亡き父の法要は基本的にお坊さんに頼んでいるが、どの寺の檀家でもないので、四十九日や一周忌、三回忌までは葬儀屋さんから紹介された寺に頼み、七回忌は墓のある霊園に紹介されたお坊さんに頼んだ。
唯一の例外は初七日。実は母は福井県にある寺の直系である。故あって寺は継がなかったが、寺の娘なのでお経は読める。そこで初七日のお経は母に読んでもらい、お坊さんは呼ばずに簡素に済ませた。
今回買ったのはレンタルに使われていた中古品で、送料税込で1,450円。一部にシールの貼り跡が残っているが、音そのものには問題ない。
さっそく聴いてみたが、高名なお坊さんの読経ということで、聴きやすい。七回忌にお願いしたお坊さんが風邪をひいていたとかで、聞きづらく感じたが、かなりの違いである。
CDを聴きながら、添付されてきたフリガナつきの経典を一緒に読んでみたら、それなりにやれる。お経にもちゃんと音階とリズムが存在する。感覚的には「歌」に近い。
全部で7種類のお経が入っていて、通して聴くと44分かかる。最も長いのは最初に登場する「正信偈」で、およそ12分。もし法事に使うとすれば、他の短いものをひとつふたつ加えて、ということだろうか。
現段階で次なる法要は5年後の父の十三回忌だが、母も高齢だし、そもそも人間の運命など分かったものではない。もしかしたら、こうして書いている自分の法要が先かもしれない。
ともかくもCDという形で残しておけば、子供たちも戸惑わずに済み、選択肢も増えるはず。無用な出費も避けられるだろう。
「オレの葬式や法事はこれで充分です」と妻に言ったら、「あら、あなたにはオリジナルCDが2枚もあるじゃない」と茶化された。
言われて考えてみると、オリジナルCDの再生時間もそれぞれ40分ほどで、ほどよい長さ。自分の死後のことにあれこれ注文をつける気はないが、その選択も確かにあり得る。何よりも自分らしくていい。
まあ、好きにせよ。任せる。