前回は介護度がやや重い「介護棟」と呼ばれる建物で、今回は介護度の低い「一般棟」と呼ばれる建物。当然ながら聴き手は全く異なり、歌う時間帯も前回の午前中から夕食後のデザートの合間に、という設定に変わった。
介護施設で夕方開始のライブは過去に例がなく、食事中という設定も数少ない。歌い手の条件としては厳しいが、全く同じ構成でも構わないという。準備そのものは楽だった。
開始予定は17時15分だったが、かなり早めの16時35分に施設に着く。会場となる食堂に人が集まり始めた時間で、設営のタイムロスを少なくするべく、控室で機材を予め組み立てて準備した。
食事がやや遅れ、17時30分から歌い始める。イベント開始からすでに45分が経過し、場はすっかりリラックスムード。そんな気分を壊さぬよう、慎重に進めた。アンコールを含め、およそ25分で8曲を歌う。
「高原列車は行く」「二輪草」「愛の讃歌」「幸せなら手をたたこう」「高校三年生」「星影のワルツ」「青い山脈(全員で)」「また逢う日まで(アンコール)」
1週間前と全く同じ構成で構わない、とは聞いていたが、施設長さんの話などを参考にし、以下の3点に変更を加えた。
1)2曲目「瀬戸の花嫁」をカラオケ色の強い「二輪草」に。
2)「幸せなら手をたたこう」の3番の歌詞「ほっぺつねろう」を難易度の高い「笑いましょう」に。
3)アンコール「月がとっても青いから」をPOP風の「また逢う日まで」に。
聴き手の介護度が低く、カラオケ好きが多いとの事前情報から加えた変更だが、結果として2曲目はどちらでも大差なかったような気がした。
聴き手はおよそ50名。運営母体が同じせいか、全体的な場の雰囲気は1週間前の介護棟と比べて大きな違いはなく、じっくりと歌に耳を傾ける「傾聴型」である。
「幸せなら手をたたこう」を機にじょじょに乗ってくる展開も同じだったが、最初に「ぜひご一緒に口ずさんでください」と声をかけたこともあってか、一緒に歌う声は数多く耳に届いた。
ラストの「青い山脈」では、完全に歌声サロン風の雰囲気。アンコールは職員さん中心の「お約束アンコール」だったが、ここでは思いついて前回歌った「月がとっても青いから」と「また逢う日まで」の二択を場に求めてみた。
すると思いがけず「また逢う日まで」の声が圧倒的。ラストは自然発生の手拍子と歌声が広い吹き抜けホールに響き、楽しいシングアウトとなった。
喉の調子がいまひとつで、体調は必ずしも万全ではなかったが、前回と同じく職員さんや入居者の方に数多く声をかけていただき、手堅くまとめられたと思う。