ひたすら自宅で練習を重ねることも必要だが、歌はやはり人前で歌ってこその世界。このところチカホでは集客的に手詰まり感が強いが、たとえ聴き手がゼロでも、街角で歌うことの意味は充分にある。
この日も枠一杯の3組がエントリー。珍しく事務局での手続きが一番で、トップで演らせてもらうことになった。
14時2分くらいから歌い始める。演歌系の曲を中心に、およそ25分で8曲を歌った。(※はリクエスト)
「ラブユー東京」「石狩挽歌」「釜山港へ帰れ」「宗右衛門町ブルース」「愛人」「ビリーヴ※」「圭子の夢は夜ひらく」「ダスティン・ホフマンになれなかったよ※」
寒さもやや緩み、この時期にしてはまずまずの陽気。中高年の外出を期待して、まずは演歌系の構成で臨んだが、そんな思惑は肩透かしを食った。関心を示す人はいても、立ち止まる人がなかなか現れない。
この日は気分転換もかねて、チカホでは久しぶりにバンダナを締めた。リクエストスタンドの位置は通り近くに戻し、看板系の備品はギターケースに集中させ、シンプルにマイクスタンド前に置くだけにした。「今日のお勧め」もやめ、活動を始めた初期の頃のスタイルに、限りなく近づけてみた。
しかし、そんな苦心の対策も、あまり効果的ではなかったらしい。
5曲目になってようやく、中年女性が立ち止まる。視線があって、「ビリーヴ」のリクエストをもらった。得意曲のはずが、2番の歌詞を途中で見失った。集客に気を取られすぎて、肝心の歌で集中力を切らすという失態。いただけない。
こんなときは無理せず早めに打ち切ってしまうに限ると考えていたら、7曲目で目の前に顔見知りの中年女性がマイク前に立つ。以前に2度も熱心に聴いてくれた方で、ある意味で私の熱心な「ファン」の一人だった。
持ち時間が迫っていたので、最後にかの女性が最も好きな「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」を歌う。チカホをいつも散歩コースにしているそうで、「いつまた会えるかと思ってましたが、歌を聴けてよかった」と、喜んでもらえた。
2組のジャグラーのパフォーマンスを挟んで、15時40分くらいから第2ステージを始める。昭和歌謡系の女性歌手の曲を中心に、およそ25分で8曲を歌う。
「万里の河」「時代」「パープルタウン」「別れの朝」「どうぞこのまま」「木綿のハンカチーフ※」「アカシアの雨がやむとき」「天使のウィンク」
いつもなら集客的に苦戦する時間帯だが、なぜか第1ステージに比べて人の集まりは格段に向上した。2曲目から若い女性が間近で熱心に耳を傾けてくれ、それに引き寄せられるように、曲ごとに入れ替わりで人が立ち止まってくれた。
4曲目の「別れの朝」では10人近くに達する。その後も聴き手がゼロになることはなく、かの女性は最後まで聴いてくれて、リクエストもいただいた。
チカホでのライセンスが3月上旬で打切りとなるので、ひょっとするとこの日が最後のチカチカパフォーマンスとなる可能性もある。
初期の頃の50人を超える集客など望むべくもないが、現状の自分を等身大で映し出す満足すべきライブだったと自己評価する。