くて見えなかったが、露天風呂の正面には柱状節理の豪快な岩肌と紅葉が広がり、最高の眺めである。温泉もトロトロした感じで、よく温まった。

 やや遅れて8時半から朝食。妻だけが和食で、他は洋食を選んだ。9時50分くらいにチェックアウトし、この日も運転は長男が担当。
 まず近場の流星・銀河の滝へと向かうが、車を降りたとたん、ミゾレ混じりの雨が降り出す。温泉街よりも標高が高いせいか、紅葉もすでに終わっている。風邪をひいてはいけないので、早々に立ち去ることにした。

ホテル客室からの眺め

 愛別から比布経由で高速に乗り、岩見沢で降りて夕張滝の上公園へと向かう。事前の調べで、竜仙峡と呼ばれる紅葉の景勝地があると知った。少し遠回りになるが、今回の旅は紅葉の名勝巡りでもあった。高速を使って時間短縮し、立ち寄ることにした。

 10時過ぎに流星・銀河の滝を出発。途中の山道には美しい紅葉が連なり、飽きさせない。大人は充分に楽しめるが、小さな子にとっては狭いベビーシートに縛られたままの時間は辛かった。1時間を過ぎたあたりから、孫娘が愚図り始める。
 11時40分くらいに音江PAでトイレ休憩。車を降りたとたん孫娘のご機嫌が戻り、あちこち走り回って大はしゃぎ。やはり子供は遊ぶのが仕事で、長い乗車時間は厳しいようだ。


 岩見沢で高速を降り、すっかり車に飽きて断続的に愚図る孫娘を歌やお絵かきであやしつつ、一般道を夕張へと向かう。前日に焼いて持参したかぼちゃクッキーが結構役立った。

 13時50分、前日にネットで見つけた由仁町にある道沿いのおにぎりカフェ「おにぎりあぜっこ」に到着。遅めの昼食をとる。
 平日限定の「おにぎりセット」を食べたが、おにぎり小2個(具は選べる)豚汁と漬物、日替りオカズ2品(この日はカボチャサラダに揚げサンマ)がついて750円とお得。食後に300円のカフェセット(ドリンク&デザート)も頼んだ。

 通されたのは畳の小上がりで、絵本やアンパンマンおもちゃ等もたくさん置いてあり、孫娘は目を輝かせて遊んでいた。料理も美味しくて自然素材を巧みに使った内装が落ち着き、店員の応対にも好感が持てた。また行きたくなる店である。


 居心地がよいので15時過ぎまでゆっくりし、最終目的地へと向かう。はっきりしなかった天気がようやく回復し、絶好の紅葉狩日和となった。

 15時20分に公園到着。札幌からは1時間半ほどだが、来るのは初めて。散策路を進むと赤い吊橋があり、そこを渡ると「千鳥ヶ滝」と呼ばれる絶景が突然眼下に広がる。
 大小の奇岩とそこを縫うように落ちるさまざまな滝、それらを囲む紅葉は、いまがまさに盛りだった。見たこともないような風景に、思わず息を呑む。天候に恵まれたこともあって、旅の最後を飾る最高の展望だった。


 16時ころに出発し、家路につく。途中、西に沈む夕日から地上にむけて天使の階段(薄明光線)が出現した。
 以前に家族でキャンプに行った帰りや、長男の結婚にあたって先方に挨拶に行った折にも突如現れたもの。不思議な縁を感じていたら、どうやら他の家族も同じことを考えていたらしい。

 その直後、今度は走る車の真上を大型の白い鳥が列を組んで横切ってゆく。南の方角に飛び去る8羽の白鳥だった。シベリアからやってきて、日本のどこかで越冬するのだろう。
 初めて見たというお嫁さんは、測ったように車とぴったり交差する偶然もあって大興奮。家族の今後の吉兆を願わずにはいられない。


 都心の渋滞を避け、北広島から野幌経由の裏道を通って17時15分に無事帰着。この日の走行距離は280Kmほどで、2日間の走行距離はおよそ470Kmである。
 今年は試練の日々が延々と続いていたが、いろいろと得難い経験をさせてもらい、生きる希望が湧いてくるような充実の2日間だった。