2016年11月23日水曜日

寒いけど熱い

 年に数回招かれる近隣のデイサービスで歌った。特にイベントはなくとも定期的に声がかかり、職員さんや入居者の方々ともすっかり顔なじみ。2014年に最初の依頼があって、今回が通算7度目のライブ。互いの厚い信頼関係が築かれつつある。
 11月の下旬だが、折悪しく真冬並みの低気圧が上空に居座っていて、最高気温がマイナス2度、最低気温がマイナス7度という、時期外れの厳寒真冬日だった。積雪はそれほどでもないが、とにかく寒い。凍てついた道を慎重に車を走らせる。

 幸いに車で15分の近距離で、開始15分前に無事に到着。テーブルの配置はそのままにし、入り口付近の空いたスペースで歌うことになる。
 予定ぴったりの14時から始め、職員参加の歌や数度のアンコールなどあって、予定オーバーの1時間5分で18曲を歌った。


《前半〜ソロ》
「高原列車は行く」「瀬戸の花嫁」「お座敷小唄」「ちいさい秋みつけた(リクエスト・初披露)」「うちのお父さん(勤労感謝企画)」「おかあさん(勤労感謝企画)」「長崎の鐘」「銀色の道」「舟唄」「矢切の渡し」「熱き心に」

《後半〜職員とのコラボ》
「時の過ぎゆくままに」「雪國」「サボテンの花」「また逢う日まで」
「あの素晴しい愛をもう一度」「青い山脈(アンコール)」

《アンコール→私のソロ》
「夜霧よ今夜も有難う(リクエスト)」
 前回好評だった職員さんとのコラボ演奏を今回も採用。曜日が異なるので、コラボ演奏は同じ曲目でやることになり、従って事前のリハは省略した。
 前半35分ほどは私のソロ。ライブ記録を調べ、ある程度の季節感も意識しつつ、過去にあまり歌ってない曲、初めて歌う曲を中心に構成した。


 開始前から複数の入居者の方から声がかかり、歌い手としては非常にやりやすい雰囲気だった。曲ごとの声援や拍手にも熱いものがあり、外の寒さを吹き飛ばす勢い。
 中間部に施設長さんと事前に打合せた「勤労感謝特別企画」を入れる。お父さん、お母さんに感謝しましょう、という売りだったが、この日は何をやっても受ける状況で、介護施設では難しいと思われたフォーク「うちのお父さん」にも手拍子喝采が続く。

 35分経過後から、職員さんとのコラボ演奏に突入となる。同年代の送迎担当の方とまず4曲歌い、最後に施設長さんと1曲を歌う。私はマイクなしで伴奏が役目だが、要所では歌の入りやハモリで参加した。
 どの施設でもそうだが、職員さんとのコラボには外れがない。普段の接触時間が長く、親しみの度合いが違うので当然といえば当然か。
 予定を終えると、ヘルパーさんが中心になってアンコールの要求。半分はお約束アンコールのような形だが、ここは3人一緒に「青い山脈」を歌詞指導つきで全員でシングアウトした。
 時計はぴったり15時。コルセットとホッカイロでガードして臨んだので、恐れていた腰痛も起こらず、ヤレヤレと撤収にかかろうとしたら、またまたアンコールの声あり。全くの想定外だったので驚き、では何を歌いましょうかと、場にお伺いをたてた。

 すると、最前列にいた女性から「夜霧よ今夜も有難う」をぜひに、とのリクエストあり。これが聴きたくて本来の利用日を飛び越えて、わざわざ参加したという。そこまで請われると応じないわけにはいかない。
 ところが、かの女性が歌の途中で涙をポロポロこぼし始めた。周囲の人にも涙が広がり、場が一種異様な雰囲気になった。あとで知ったが、亡くなったご主人が大好きだった曲だそうで、いい供養になりました、ありがとうございますと、何度も頭を下げられた。
 ラストがしんみりし過ぎた感がしないでもないが、自分の歌で泣いてくれるのは、歌い手冥利に尽きるというもの。長い付き合いのある場なので、こんな終わり方もたまにはよい。