依頼が少ないのは、医療ケアとリハビリを主たる目的とする施設なので、歌や踊り等の娯楽系イベントに大きなニーズがないからではないか。
数日前のドカ雪の爪痕がまだ残っていて、かなり早めに家を出たが、車の流れは予想外にスムーズ。開演30分前に先方に着く。
さっそくステージとなる会場に入る。母がお世話になっている老健施設もそうだが、リハビリもかねている場なので、非常に広い。その中央あたりが仮想のステージだった。
背面に壁がなく、前面の壁もはるか遠くなので音響面では難しい。照明で歌い手が明るく見えるようマイクスタンド位置を調整する。
ラスト2曲はホワイトボードに貼った手書きの歌詞を見ながら歌うことが決まっていたが、「バラが咲いた」の歌詞が1番のみで、指摘すると「では1番を2回歌うということで…」と、よくある手法に落ち着きそうになった。
しかし、2番は「バラは散っても、心の中でずっと咲き続ける…」と、人生とバラとを重ね合わせる暗喩が秀逸。フォーク風だが高齢者の支持が熱い所以。ここを抜いてしまうと魅力が半減するので、2番は歌詞を口頭指導で歌うことで決着した。
予定より1分早い13時49分から歌い始め、およそ33分で11曲を歌う。
(※はリクエスト)
「高校三年生」「二輪草」「お座敷小唄」「ここに幸あり」「幸せなら手をたたこう」「荒城の月」「矢切の渡し」「夜霧よ今夜も有難う」「バラが咲いた※」「リンゴの唄※」「冬のリヴィエラ※」
日帰りのデイケア利用者が対象で、聴き手は30人弱。男性比率が6〜7割と他施設に比べて突出して高く、進行の難しさを予感させた。
歌に対して強い反応があったのは、やはり前列に座った女性。後列の男性たちはおしなべて反応が鈍く、参加型の「幸せなら手をたたこう」でも応ずる拍手はまばら。いつも思うが、人生を柔軟に謳歌しているのは圧倒的に女性のほうだ。
(あとで考えたが、リハビリ中で自由に手足を動かせない事情があったのかも)
ライブはその女性のリードで進んだが、何せ全体の3割程度なので、盛り上がりも遠慮がち。初めての場で過去の実績が皆無に等しい老健施設ということもあり、構成の的がいまひとつ絞りきれなかったかもしれない。
予定より2分早く終わったのでセルフアンコール的にリクエストを募ったら、案外すんなりと出てホッとした。
ずっと打合せてきた担当者が急な業務で不在で、ラストのシングアウト曲に行き違いがあったりし、難条件がいくつも重なったが、大きなミスなく終えたのでよしとしたい。
ずっと打合せてきた担当者が急な業務で不在で、ラストのシングアウト曲に行き違いがあったりし、難条件がいくつも重なったが、大きなミスなく終えたのでよしとしたい。